連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
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ANAホールディングス(HD)は、「マイルで生活できる世界」の実現をコンセプトに、アプリ開発の場面において、航空や旅行といった「非日常」に加え、「日常」とマイルを結びつけたスーパーアプリへ育てていくと発表した。本事業は、コロナにより3年近く経営に苦しんだ同社の浮沈をかけた大事業となる。その勝算とは。
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。
ANA HDの掲げる「スーパーアプリ構想」とは
スーパーアプリ構想は、ANA HD傘下のANAグループで14ある業務カテゴリーの中、セールス&マーケティングに分類されるANA Xが中心となって推進する。同社は2016年に設立された若い会社でマイル事業を担っており、2021年4月にANAセールスの旅行事業と統合。マーケティングデジタルプラットフォーム会社として新生ANA Xが立ち上がった。ANA HDは2020年10月に、事業構造改革として顧客データとANAアプリやホームページ等を活用したプラットフォーム・ビジネスを具現化することを発表。2021年3月には、「マイルで生活できる世界」を創り上げる「スーパーアプリ構想」を発表後、同年4月にデジタルマーケティング部内にアプリチームを創設し、アプリの開発を始めた。そして、構想から2年経過した今年10月20日にANAマイレージクラブアプリのリニューアルとともに、目標となる「スーパーアプリ構想」が本格始動した。
マイルで生活ができるのかという疑問に対して、ANA Xは次のように語っている。
「航空や旅行というこれまでの中心事業に加えて、日常生活において広くマイルをためる・使うことができるサービスや機能を拡充していき、プラットフォーム・ビジネスを実現していきます」
具体的には、下図のとおり、旅行だけでなくとも、日々の暮らしでマイルをためたり使ったりできるということになる。
また、マイルで生活ができる世界を創り上げるツールとして、「街中やデジタル市場でお客さまの手のひらでスマホを使って ANAのマイルを「ためる・使う」ことができるスーパーアプリ開発が始まりました。」とも伝える。マイルを身近なものとして認識していいということは理解できたが、他のアプリとの違いは何だろうか。
日本でのスーパーアプリは、LINEやPay Payなどコミュニケーションや決済アプリの発展型が存在する程度という認識だ。そのような生活に密着した既存アプリに対して旅や移動を主体とするアプリがどこまで成長できるのか、興味深いところである。
単純に国内ユーザー数だけで比較するとLINEは9,000万人、PayPayは5,200万人と、ANAマイレージクラブ(AMC)の約3,800万人と比べてさほどかけ離れた数字にはなっていない。しかし、AMCに関してはカード会員が多数を占め、今後拡充するアプリのダウンロード数はまだ約350万人にすぎない。他社に比べて1/10以下という数字が格差を物語る。
ANAスーパーアプリに勝算はあるのだろうか。ANA X デジタルマーケティング部チャネル企画チームの庄田 奈津美氏に話を聞いた。
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