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Thursday, March 2, 2023

ウクライナ相談員がこの1年で「わかったこと」 - nhk.or.jp

ロシアによるウクライナ侵攻から1年。 出入国在留管理庁によりますと、道内には、先月22日時点で24人が避難しています。

札幌市には、そうした人たちの相談員として働くウクライナ人の留学生がいます。 この女性は、懸命に同胞を支え、また自身も同僚に支えられる中で小さな善意が大きな支援につながることを実感したと言います。
(札幌放送局記者 竹村知真) 

少しでも誰かの支えに

ウクライナからの避難者を支援しようと、道は去年3月に相談窓口を設けました。
ここで相談員として働いているのが、アンナ・カルボフニチャさん(28)です。
留学を機に日本を訪れ、現在は北海道大学で学んでいます。

相談員を募集していることを知ったとき、アンナさんは「ようやく祖国の役に立てる」と思ったと言います。

アンナ・カルボフニチャさん
「戦争が始まったときに、やはり自分の無力感に対して、とてもがっかりというか、自分は何にもできない、自分の国は守れないと感じて、とても心が痛かったんですね。大学を通じてこちらの仕事の募集が来たときは、『これなら自分なりに少しでも役に立てられるのかな』と『少しでも誰かの支えになれるのかな』と思いました」

相談対応は試行錯誤の連続

そんなアンナさんを頼って、同胞から連日、助けを求める相談が寄せられています。
取材当日は、北海道に避難するのに必要な手続きや、住宅の探し方などについて尋ねられていました。
相談の内容は、病気の治療から日本語の学習まで多岐にわたり、試行錯誤の連続です。

さらに、戦闘が長期化する中、アンナさんは今、1年間に設定されている避難者の在留期間の延長に取り組んでいます。

避難者が慣れない申請書類を記入することができるよう、ガイドを作ろうと、アンナさんは出入国在留管理局の職員に細かい点まで確認していました。

ウクライナに残る家族

懸命に支援に取り組むアンナさんですが、特に苦しいのが、ウクライナに残した家族を案じる避難者のつらい気持ちに触れたときだと言います。
自身もウクライナに残る父親や祖父母の安否が心配でたまらなくなるからです。

ことし1月には、父親から「きのうはミサイルが飛んできていた。すべてのミサイルを撃ち落ちとしているが、その破片で人が死んでいる。私は平気。1日を避難所で過ごした」というメッセージが届いていました。

アンナさんは、毎日、心から家族の無事を祈っています。

アンナ・カルボフニチャさん
「常に時差があるから、何時間も返事が来ないんですよね。毎日、返事が来ていないのは、時差で確認するのが遅れているだけで、実際には何も起こっていないということを祈りながら、毎日を過ごしています」

そんなアンナさんが相談員を続け、同胞を支えることができたのは、共に働く同僚のおかげだと言います。

アンナ・カルボフニチャさん
「私も一生懸命強がって、常に『周りの人を支えたい』という姿ではいようとしているんですが、実際には失敗したり、1人ではどうにもならないような状況だったり、または心が持たないということが起こるので、そういったときには、まさにこちらのメンバーに助けられています」

戦争が始まって1年、「わかってきたこと」

こうした経験をへたアンナさんには今、伝えたい思いがあります。

アンナ・カルボフニチャさん
「戦争が始まってから1年間という時間がたち、その時間を通じて、また、こちらのセンターでのお仕事を通じて、1つわかってきたことがあります。こんなに離れている国の戦争に対して、自分は何もできないという気持ちになっている方は多くいらっしゃるのではないかと思います。ですが、実は些細なことでも、コーヒー1杯を飲まずに寄付をするという選択肢でも、周りにいるみなさんと「頑張ってください」のひと言でも、必ずしも大きいことではなくても、些細なことでも助けになります。自分の周りに、どれだけ些細なことでもできることは必ずあります。武器を持ってウクライナに行って、そこで一緒に戦うということではなくても、何万円の寄付じゃなくても、本当に些細なことでも、それは一つ一つが一緒になったらとても大きい支援になります。私も最初は何もできない、どうしよう、こんなに役に立たない私、どうしようって、泣くしかなかったんですが、実際には周りの皆さんとの交流の中で、こちらでもできることはちゃんとあることに気づきました。直接、避難している人を支えるような活動ではなくても、ひとりひとりが毎日起こしている小さな行動から、海のようにしずくが一緒になって、大きい波になることを信じています」

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