感染症対応の司令塔「内閣感染症危機管理統括庁」が9月に発足し、次の感染症の大流行への本格的な準備が始まりました。重要なポイントは何か。新型コロナウイルス感染症の対応を続けてきた、国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師に話を聞きました。
――大曲さんも参加する「新型インフルエンザ等対策推進会議」で、政府の行動計画を見直す議論が始まりました。コロナ禍を振り返り、課題をどうみていますか。
指揮命令系統、はっきりせず
まず、感染症に関連した国の危機管理の指揮命令系統が、これまでははっきりしていませんでした。有事には政府対策本部ができますが、常設されているわけではありません。
パンデミック(感染症の大流行)に対しては、2012年に成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、政府の行動計画がつくられ、それに沿って準備をしてきました。実際に準備したことは大変、役に立ちました。
ただ、平時から機能する行政組織があれば、準備の進捗(しんちょく)をチェックし、うまくいっていない所には促すことができ、より円滑にいった可能性がある。
そういう意味では今回、内閣感染症危機管理統括庁ができてよかったと思っています。
今回のコロナでは、対応しようにもマスクや医療防護具、PCRの検査試薬といった物資がなかったことが大きかった。
最初の3、4カ月は、物資不足がコロナ対応の足かせになりました。パンデミックは世界で同時に起きるので、調達しようにもできない厳しい現実がありました。今後は、調達方法を検討し、ある程度の量を備蓄しておくことも必要でしょう。
――研究開発の遅れも指摘されました。
もっと迅速に治療薬やワクチンを開発できる体制をつくっておくべきだったと思います。
事前の準備で治療薬やワクチンが必要だということは、一般論として我々もよく言ってきました。でも、実際にそうしようとすれば、相当に準備が必要だったということが今回のパンデミックでわかってしまった。
コロナの治療薬やワクチンの開発は各国が頑張りましたが、やはりもっと早く供給できるよう、備える必要があるでしょう。
資源はあるのに……
――従来の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府行動計画でも、様々な想定がされ、備えてきました。
入院ベッドが不足したら自宅療養をしようとか、学校を臨時の医療施設に活用しようなどと書かれています。発想は良かったと思います。
詰め切れていなかったのは…
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