■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
APS-C最強画質のX-H2と伴に花火大会へ
2022年にFUJIFILMから「X-H2」と「X-H2S」が発売された。H2SのSはスピードを意味しており、40コマ/秒の高速連写と高速AFを搭載している。これに対してH2はAPS-Cサイズで最も高精細な4020万画素センサーを搭載している。今回はH2を借用して「2022NARITA花火大会 in 印旛沼」を撮影した。
X-H2はX-H1が採用していたシャッター速度ダイヤルとISO感度ダイヤルが省略されモードダイヤルが採用され、軍艦部にサブ液晶画面がある一般的なインターフェイスとなった。これで他社のミラーレスユーザーも使いやすく、乗り換えも容易になった。液晶モニターは3方向チルトからバリアングル方式になったことと、リアコマンドダイヤルのプッシュ操作が廃止されたのが、私にはいただけない。転送速度の早いCFexpressカードが使えるようになったのは有り難い。最低感度はISO125になった。EVFは倍率0.8倍、576万ドットで非常に見やすい。このEVFを搭載しているのはX-H2とX-H2Sのみだ。
花火の撮影に使ったのは「XF10-24mmF4 R OIS WR」、このレンズは私物で絞りリングに絞り値表示のない旧タイプ
花火には三脚とレリーズが欠かせない
今回はX-H2を使って花火大会を撮影するが、実は花火の撮影には高速AFも瞳AFも高速連写も手ブレ補正機能も必要ない。つまりカメラに対しての敷居が低いのだ。必要なのは三脚とリモートレリーズ。リモートレリーズ純正品は高価だが、互換品なら1000円台で購入可能だ。あとは花火の規模にもよるが減光用のNDフィルターがあれば、絞りすぎによる回折現象での画質劣化を防ぎ、白飛びも抑えられる。
花火撮影で最も重要なのがロケハン、特に風景と花火を両方入れる場合はいかにいい場所を見つけるかが差別化の決め手になる。花火大会によってはカメラマン席が設けられることもあり、そこから狙えばまず間違いないだろう。また、席によっては三脚禁止のこともあるため事前に確認しておこう。ピントはAFを使うと迷う心配があるため、1発目の花火でAFが効けば、その位置からMFに切り替えて固定するか、MFで無限遠にして、撮影してから拡大再生して微調整する。シャッター速度はバルブを選択すると、シャッターボタンを押している間だけ、シャッターが開いているので、撮影結果を見ながら調整する。長時間開ければ花火の光跡は長くなるが露出オーバーしやすくなる。
今回の撮影では複数の花火を同時に画面に入れるため10秒前後が多かった。絞りは回折現象を考えるとF8より絞りたくないが、今回はF8~13を使った。ISO感度は限界まで下げるが、拡張感度にすると画質が悪くなりそうなのでやめておいた。色温度はオートでも構わないが、余裕があれば白っぽい花火なら3000K前後、オレンジ色系なら4500K前後する。今回は間を取って3800Kで統一した。フィルムシミュレーションはVelviaを選択した。
花火撮影に欠かせないのが、三脚とリモートレリーズ。純正は高価なので互換品を使用
X-H2用はφ2.5mmの端子のタイプで、Canon EOSとOLYMPUS OM-1などにも使える
ピントはMFを使用、ズーミング時に誤って回さないようにフォーカスリングをテーピングする
あると便利なのがNDフィルター、ND8ぐらいが使いやすい。今回は未使用
基本設定は、シャッター速度バルブ、絞りF8、ISO125、色温度3800K
長時間ノイズ低減は撮影後の処理に時間がかかるのでOFFにする、手ブレ補正もOFF
バルブで撮影中は液晶モニターもEVFも黒くなってしまうため露出は勘で決める
後からトリミングできる4020万画素
花火撮影の失敗で多いのが、予想より花火が大輪で一部がフレームアウトした。明るくて白飛びした。逆にシャッターを閉じるのが早過ぎて暗かった。これを防ぐためには超広角レンズで構図の周囲に余裕を持たせる。しかし、やり過ぎると夜空の黒い部分が多くなり花火の迫力が失われる。X-H2なら4020万画素もあるので、余裕を持って余白を取り、撮影後にトリミングできるで安心だ。ギリギリまで攻めて失敗しては元も子もない。白飛びに関しては、初めて見る花火では予想が付かないので、適当なタイミングでシャッターを閉じるしかない。
何千発も打ち上げる花火大会なら、撮影していくウチにコツを掴めるようになるだろう。多くの花火大会はクライマックスに盛大に花火を打ち上げるので、この時は絞りを多めに掛けて長時間露光に備えよう。花火の横幅も計算に入れないと左右が切れることになる。今回は初めて行く花火大会だったので、リスクを避け、人物や風景を入れずに主に花火のみを狙ったため、大きな失敗なく撮れたと思う。皆さんも機会があれば、挑戦してみてはいかがだろう。
花火の位置とピントを確認するために撮った1枚。ピントはこの位置で固定した
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 10sec、F11、ISO125 18mm相当
どれぐらいの高さまで花火が上がるかをチェック。基本ヨコ位置で撮影した
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 17sec、F11、ISO125 23mm相当
スケール感を出すため観客も入れて撮影。左下の照明が邪魔だがカットできなかった
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 19sec、F11、ISO125 16mm相当
上の画像の右端を100%で切り出した。4000万画素オーバーの解像度が際立つ
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 19sec、F11、ISO125 18mm相当
イメージ通りの花火が撮れるようになってきた。撮影開始10分後の花火
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 9sec、F11、ISO125 22mm相当
画面中心部から打ち上げ花火が上がった。打ち上げの光跡を入れると10秒を超える
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 11sec、F11、ISO125 22mm相当
色合いの違う花火もVelviaのおかげで鮮やかに撮れた
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 13sec、F13、ISO125 22mm相当
白い花火が横並びに打ち上がると白飛びしやすくなる
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 10sec、F8、ISO125 22mm相当
リモートレリーズを使わず指でシャッターを押し続けると下の花火がブレてしまった
XF10-24mmF4 R OIS WR FUJIFILM X-H2 11sec、F8、ISO125 21mm相当
写真・文/ゴン川野
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