2023年3月17日の記事を編集して再掲載しています。
避雷針は動かないけど、戦ってたんだ。
ブラジルのサン・ジョゼ・ドス・カンポスで激しい雷雨が発生。そのとき撮影された高速写真を見ると、避雷針がどのように落雷を自らに誘い込み、建物の損傷を防ぐために奮闘しているかがわかりました。
研究者によると、この画像に写っているのは秒速370kmで地面に向かってまっしぐらに落ちる稲妻の姿。2022年12月、稲妻に相対する避雷針の奮闘ぶりに関する分析がGeophysical Research Letters誌に掲載されました。
論文の主執筆者でブラジル国立宇宙研究所のマルセロ・サバ研究員は、FAPESPのリリースで以下のように述べています。
「稲妻が地面から数十メートルの位置にあったとき、避雷針と、近隣の建物の屋上にある背の高い物体は上向きの放電を発生させ、下向きの稲妻と接続しようと立ち向かっていました」
「(下向きの稲妻と)接続前の最後の画像は、雷が建物の1つに落ちる1000分の25秒前に撮られたものです」とサバ氏は続けました。
避雷針は、18世紀半ばにベンジャミン・フランクリンによって発明されました。百科事典のブリタニカによると、避雷針は落ちた雷が構造物に当たって発火するのを防ぎ、安全に地面に拡散させるための道具。そのため電気を通しやすい金属(多くは銅)で作られています。当時のほうが現在よりも雷が少なかったと思われ、フランクリンにとっては幸運だったかもしれません。
サバ氏によると、画像が撮影された地域では30本以上の避雷針が置かれていたにもかかわらず、設置上の欠陥があったため雷が煙突に落ち、3万アンペアの放電を起こして構造物が破損する事態になったとのこと。
稲妻は最短の直線ルートではなく、地面まで最も抵抗の少ないルートを探す性質があります。ですからジグザグの形が稲妻のトレードマークのようになっているのですね。避雷針ではなく不運な煙突に落雷することがあるのも、そういう理由です。
雷は、基本的には大気中の電気的な火花です。アメリカ海洋大気庁(NOAA)が指摘するように、大気中に大きな反対電荷があると空気は絶縁性を失い、雷としてスパークします。このため、雷雨でなくても火山の噴火や核爆発でも雷が発生することはあります。
画像では、少なくとも3つの建物に避雷針があり、下向きの放電に接続しようとしているのがわかります。雷が空から下界へと放たれたとき、複数の避雷針や高い構造物が上向きの電荷を生成してそれと接続しようとします。
今回撮影に使われたのは4万フレーム/秒の高速カメラですから、同じような写真を撮ろうと我々が4万回チャレンジしても、勝ち目はないでしょう。しかし、科学の勉強にはなるにしても、なんとも身の毛もよだつような光景です。
からの記事と詳細 ( 稲妻を高速撮影したら、避雷針の頑張りがわかった - GIZMODO JAPAN )
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