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Friday, September 1, 2023

コロナ後遺症、脳や肺の血栓が原因の可能性=英研究 - BBCニュース

Brain fog

画像提供, Getty Images

新型コロナウイルスに感染後、疲労や「ブレイン・フォグ」(脳の霧、頭に霧がかかったようにぼんやりとしてしまう症状)などの症状が長引く、いわゆる「Long Covid(罹患後症状、後遺症)」について、脳や肺の血栓が原因となっている可能性があることが、イギリスの最新研究で明らかになった。

そうした血栓が脳や肺にできた患者の16%で、少なくとも6カ月にわたり、思考力や集中力、記憶力に問題が出ていることがわかった。

論文によると、血中でたんぱく質の「フィブリノゲン」とたんぱく質断片「Dダイマー」の濃度が高くなることが、後遺症に関係しているという。

著者の1人、マクシム・タケット博士(オックスフォード大)は、「フィブリノゲンとDダイマーは、どちらも血栓に関わる物質。COVID-19後の認知機能の問題について、血栓が原因だという仮説を、今回の結果は支えている」と説明した。

「フィブリノゲンは、脳や脳の血管に直接作用しているかもしれない。一方のDダイマーは、肺に血栓ができていると示すことが多く、脳の問題は酸素欠乏によって引き起こされている可能性がある」

Dダイマーの血中濃度が高かった患者は、極度の疲労感と息切れを訴えた。また、仕事を続けることが難しい傾向があったという。アメリカで行われた研究でも、同様の結果が出ているという。

今回の著者の1人、ポール・ハリソン教授(オックスフォード大、精神医学)は、予測因子と、正解かもしれない仕組みを特定したことは、新型コロナウイルス感染後の「ブレイン・フォグ」を理解する「重要な一歩」だと述べた。

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Presentational white space

ただし、研究チームは以下のことを強調している。

  • 今回の研究結果の対象は、入院に至った患者のみ
  • この結果は「ジグソーパズルの最初のピース」に過ぎず、どのような治療法を提案・検証するにも、さらなる研究が必要となる
  • この研究では認知の問題について6~12カ月しか追跡できず、追跡方法もテストとアンケートに限られていたため、「細かやさに欠ける」可能性がある

今回の研究が指摘する以外の要素が、長引く後遺症の原因となっている可能性もある。

レスター大学のクリス・ブライトリング教授(呼吸器医療)は、「感染前の健康状態、有害事象そのもの、そして予後の組み合わせが、心身の健康に影響を及ぼす」と述べた。

COVID-19の後遺症は、軽症の場合にも発症することがある。

「無理をすると、くたびれ果ててしまう

Simon and his dog

画像提供, Simon Retford

セントラル・ランカシャー大学の講師、サイモン・レトフォード博士は2020年10月、新型ウイルスに感染し、2週間昏睡状態にあった。家族は最悪の事態を覚悟するよう言われていたという。

イングランド北部ランカシャー在住のレトフォード博士は現在、以前の60~70%の状態まで回復した。それでも集中しにくかったり、短期記憶をなくしたり、思考の脈絡が途切れてしまったりすることがあるという。

「昨年5月にひとつの講義のリーダーを任せられたが、自分はまるで、動作がとても遅くて仕事がはかどらないコンピューターのようだった」と、レトフォードさんは話す。

レトフォード博士はかつて長年にわたり警察の刑事として働いていたが、今ではそれは難しいだろうと言う。

「無理をすると、くたびれ果ててしまう」

自分は完全に回復しないかもしれないが、前向きでいると決めたのだと、レトフォード博士は言う。

「大勢が亡くなってしまったが、私はまだここにいるので」

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