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Sunday, July 3, 2022

竹中プラン、みずほがあえいだ巨額の不良債権処理 - 日経ビジネスオンライン

発足当初から多額の不良債権を抱えていたみずほは、大衆の熱狂的な支持を受けていた小泉純一郎政権における竹中平蔵金融担当相の「金融再生プログラム」(竹中プラン)によってさらに混迷を深めることになる。自己資本比率を高めないと、銀行の存続さえ困難になる状況に陥った。みずほのさらなる苦闘を、『みずほ、迷走の20年』より抜粋のうえ紹介する。

資金を吸い上げる銀行

 当時のみずほ幹部は「システム障害も問題だったが、竹中プランがみずほのスタートの大きな誤算になった」と話す。同プランに沿うと、みずほは新たに2兆円の不良債権処理が必要になる。1兆円規模の追加資本がなければ自己資本比率は国際規制で求められる8%を割り込むことがすぐにわかった。

 みずほは内部でいくつかの対抗策を練る。一つはほかのメガ銀行とのさらなる統合だった。三和銀行と東海銀行の合併でできたUFJホールディングスがターゲットになった。もう一つの秘策は「みずほコーポレート銀行とみずほ証券の海外部門、あるいは本体そのものを切り離して売却する案だった」(みずほOB)。事業売却で利益を得ると同時に、現在のりそなホールディングスのように国内のリテール業務に特化して、みずほ銀行単独で生き残る策だ。第一生命保険など親密先である大手金融との資本提携も俎上(そじょう)にのぼった。

 ただ、UFJとの合併構想は内部で早々に潰れる。みずほは3行統合の直後で、さらなる再編は組織の混乱を深めるリスクがあった。UFJは流通大手のダイエーなど不良債権問題を抱えており、みずほと統合しても大きな効果が見込めるわけではなかった。

 コーポ銀と証券の切り離し案は、旧興銀勢が猛烈に反対した。外資などへの売却を検討したが、切り離される側にとっては真っ先にリストラなどの対象となりかねない。第一生命など大手金融との資本提携案も、先方から色よい回答をもらえなかった。みずほが出した結論は「竹中プラン」の通りにすべての不良債権を処理して、さらに自力で資本増強するという崖っぷちの再建策だった。

 当時の前田晃伸みずほホールディングス社長がプロジェクトチームを発足させ、アイデアマンとして知られた小崎哲資コーポ銀経営企画部長らが具体策を練った。できあがったのは旧第一勧銀、旧富士、旧興銀の取引先を相手に、合計1兆円分ものみずほの優先株を引き受けてもらう仰天するようなプランだった。本来は産業界に成長資金を供給する銀行が、自らの生き残りのために産業界にリスクマネーの拠出を求める前代未聞の策だ。

ほかの銀行との統合を模索したこともあったが、結局は自力で資本増強する道を選んだ(写真:shutterstock)

ほかの銀行との統合を模索したこともあったが、結局は自力で資本増強する道を選んだ(写真:shutterstock)

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