サマリー:人材育成の手段の一つとして「1on1ミーティング」を導⼊している企業は7割近くに上るが、効果的な成果が上げられずに業務連絡や進行確認、雑談で終わってしまうという声も多い。その原因と課題解決の糸口を探った。
「人的資本経営」が注目されている。「個」に着目し、多様な人材の価値観を尊重、能力を生かす。その人材育成の手段の一つが「1on1ミーティング」という上司と部下の一対一の対話だが、思うような効果が得られないという声も聞こえる。「個と組織を生かす」というブランドスローガンを掲げるリクルートマネジメントソリューションズ代表取締役社長の山﨑淳氏に、人的資本経営が注目を集める背景と「1on1ミーティング」の効果的な活用方法を聞いた。
なぜいま、人的資本経営が注目されているのか
昨今の「人的資本経営」が注目されている背景には、社会的、経済的、戦略的、世代的という4つの側面があるとリクルートマネジメントソリューションズ代表取締役社長の山﨑淳氏は指摘する。
「社会的な側面では、人材の多様性や公平性を重視するダイバーシティ&インクルージョンの推進。そして経済的な側面は、企業に対する投資判断において非財務資本の重要性が高まっている点です」
そして戦略的な面では、成長が右肩上がりであった時代ではトップダウン型が機能していたものの「いまは多様な人材を束ねてイノベーションを生む経営が求められ、そのために『個』の力を最大限に引き出す必要があります。さらに世代的な面では、Z世代に代表される新しい価値観などを持つ世代が増加、企業と個人の関係も多様化しているのです」。
つまり、これら4つの点を企業側も意識しないと、企業成長が滞るだけでなく人材獲得にも後れを取ってしまう。
リクルートマネジメントソリューションズ
代表取締役社長 山﨑 淳氏
1996年人事測定研究所(現:リクルートマネジメントソリューションズ)に入社、採用選考、人事制度設計、教育体系構築支援などに従事。2012年リクルートキャリアに出向し、採用支援やリクナビ編集局長、事業統括部長を経て、18年にHRアセスメントソリューション事業をリクルートマネジメントソリューションズに移管、同社の執行役員を務め、21年4月より現職。
「個」のマネジメントへの移行は人事や管理職に負荷が大きい
このような変化は、「人事担当者や管理職に大きな負荷になっています。一人ひとりの能力を伸ばすためには、『個』の単位でとらえなければならないのですが、そもそもいまの管理職自身は全員一律のマネジメントの中で育ってきており、個を見るようなマネジメントは未経験。さらに昨今、リモートワークが加速し、顔を突き合わせて仕事をするというケースも少なくなっているからです」(山﨑氏)。
そこで注目されているのが、上司と部下が一対一で行う定期的な面談「1on1ミーティング」だ。目的は、「離職防止」「成長促進」「成果創出」にあり、上司と通常行う面談、たとえば「目標設定面談」や「評価面談」 などとは区別される。
同社が全国主要都市圏の企業を対象に行った調査「1on1ミーティング導⼊の実態調査」(2022年1⽉)によると、7割近くの企業が、1on1を施策として導⼊しており、大手企業(従業員規模3000人以上)では75.7%と、その導入率が非常に高いことがわかった。
その一方で、早くに導入した企業からは、1on1が形骸化し、業務連絡や進行確認、雑談で終わってしまうという声も多い。その大きな原因は、管理職に、対話の中で自律を促す共創型のマネジメントを行うためのスキルがない、または目的や効果測定のノウハウが共有されていないことなどが挙げられる。
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