中国の警察や公安職員を装い、中国人留学生を脅して現金を送金させた上、誘拐事件を自作自演するよう指示して家族から身代金をだまし取る事件が相次いでいることが捜査関係者への取材でわかった。警視庁が虚偽の誘拐事件の捜査を通じて把握した。６月以降、被害は少なくとも計約１８５０万円に上り、警視庁が警戒を強めている。
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「親に心配をかけてしまって申し訳ない」。被害者の１人で、都内の大学に通う女性が取材に応じた。
上海警察の職員を名乗る男から電話があったのは６月１日。「あなたの携帯電話がマネーロンダリング（資金洗浄）に使われている」と言われた。心当たりはなかったが、顔写真入りの「職員証」が届いたため信じてしまった。
同１２日に「逮捕状が出た。逮捕を免れるためには保証金が必要だ」と連絡があり、６月末までに計約７００万円を払った。だが７月２６日、さらに約３２００万円を要求され、金がないと伝えると、「誘拐を演じて親に払わせろ。捕まれば家族の恥になる」と迫られた。
同日夕、都内のホテルで自分の足をロープで縛り、鼻の下や胸に血のりを付けてスマホで自分の姿を撮影した。「娘を誘拐した。金を払えば解放する」とメッセージを添え、中国の親にＳＮＳで画像を送った。
両親が親族を通じて１１０番し、警察官が駆けつけたが、女性はとっさに「自分の金が欲しくてやった」とうそをついた。「日本の警察にばれると、中国で逮捕されると思った」という。親族や捜査員の話でようやく詐欺と気づいたが、両親は既に身代金約１００万円を払っていた。
女性は「詐欺に気づけなかった自分が恥ずかしい。最初に電話があった時に、両親や友人に相談すればよかった」と悔いている。
（小川朝煕）
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