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Saturday, October 1, 2022

96歳で亡くなった女性「相続」でわかった波乱の人生 | 高齢化時代の相続税対策 | 広田龍介 - 毎日新聞

 相続が発生すると、亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集めることになる。遺産分割協議に参加できる相続人全員を、まず特定する必要があるためだ。

戸籍謄本集めの「手間と費用」

 戸籍謄本は、本籍地のある市区町村に申請して入手する。転勤などで本籍地を何度も移動したようなケースでは、申請先が複数になり、手間や費用もかかる。

 こうして得た戸籍謄本からは、その家族が経験した出来事が垣間見えることがある。

 例えば、家族の何人かが同時に亡くなっていれば、大事故や自然災害に遭ったのではないかと推測できる。相続人に確認すると「確かにそうです」と当時の苦労話が語られることも多い。

 最近の戸籍謄本では、離婚や再婚、養子縁組なども多く見かけるようになった。血縁が無かったり薄かったりする相続人が遺産分割協議に参加すると、相続人間で争う「争族」が起こりやすくなる。相続対策では遺言書を作成する必要性が高まっているといえるだろう。

結婚2カ月前「養女」となった事情

 K子さんが96歳で亡くなった。相続人の特定のため戸籍謄本を確認すると、K子さんの複雑な生い立ちが浮かび上がってきた。

 戸籍謄本には、母親の欄は記載があったが、父親の欄は空白だった。K子さんは、いわゆる私生児、つまり法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた「非嫡出子」として育ったわけだ。

 しかも、K子さんの生年月日と出生届け出日の間には約1年間のブランクがあった。

 伝え聞いた話によると、K子さんの実父は地方の資産家だったが、妊娠を知ると出産に強く反対したらしい。母親は身を隠してK子さんを産んだが、実父は母娘が地元で生活する…

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