たとえ腎臓がベストの状態でなくても、なかなか腎臓の症状に気がつくことはありません。腎臓が悪くなったとしても、初期には自覚症状がほとんどないために見過ごされがちなのです。腎臓は食事の影響を受けやすく、たんぱく質のとり過ぎには気をつける必要があります。でもこのたび海外研究によると、植物性のたんぱく質については、多くとっているほど腎臓の機能が低下しにくいと報告されました。たんぱく質をとる際に参考にしてよいかもしれません。
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英国12万人近くのデータを分析
最近、植物性たんぱく質は腎機能低下(慢性腎臓病と呼ばれます)のリスクを下げるという報告や、糖尿病の人において腎機能低下を防ぐとする研究結果など、植物性たんぱく質のメリットが示されるようになっているようです。
今回、韓国の研究グループは腎機能が正常で腎臓病になったことがない12万人近くを対象として、植物性たんぱく質の摂取量と慢性腎臓病になるリスクとの関連性を調べてみました。
分析したのは、英国の「UKバイオバンク」という健康の膨大なデータです。食事に関するアンケートの回答から1日のたんぱく質摂取量を算出し、およそ10年間にわたる慢性腎臓病の発症との関連を分析しました。
生活習慣病があってもなくても保護効果
こうして研究で確認されたのが、植物性たんぱく質の摂取量が多いほど、慢性腎臓病になるリスクが低いことです。
具体的には、植物性たんぱく質の摂取量に従って4グループに分けると、摂取量が最も少ないグループに比べて多いグループほどリスクが下がり、摂取量が最も多かったグループでリスクが最も低くなりました。
この腎臓を守る効果は、高血圧や糖尿病をもつ人やBMIの高い人でも明らかでした。また、植物性たんぱく質の摂取量が多いと、代謝機能や体内の炎症が改善するという相関も見られました。植物性たんぱく質が多い食事は特定のアミノ酸や食物繊維が豊富な野菜類を多く含む場合が多いことや、植物性たんぱく質は動物性に比べて抗酸化物質が多く、飽和脂肪酸が少ないことなどが関係しているのではないかと研究グループはいいます。
植物性たんぱく質によってもたらされる腎臓を守る意外な効果。ふだんの食事からたんぱく質をとるときに、意識的に植物性のものを優先してとり入れると、今回の研究で示されたような恩恵を受けることができるのかもしれません。
<参考文献>
Heo GY, Koh HB, Kim HJ, Kim KW, Jung CY, Kim HW, Chang TI, Park JT, Yoo TH, Kang SW, Han SH. Association of Plant Protein Intake With Risk of Incident CKD: A UK Biobank Study. Am J Kidney Dis. 2023 Jul 28:S0272-6386(23)00742-4. doi: 10.1053/j.ajkd.2023.05.007. Epub ahead of print. PMID: 37517545.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0272638623007424
Plant-based protein intake may reduce kidney disease risk
https://www.eurekalert.org/news-releases/997292
沈黙の臓器といわれる「腎臓」。若い年代で働きが悪くなると、将来、起こるリスクは?海外研究が報告
https://fytte.jp/news/healthcare/167432/https://fytte.jp/news/healthcare/119248/
からの記事と詳細 ( 海外研究で新たにわかった植物性たんぱく質の意外な効果とは? - FYTTE )
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