最初に買ったe-bike、ミヤタ「RIDGE-RUNNER」を選んだ理由は?
5年前にミヤタ「RIDGE-RUNNER」を買ったとき、よく「なぜRIDGE-RUNNERにしたんですか?」と聞かれました。理由はいろいろあり、たとえば「MTBタイプのe-bikeは悪路にも坂にも強く、舗装路以外でも軽快に走れるから」とか、「何度か試乗して良かったから」とか。
ただ購入を強く後押ししたのは完成車メーカーとコンポーネンツ(メーカー)です。筆者にとってミヤタ(ミヤタサイクル)は馴染み深い自転車メーカーで、取り扱い販売店も多いことから現在でも信頼を置いています。
また、RIDGE-RUNNERに採用されているドライブユニットはシマノSTEPS。世界最強と言っても過言でない自転車コンポーネンツメーカーのドライブユニットなら、まず間違いがないだろう、と。
正直、5年前にe-bikeを買いたいと思ったとき、「e-bikeってそもそも大丈夫なのか?」という電動アシストスポーツ自転車自体に対する漠然とした不安が浮かびました。何度も試走したので「大丈夫そう」とは感じていましたが、いざ自分で購入・所有するとなると、やはり慎重にいきたいと考えたわけです。
そこでまず、ドライブユニットはシマノ製と決めました。同時に、完成車メーカーは自分が信頼でき、取り扱い販売店が少なくないことを重視しました。そして「MTBタイプがいいなあ」と少々の希望を加えていくと、自然と「買うならRIDGE-RUNNERしかない」となりました。
実際に販売店に行ってみると、RIDGE-RUNNERのポスター的なものが貼られていました。まだその頃は「e-bike」という言葉があまり知られていない頃でしたが、「ああやっぱりミヤタ製だしシマノ製ドライブユニットだし、身近な販売店でも扱うんだな」と安心しました。
その後、購入まで販売店と何度かやりとりしましたが、e-bikeという市場にまだ多くない乗り物ではあったものの、非常にスムーズにやりとりができ、納期なども明確でした。その頃になって「ああ良かった、ちゃんとしたe-bikeを買えるんだ」と実感するようになりました。
余談ですが、その後のメンテナンスもその販売店で行なっています。去年にはチェーン交換とディスクブレーキなどの点検などを依頼しましたが、とくに問題なし。5年経った現在も快適に乗れているRIDGE-RUNNERです。
また、同じ販売店にて、4年前には予備のバッテリーなど交換用パーツを買い、さらにSTEPS対応のPC接続機器(シマノ製)も購入。これらも滞りなく入手できました。「ちゃんとしたメーカーのモノ」なら身近な販売店でしっかり入手できることを実感。そういう要素はe-bikeオーナーとして大きな安心感につながっています。
残念なことですが、e-bike界隈には、違法性を知りつつも無責任に販売するショップとか、売りっぱなしのようなメーカーもあるようです。でも結局、買ったら、自分の責任。「ちゃんとしている」と思えるe-bikeや販売店を選ぶのが無難だと思います。
5年経過して、e-bikeにトラブルは?
