累計43万部を突破し、ベストセラーとなっている脳研究者・池谷裕二さんによる脳講義シリーズ。このたび、『進化しすぎた脳』 『単純な脳、複雑な「私」』(講談社ブルーバックス) に続き、15年ぶりとなるシリーズ最新作『夢を叶えるために脳はある』(講談社)が刊行された。
なぜ僕らは脳を持ち、何のために生きているのか。脳科学が最後に辿り着く予想外の結論、そしてタイトルに込められた「本当の意味」とは――。
高校生に向けておこなわれた脳講義をもとにつくられた本書から、その一部をご紹介しよう。
※ 本記事は、『夢を叶えるために脳はある』(講談社)の読みどころを、厳選してお届けしています。
能力を可視化する方法
僕らの能力には未使用部分があるのはたしかだ。典型例が絶対音感だ。絶対音感を持っている人いるかな?
たとえば、この音なんだと思う?(手元に置かれたビンを叩く)
ー わかりません。
僕にもわからない。さっき調べてみた。音階でいえば「ラ」の音だそうだ。でも、絶対音感を持っている人にはわかる。
そうした能力を持っている人は1万人に1人くらい。だから「絶対音感なんてほとんどだれも持ってない!」と言いたくなる。ところが、そうとも言いきれない。なぜなら、君らの脳は絶対的な音程に反応してるからだ。だれの脳でも同じ。
音声を聞いたときの脳の反応をMRI(magnetic resonance imaging)で撮影した映像を見てみよう。MRIは、日本語では「磁気共鳴映像法」といって、赤血球の鉄成分による微弱な磁場のゆがみを記録して、脳血流、つまり脳活動をあぶり出して、コンピュータで画像化する手法のこと。それがこの映像(図「音声を聞いたときの脳のMRI画像」)。
さて、どこが活動しているかな?
音声を聞いたときに白く光った脳部位は「聴覚野」と呼ばれる領域だ。聴覚野は、音に反応する脳の部位だ。
ちなみに、こういう画像を見るときに気をつけてほしいのは、脳が本当に白色を発して光っているわけではない。神経細胞の発火の映像もそうだったね。あくまでもヒトが、データをもとに色をつけて表示したもの。擬似カラー表示だ。見やすくするための方法だね。
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