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Saturday, September 2, 2023

ふるさと納税で税収115億円失い、川崎市長「全国一の影響」と ... - 読売新聞オンライン

 神奈川県と県内33市町村で2023年度、ふるさと納税による寄付に伴う住民税の控除額(流出額)は過去最多の計707億5244万円に上ることが、総務省の調査でわかった。県と市町村に集まった22年度の寄付金は過去最多となったが、計163億1059万円にとどまっていた。流出分について、川崎市は国の 補填ほてん を受けられないため、115億円近い税収を失うことになる。(田村直広、村松魁成)

 川崎市に22年度集まった寄付金が前年度比2億9622万円減の6億3008万円だったのに対し、23年度の流出額は18億2394万円増の121億1527万円で全国ワースト4位。失われる税収は、市内全世帯の90%にあたる69万世帯のごみ処理費に相当する。

 ふるさと納税は本来、自治体が減収になっても、その75%分は国が穴埋めする仕組み。ただ、川崎市などは税収が多いため、国からの補填はなく、寄付金と流出額の差額のすべてを失うことになる。福田紀彦市長は「制度の趣旨と現状は 乖離かいり し、川崎は全国一影響を受けている」と不満を抱く。

 横浜市の流出額は、川崎市の2倍超の272億4243万円(前年度比42億3352万円増)で、8年連続の全国ワースト1位。国から減収分を穴埋めされるため、川崎市ほど「実害」は少ないが、横浜市税制課は「失われる税収は年々拡大している。国には制度の改善を求めていきたい」と訴える。

 総務省の資料を基に計算すると、このほかにも相模原市、藤沢市、大和市など県と16市町で、集めた寄付金よりも流出額の方が多い「赤字」となっていた。

 一方、22年度に集めた寄付金が県内で最も多かったのは、ハムやシャツなどの返礼品がある鎌倉市で、前年度比7億138万円増の24億533万円だった。

 21年度県内1位だった南足柄市は、返礼品で人気だったビールの工場がなくなったことで7億円以上減らしたが、県内2位に踏みとどまった。次いで箱根町、厚木市、小田原市の順で、上位5自治体は21年度と同じ顔ぶれだった。

 ふるさと納税による流出額が全国ワーストの横浜市は9月以降順次、新たな返礼品を増やすとともにPR強化のため、掲載する民間ポータルサイト数を2から7へ拡充する。

 返礼品は昨年度末から70種近く増やして409種となる。体験型ではホテルニューグランド(中区)など高級ホテルのスイートルームや、一般には販売されない横浜ベイホテル東急(西区)のVIPルームの夕食付き宿泊券を追加した。物品では横浜中華街の重慶飯店のヤムチャセット、ファッションブランド「キタムラ」のオリジナルグッズなどを加えて「横浜らしさ」を出していく。

 市は今年度、政策局にふるさと納税担当を移管。大手旅行会社「JTB」の協力も得て新たなアイデアの創出に取り組んでいる。流出超過を緩和するため、寄付の目標額は、25年度に現在の4倍超となる20億円としている。市財源確保推進課は「現行制度には課題もあるが、地域の活性化につなげたい」としている。

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