最悪のコンディションのはずだが……
いよいよバイクシーズン到来。ワインディングと絶景の大パノラマが堪能できる箱根は関東や中部地方のライダーに大人気で「ツーリングの聖地」などとも呼ばれています。しかし、試乗会が行われた3月12日は土砂降りの雨……。ずぶ濡れのウェット路面は滑りやすく、路肩には雪が残り気温も低い。ライダー泣かせのコンディションで、こんな日にバイクで走るものではありません。
【画像】トライアンフの新型モデル「デイトナ660」を画像で見る(23枚)
言うまでもなく、二輪車にとっては最悪と言っていい状況で、ましてや乗っているのはフルカウルのスーパースポーツ(SS)……。つづら折れのカーブが続く峠道で雨、早く下山したいと願うばかりとなるはずですが、トライアンフのニューモデル『デイトナ660』なら雨のワインディングもこなせてしまうのでした。
しかも楽しい! “こなす”どころか、アクセルを積極的に開けて、トリプルエンジンならではの伸びやかな高回転域までも満喫してしまっているから驚きを隠せません!!
よく動く足まわりのおかげ
デイトナ660に搭載されたSHOWAの前後サスペンションは、よく動いて路面追従性に優れるため、瞬時にグリップを失ってしまうという不安がありません。摺動抵抗が少なく、ボトム付近で強く踏ん張る41mmSFF-BP(セパレートファンクションビッグピストンフォーク)は110mmのストローク量を持ち、ウェット路面にめっぽう強いミシュランPOWER6を履くことも相まって、確実にフロントタイヤが路面を捉えていることを感じることができます。
ホイールトラベル130mmのリアショックもまた滑らかに動きつつ、コシのある味付け。ミドルクラスのSSって、こんなにも扱いやすかったけ……!? そう思えるから、どんどん右手のスロットルグリップを開けていけます。
クラス最強のトリプルエンジン
デイトナ660のエンジンは決して非力なわけではありません。レスポンスがよく、雨が降っているのにダッシュがズバッと気持ち良く、シャープな加減速を味わえます。
ボア74×ストローク51.1mm、排気量660ccの水冷並列3気筒DOHC12バルブは『トライデント660』譲りで、最高出力95PS、最大トルク69Nmを発揮。クランクシャフトなどを見直すことで、パワーを14PS、トルクを5Nm向上させています。
まずはネイキッドスポーツ『トライデント660』との違いを、スペックでわかるように明記しておきましょう。
■トライデント660水冷並列3気筒DOHC4バルブ最高出力 81PS/10,250rpm最大トルク 64Nm/6,250rpm圧縮比 11.95:1シート高 795mm車体重量 190kgFタイヤ 120/70ZR17Rタイヤ 180/55ZR17車体価格 99万5,000円
■デイトナ660水冷並列3気筒DOHC4バルブ最高出力 95PS/11,250rpm最大トルク 69Nm/8,250rpm圧縮比 12.05:1シート高 810mm車体重量 201kgFタイヤ 120/70ZR17Rタイヤ 180/55ZR17車体価格 108万5,000円
体感的にもパワフルですが、数値的に見てももクラストップレベルであることも言っておかなければなりません。より排気量の大きいパラツイン勢をしのぎ、並列4気筒エンジンを積むホンダ『CBR650R』とパワーで肩を並べ、トルクは上回ります。
■CBR650R水冷並列4気筒DOHC4バルブ最高出力 95PS/12,000rpm最大トルク 63Nm/8,250rpm圧縮比 11.6:1シート高 810mm車体重量 208kgFタイヤ 120/70ZR17Rタイヤ 180/55ZR17車体価格 107万8,000円~
■YZF-R7水冷並列2気筒DOHC4バルブ最高出力 73PS/8,750rpm最大トルク 67Nm/6,500rpm圧縮比 11.5:1シート高 835mm車体重量 188kgFタイヤ 120/70ZR17Rタイヤ 180/55ZR17車体価格 105万4,900円
■GSX-8R水冷並列2気筒DOHC4バルブ最高出力 83PS/8,500rpm最大トルク 76Nm/6,800rpm圧縮比 12.8:1シート高 810mm車体重量 205kgFタイヤ 120/70ZR17Rタイヤ 180/55ZR17車体価格 114万4,000円
■ニンジャ650水冷並列2気筒DOHC4バルブ最高出力 68PS/8,000rpm最大トルク 63Nm/6,700rpm圧縮比 10.8:1シート高 790mm車体重量 194kgFタイヤ 120/70R17Rタイヤ 160/60ZR17車体価格 104万5,000円
パーシャルでもギクシャクしない
低中速では扱いやすく応答性に優れ、スロットルを開けるのを我慢しなければならないとき、パーシャルでもギクシャクせず粘り強くトルクを出してくれます。
刺激的で咆哮を轟かせる高回転がウェットでも味わえるのは、トラクションコントロールに対する安心感もひとつにあります。スポーツ、ロード、レインの3つのライディングモードは、スロットルレスポンスとトラクションコントロールの介入度も変更。スポーツモードでキビキビ走らせても、肩の力を抜くことができるのでした。
コンパクトで一体感が得られるライポジ
ライポジがコンパクトで、前傾姿勢がきつくないのも『デイトナ660』に乗ってすぐ感じたことです。クリップオンハンドルは、ライダー側に引き寄せられるように絞りが効いていて、グリップが近い。ただし、垂れ角は大きくないので、ツーリングでも疲労感は少ないはずです。
アグレッシブなスポーツライディングに備えて、下半身でしっかりとホールドのできるSSらしい一体感が得られ、ウェットであるにも関わらず深めにレバーを握り込んで、ニッシン製4ピストンラジアルキャリパーと310mmフローティングディスクの制動力とコントロール性の高さを確かめられましたし、フロントフォークがストロークの奥でしっかりと踏ん張ることもわかりました。
乗り手は見ることができませんが、急ブレーキ時にはハザードランプを自動で点灯させ、後続車などに注意を促す「緊急減速警告機能」も搭載されています。
ずっと好きでいられるスタイル
試乗したツヤ消し黒(サテングラナイト×サテンジェットブラック)のほか、ボディカラーは「スノードニアホワイト×サファイアブラック」や「カーニバルレッド×サファイアブラック」の3色を設定します。
軽量5本スポークの鋳造アルミホイールや湾曲したスイングアームを含み、スタイルは軽快で、見るからにスポーティかつ戦闘的。ですが、吊り目のLEDデュアルヘッドライトやレイヤー構造で凝った造形のボディは奇をてらった造形ではなく、フルカウルSSらしくずっと飽きずに好きでいられるフォルムと言えます。
これは個人的な意見かもしれませんが、フロント周りにボリュームがある一方で、テールエンドがスッキリとしていて、ショートマフラーなどシンプルなフォルムにしているのがいいのです。
スペックを比較するところで、同クラスの価格についても明記しておきましたが、このセグメントにおけるかなり強力な1台が登場したのではないかと思います。雨でも手のうちにあるトータルバランスの高さを持ち、少なくとも、味わい深くパワフルなトリプルエンジンを積むことが、大きなアドバンテージとなりそうです。
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