筆者のRIDGE-RUNNERは、乗り始めてもうそろそろ丸5年が経過します。トータルの走行距離は約1,500km。1年に300kmで、スポーツ自転車としては短めの走行距離かもしれません。
これはたぶん、集中的に乗ったのは最初の2年(その後はコロナ禍)だったこと、RIDGE-RUNNER購入後に別のe-bikeを買い増したことなどが影響していると思います。また、仕事柄、メーカーからお借りしたe-bikeでそこそこの距離を試走することが多いことも関係しています。
さておき、そんな距離を走ったRIDGE-RUNNER、トラブルはあったのか? 結局、トラブルと言えるようなものはありませんでした。
たとえばクランク周辺からの“音鳴り”はありました。ペダルを踏み込むと「キチッ、キチッ」という小さな異音が。2度ほどありましたが、1度目はペダルのグリスアップ、2度目はクランクのグリスアップで解消しました。
パーツの問題は出ました。2021年にはドロッパーシートポストが下がったままに。手持ちの中古ドロッパーシートポストがあったのでそれと交換しましたが、4カ月くらい後にその中古ドロッパーシートポストも壊れ、今度は新品の廉価ドロッパーシートポストを購入して装着しています。それは現在でも使えています。
あるいは、5年前から使っている純正バッテリーにヘタりが出てきたようです。2022年秋頃になってだったと記憶していますが、最大で85%までしか充電できなくなりました。まあ5年も使えばこんなものかもしれません。でもまだ十分使える容量なので、この先も様子を見つつ使っていこうと思います。
ちなみにRIDGE-RUNNER購入翌年に予備バッテリーを購入しました。これは現在でもしっかり100%まで充電できます。また、たま~にですが、役立っていました。でも「早々に予備を買うまでもなかったかも」というのが正直なところ。
写真のe-bikeヒルクライムでは役立ちましたが、レアケースですね。筆者が日頃ヒルクライムするとしてもせいぜい獲得標高は500~800mくらい。そんな使い方だとまず予備バッテリーが必要になることはありません。e-bikeの予備バッテリー購入は「必要になってから」がいいかも。筆者の場合は1本目のバッテリーがヘタってきたので、この予備がいよいよ「必要」になるかもしれませんが、4年も前から用意しておかなくても……と思った次第。
RIDGE-RUNNERでe-bikeの何が「わかった」のか?
RIDGE-RUNNERを買ったばかりの頃は、坂を上るのがおもしろくて、近隣の激坂をどんどん攻略しました。「こんな急坂でもらくらく上れる」「この激坂も余裕でクリア」「このみるからに無理そうな超激坂……でも上れちゃうのか!」ということを楽しんでいました。
無理やりと急坂を攻略していたので、坂によってはそこそこ苦しいんです。でも筆者が人力自転車では「絶対に上れない」と思える坂でもe-bikeなら行けてしまう。それがおもしろかったんですね、当初は。
しかし、そのうち飽きてきました。「e-bikeならどんな坂でも上れちゃうな」ということがわかったからだと思います。
すると少し考え方が変わってきました。具体的には「そうか、e-bikeって、これまで辛かったことを楽しめるようにするのか」という感じ。
それまでは激坂を攻略したうえで「座ったままだし足もつかない」という条件付きで楽しんでいました。でもそれがいつもできちゃう。「まあやればできるのか、e-bikeなら」という感じで、少し熱が冷めた捉え方になりました。
すると「ちょっとお尻が痛いから休もう」「いい風景だからゆっくり進もう」という感じで、e-bikeでのサイクリング全体をコンフォートな方向で楽しむようになりました。また、e-bikeはギアやケイデンスなどうまくコントロールすれば、たいていの状況を「楽しく走ることができる」ということもわかってきました。
人力自転車でもけっこう頑張って走ってきた筆者は、筆者的人力自転車走行における「正義」を頑固に守ってきたような気がします。たとえば「抜かれそうになったら加速してチギる」とか「上り坂の途中で止まらず進み続ける」とか。きっと「人力スポーツ自転車あるある」の一種だと思います。
e-bikeも体力を使います。ペダルを踏まないと進まないですし。頑張ってペダルを踏むとすごく疲れたりもする(加速はスピードが24km/hに近づくほど疲れる)。まあ、そういうのを楽しむのもアリだと思います。RIDGE-RUNNER購入当初の筆者はそれに近い楽しみ方をしていたとも思います。
