「アンコンシャスバイアスへの気づきは、 ひとりひとりがイキイキと活躍する社会への第一歩」――これは、内閣府男女共同参画局の広報誌「共同参画」の昨年2021年5月号の特集タイトルだ。「無意識の偏見・思い込み」を意味する「アンコンシャスバイアス」。「文系出身の社員は数字が苦手だから…」「女性社員は子育てがたいへんだから…」といった思い込みが円滑な対人関係に水を差すこともあるが、はたして、そうしたアンコンシャスバイアスを企業内の組織において減らす方法はあるのだろうか? 管理職・マネージャー向けの「アンコンシャスバイアス研修」を受けて考えてみた。(フリーライター 狩野南)
「アンコンシャスバイアスは、誰にでもあるもの」
「アンコンシャスバイアス」という言葉をご存じだろうか。
「アンコンシャス」とは「無意識」、「バイアス」は、「偏見」のこと。つまり、「アンコンシャスバイアス」は、無意識の思い込みや偏見を意味するが、言葉どおり、意識下に潜んでいるため、普段はなかなか気づきにくい。私自身も、聞いたことはあるものの、これまであまり意識してこなかったワードだ。
漠然とした知識しか持たないまま、企業の「アンコンシャスバイアス研修*1 」に参加することになった。この研修の対象者は、主に、企業・団体の管理職・マネージャークラス。多様な人々がともに働くダイバーシティ&インクルージョンのこの時代、偏った見方や捉え方をしていると、マネジメントや人材育成の面でも影響が出てしまいかねない。そのためにも、アンコンシャスバイアスはぜひとも理解しておきたい研修テーマと言えるだろう。
*1 ダイヤモンド社による開発・販売。研修キット(投影資料、配布資料、ワークシート、ファシリテーターマニュアルなど)、解説動画(Web上で再⽣。ダウンロードは不可)、ファシリテーター⾒本動画(実際に研修を行っている様⼦の動画)がこの「アンコンシャスバイアス研修」を行う企業に提供される。
今回の研修に参加するにあたり、事前課題として約10分間ずつの動画3本を視聴し、その後に、指定されたアンコンシャスバイアステスト*2 を受けた。動画は、人材領域の第一人者であり、当研修の監修者の一人でもある立教大学経営学部の中原淳教授が、アンコンシャスバイアスについてわかりやすく解説するものだ。
*2 アンコンシャスバイアステストの仕組みは、アメリカの心理学者Greenwald, A. G. & Banaji, M. R. によって開発されたIAT(Implicit Association Test: 潜在的連合テスト)という測定手法に基づいている。このテストでは、単純な言葉の分類課題を通して、意識下にある物事や概念の結びつきの強さを測定することができる。
この事前課題の動画を見る前は、「無意識の偏見」という言葉がピンとこなかったものの、性別・年齢・出身国・民族などの属性で一括りにしてしまうこと、単純なイメージであるステレオタイプを持ってしまうことなど、動画での具体的な説明を聞き、一気に腹落ちした。確かに私も「女性だから」「若いから」など、普段深く考えずに単純化して話してしまっていることがあると思い当たる。
さらに動画では、そのようなバイアスを「見える化」し、「自覚」することが大切と説く。その中で最も印象に残ったのは、「誰もがアンコンシャスバイアスを持っている」、そして、「アンコンシャスバイアスを消すのではなく、自覚して、うまくつきあう」ことが大切だという点。「アンコンシャスバイアスは、誰にでもあり、なくなるものではない」という前提を研修の前に知れたことは大きな収穫だった。
アンコンシャスバイアステストは、画面上の左右に2つのカテゴリーが表示され、その真ん中に次々と表示される単語がどちらに当てはまるかをできるだけ速く正確に分類していくというもの。「テスト」と銘打ってはいるが、まるでゲームのよう。テストの結果も他の人に知られることはないので安心だ。
私の結果は、顕在的には「性別と役割の結びつきはない」だったが、潜在的には、その部分のパーセンテージがガクンと下がり、「男性と仕事/女性と家庭の結びつきがわずかにある」というもので、意識下にはバイアスが隠れていることがわかった。「男女平等は当たり前、自分にはバイアスなんかない!」と固く信じていただけに、軽くショックを受ける。
研修を受けて少しは変われるのだろうか?
からの記事と詳細 ( 企業向けの「アンコンシャスバイアス研修」を受けて、私がわかったこと - ダイヤモンド・オンライン )
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