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Sunday, April 7, 2024

効率よく学ぶコツは「わかったつもり」を防ぐこと。「ファインマン・テクニック」で勉強してみた - Study Hacker

机の上に白い紙が置いてある様子

資格試験の勉強を始めようとしているとき、仕事で知らない知識を学ぶ必要があるとき。まったく知識のないところから勉強をスタートすると、「身につくまで大変そう……」と不安に思ってしまうのも無理もないことです。

でも、大丈夫。そんな “ほぼ白紙状態” から効率よく勉強する方法があるのです。

今回の記事では、そのひとつであるファインマン・テクニックについてご紹介します。筆者がほぼ白紙状態から学びを実践した模様もあわせてお伝えしましょう。

【ライタープロフィール】
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。

ファインマン・テクニックとは

ファインマン・テクニックとは、学習内容について自ら “説明” しながら勉強するという学習法です。

この方法のもとになっているのが、ノーベル物理学賞を受賞したアメリカの理論物理学者、リチャード・フィリップス・ファインマン氏。複雑な内容をわかりやすく説明することが得意で、“偉大な説明者” とも呼ばれていたとされる人物です。(参照:COLLEGE INFO GEEK|How to Use the Feynman Technique to Learn Faster (With Examples)

『ULTRA LEARNING 超・自習法』著者のスコット・H・ヤング氏は、このファインマン・テクニックを定式化。同氏が取り組んだ「MITチャレンジ」というプロジェクト(マサチューセッツ工科大学の「4年分のカリキュラムを1年でマスター」すること)のなかでこれを応用したそうです。(カギカッコ内引用元および参考:ダイヤモンド・オンライン|「TEDで話題の勉強法」が解説!“独学”最大の落とし穴「わかったつもり」が解決できる技術とは?

ヤング氏は、以下のように述べています。

このテクニックを使う目的は、学習しているテーマに関する直感を身につけることだ。そのテーマをまったく理解していない場合や、少しは理解しているものの、その知識を直感へと変えたい場合に使うことができる。

(引用元:同上)

つまり、ファインマン・テクニックは理解が不十分な内容にこそ効く手法だというわけです。ほぼ白紙状態から学ぼうとする人にぴったりですね。

このテクニックで学ぶ利点は、説明するなかで「自分の理解のどこにギャップがあるのか」を明らかにできること。(カギカッコ内引用元:同上)

新しい学習内容について理解できたと思っても、「自分の言葉で説明してみて」と言われると言葉に詰まってしまう。こんなことはよくあるでしょう。たとえば、経済学の基本原則を学び「需要と供給の法則がわかった」と思っても、「需要と供給の法則を簡単に説明して」と頼まれたとき、具体的な例を挙げて説明できなかった――これに似た経験がありませんか?

しかし、ファインマン・テクニックを用いれば、“理解したと思っても、じつは理解できていなかった” という理解のギャップに気づくことができます。そのため、理解した “つもり” のまま先に進んでしまうことを回避できるのです。

机の上にノートとペンが置いてある様子

加えて、説明というアウトプットをすることは、記憶の面でも効果的です。『学びを結果に変えるアウトプット大全』著者で精神科医の樺沢紫苑氏は、アウトプット型の学習をするメリットについてこう説明します。

アウトプットとは、いうなれば、
運動神経を使って、筋肉を動かすことです。

(中略)

「書く」「話す」といった運動神経を使った記憶は、
「運動性記憶」と呼ばれますが、
運動性記憶の特徴は、
一度覚えるとその後はほとんど忘れることはないことです。

(引用元:樺沢紫苑公式ブログ|なぜアウトプットは、記憶に残るのか? ※ただし、引用元資料内の赤字部分は黒字とした)

つまり、アウトプットをすると、学んだことがより記憶に定着しやすいということ。ファインマン・テクニックは “わかったつもり” を回避できるのみならず、記憶の強化にも役立つのですね。

ファインマン・テクニックで学べば、自分が理解できていない箇所をあぶり出すと同時に、学んだ内容を記憶に刻み込むことができます。時間に余裕のないビジネスパーソンにとって、効率のよい学習法だと言えそうです。

夜間に勉強している女性

ほぼ白紙状態からファインマン・テクニックで学んでみた

ファインマン・テクニックは、次の3ステップで行ないます。

 1.理解したい概念や問題を、紙の一番上に書く。

 2.その下の余白を使って、その概念・問題を他の人に教えるかのように説明する。

(中略)

 3.行き詰まったとき、つまり自分が明確な答えを書けるほど理解していなかった場合には、教科書やノート、教師、教材に戻って答えを見つける。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「TEDで話題の勉強法」が解説!“独学”最大の落とし穴「わかったつもり」が解決できる技術とは?

簡単にまとめると、まずは学びたいテーマについて自分でわかる範囲で説明を書き、わからないと感じた時点で調べたり聞いたりして説明を補足するのです。

いたってシンプルな方法ですが、これが一体どんな効果を生むのでしょうか。筆者が実際に試してみたので、その様子をお伝えします。仕事で必要な「販売促進」について学びたい筆者は今回、人間の「購買心理」について実践してみることにしました。言葉は聞いたことがあるけれど、詳しく学んだことはなく、理解が不十分なジャンル。“ほぼ白紙” と言えるほど知識がない状態です。

まず、用意した紙の上部にテーマを書きます。

紙の上部にテーマを書いた実践紙面

余白に購買心理について説明してみた結果が、こちらです。

余白でテーマについて説明を書き出した実践紙面

ある程度言葉にすることはできたものの、詳細に説明できてはいませんよね。購買心理について、本当に漠然とした内容しか知らない状態だと明らかになりました。知識不足とはいえもう少しは書けるだろうと思っていたので、やや驚きです。

さっそく行き詰まってしまった筆者は、この内容について詳しく調べました。ここで得た知識を、最初に書いた説明に追記していきます。今回はわかりやすいように、赤字で書き込みました。

2で書いた説明に赤字で補足した実践紙面

最初に書いた時点では購買心理の内容についてぼんやりとしか理解できていませんでしたが、補足情報を書くことでどんどんと理解が深まっていきました。

理解できているかいないかを明確にして “わかったつもり” を回避する

ファインマン・テクニックを実践してみた結果、購買心理について自分の想像以上に理解できていないということが判明しました。「これぐらいはわかっているはず」と思っていた内容ですら漠然としか書けず、「これで合っていたっけ?」と疑問符で頭がいっぱいになりながら書き出したというのが、正直なところです。うまく説明できなかったことで “わかったつもり” であることを思い知りました

そのように知識不足・理解不足を痛感した筆者でしたが、ファインマン・テクニックで勉強した内容は、しっかりと理解したうえで覚えられました。赤字で補足した箇所を、後日すらすらと家族に説明できたのです。

ファインマン・テクニックを実施する際には、とにかく手を動かしてたくさん紙に書いてみてください。自分が本当に理解できている箇所と理解できていない箇所をはっきりさせることがポイントですよ。

***
自分だけで “わかったつもり” になるのではなく、人に説明できるほどきちんと理解できたときは、達成感があって嬉しいもの。ほぼ白紙状態から学べるファインマン・テクニックにチャレンジして、みなさんもその効果を実感してみてくださいね。

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