しかし、コンフォートな方向でe-bikeサイクリングをするようになると、「せっかく時間を使ってe-bikeサイクリングをするんだから、その時間をたっぷり楽しまないと」と考えるようになりました。単純に、風景を見たり、自然の音を聞いたり、道端の猫を写真に撮ったり、もちろん買い食いもしたり。ヒルクライムも続いていますが、峠を攻略した達成感のためのヒルクライムということはしなくなり、「あの峠から見た風景はどんなだろう?」みたいなことが主目的になっています。
e-bikeは走行時のライダーに対する負荷を消すようなものではありません。しかしギアや速度域やケイデンスのコントロールをうまくすると、受ける負荷が楽しめるレベルまで下げられる。楽しめる、というか、苦しまずに済む負荷ってことですね。
結局、苦しくないからサイクリング全部が楽しい体験になる。これってサイコーですよね。道中全部楽しめるって。RIDGE-RUNNERに5年乗ってきて、e-bikeが与えてくれる本来の良さを知ったような気がする筆者です。
考えてみれば安かったRIDGE-RUNNER、買うなら早いほうがいい
年経った現在、ミヤタRIDGE-RUNNERの購入を振り返ってみますと……「やっぱりホントに安かったんだ」と思います。実は5年前のRIDGE-RUNNER購入時、e-bikeメンバーでもある難波 賢二氏がこう言っていました。
「いま出てきているe-bikeは安いのですよ! シマノの最高グレードドライブユニットE8080を搭載しているRIDGE-RUNNERが税込でも40万円を切るのです! これは破格なのです!! 買ったら絶対にお得です!!!」と。
それを聞いて「電動アシストスポーツ自転車が40万円かぁ……安くはないような」とは思いました。しかし、いま考えると確かに安かったのです。
現在でもシマノの最高級ドライブユニットはSTEPS「E8080シリーズ」です。こういった最高グレードのドライブユニットを搭載したe-bikeは、現在では40万円を切る価格では買えません。さらにコロナ禍の物資不足や流通の困難、そしてロシアの軍事侵攻などの影響があり、最近ではe-bikeの値上げが目立ちます。それを考えると「5年前にSTEPSの最高級グレードドライブユニット搭載e-bikeが40万円を切っていたって、安く買えたんだなぁ」とつくづく思います。
ちなみに、現在でも国内メーカーのe-bikeは安価。かなりお買い得です。たとえばミヤタは「RIDGE-RUNNER 8080」を税込み460,900円で販売しています。筆者が購入したRIDGE-RUNNERから見ると、継続して最高級ドライブユニットのシマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載しつつ、前後ともサスペンションを搭載したフルサスe-MTBへとアップグレードされています。それなのに。約6万円しか価格を上げていない。すごい企業努力なんじゃないかと思います。
5年前にRIDGE-RUNNERを購入してから、e-bikeの良さに目覚めつつ新しいe-bikeを購入したり、さらに追加の購入を考えたりしてきました。そして、都度思うのが「欲しいときこそe-bikeの買い時」ということです。なぜなら、e-bikeはもうずーっと値上げの一途だから。「あのe-bikeが欲しい」と思っていたら数万円の値上げというのはよくあることです。
これは前述のコロナ禍やロシア方面の影響が大きいと思いますが、各e-bikeメーカーが「企業努力の限界」にきていることもあると思います。いまだから言えますが、5年くらい前にe-bikeメーカーの担当者に「e-bikeすごくイイ乗り物ですし儲かっていたりしますか?」とか聞くと、そろって渋い顔。まだ普及前段階で台数も売れないし、利益もなかなか出せなかったんだと思います。
たぶん今後も値上げが継続するように思います。e-bikeに限った話ではないですが。なので、「このe-bikeが欲しい!」と思ったら、思い切ってすぐ買うのがお得ではないでしょうか?
ともあれ、e-bikeは一度乗ると誰もが「これはいいなぁ」と感嘆します。食わず嫌いや偏見はもったいない。ぜひ一度試乗なさってください。きっとe-bikeという乗り物から新たな世界が見えてくると思います。
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