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Sunday, March 3, 2024

グーグル検索はオワコンか、生成AIで対抗「Perplexity」を試してわかったその実力 - ビジネス+IT

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絶対王者グーグルの支配が続く検索エンジン市場だが、生成AIの登場で大きな変化を伴うことになりそうだ。ガートナーが2月19日に発表した予測によれば、2026年までに検索エンジンのボリュームは25%も減少するという。こうした中でグーグルへの挑戦を明言しているスタートアップ企業が「Perplexity」だ。同社はNVIDIA、ジェフ・ベゾス氏、YouTubeの元CEOなど大物も出資ラウンドに参加しており、検索市場を攻めるマイクロソフトとも戦っていくことになる。果たしてその実力とポテンシャルとはいかなるものか。実際にグーグル、マイクロソフト、Perplexityの3つのサービスを試して結果を比較した。

執筆:細谷 元

執筆:細谷 元

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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テック業界の大物が続々と出資

(Photo:rafapress / Shutterstock.com)

検索エンジン市場は波乱含み

 2月19日にガートナーが発表した調査結果は、デジタルマーケティング業界・SEO業界に大きな衝撃をもたらした。同社の調査によれば、2026年までに検索エンジンボリュームが25%も減少するというからだ。その原因はもちろん生成AI。ガートナーはバーチャルAIアシスタント(パーソナルAIアシスタント)の台頭もその一因に挙げている。

 一方、足元の検索エンジン市場では依然グーグルが圧倒的なシェアを維持、競合との差を保っている状況だ。Statistaがまとめたデスクトップ検索エンジン市場シェア情報によると、2024年1月時点におけるグーグルのシェアは81.95%に上る。

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2024年1月時点の検索エンジン市場シェア

生成AIで1分にまとめた動画

 ChatGPTを支える大規模言語モデルであるGPT-4の統合により大幅にアップグレードしたマイクロソフトの検索エンジンBingがどこまでシェアを伸ばせるのかという点にも注目が集まったが、じわじわ上げてきているものの、現時点で大きな変化は確認できない。

 Bingのシェアは2022年10月に9.92%で1度山を迎えたあとは、2023年5月に6.81%まで低下、2023年12月には10.53%まで伸ばした。Bingは今後じりじりと伸ばす可能性はあるものの、他の競合検索エンジンも概ね同水準での推移を続けている状況だ。

 しかし一方で、生成AIが人々の検索行動を変えているのは事実であり、生成AI技術の普及・成熟化が進めば、この先、検索エンジン市場でもディスラプションが起こる可能性は高い。

 実際、そのようなシナリオを彷彿とさせるスタートアップが注目を浴びており、2024年は生成AIパワードの検索エンジンがさらに普及する可能性が高まっている。

NVIDIA、ジェフ・ベゾス氏らが注目するスタートアップ

 そのスタートアップとは、グーグルへの挑戦を明言している「Perplexity」だ。2022年8月に設立されたばかりの若いスタートアップだが、2023年1月にシリーズBラウンドで、多数の著名起業家や投資家らから7,360万ドルを獲得し、米メディアにおける注目度が高まっている。

 シリーズBでは、Databricks、GitHubの元CEOナットフリードマン氏、エラド・ギル氏などシリーズAの投資家らに加え、NVIDIA、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏、Shopifyの創業者トビ・リュトケ氏、YouTubeの元CEOスーザン・ウォジスキー氏などが参加。累計調達額は1億ドル、最新の評価額は5億2,000万ドルに拡大したという。

 Perplexityの共同創業者の1人でCEOを務めるアラビンド・スリニバス氏は、2017年にインド工科大学マドラス校を卒業後、米カリフォルニア大学バークレー校の博士課程に進学、2021年にコンピューターサイエンスの博士号を取得した。この間、ディープマインド、グーグル、OpenAIで生成AIのリサーチに携わった経験も有している。

 ロイター通信2024年1月5日の報道によると、Perplexityの現在の社員数は38人だが、今年中には60人に拡大する計画だ。同社の現在の月間アクティブユーザー数は1000万人、モバイルは100万人以上。年間売上高は500万~1,000万ドルと推定されているが、黒字化には至っていないという。

 Perplexityが提供するのはチャット形式でさまざまな情報を検索できる大規模言語モデルをベースとする「回答エンジン」だ。

 スリニバスCEOは、グーグルの検索エンジンでは、検索した言葉に対し上位表示される情報のほとんどがSEO対策されたコンテンツや広告コンテンツで、ユーザーが求める回答が得られないケースが多く、またグーグル検索で表示されるのはウェブページであり、直接的な回答ではないと指摘。これを踏まえ、Perplexityの回答エンジンは、生成AIがユーザーの質問を理解しつつ、ユーザーが求める回答を直接生成することが可能と述べている。 【次ページ】ChatGPT vs グーグル検索 vs Perplexity

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