知床半島沖で観光船が沈没した事故で24日午前、海中につられた状態のまま作業船で運ばれていた船体が斜里町沖で水深180メートルの海底に落下しました。つり上げのためのナイロン製のひもを通していた船体の前方の手すりが外れていたことが分かり、今後、サルベージ会社が水中ロボットを使った遠隔操作で船体にひもをくくりつけて再びつり上げる方針です。
知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没した事故で23日、船体が水深およそ120メートルの海底からつり上げられ、海面の下20メートル程度の海中につられた状態のまま作業船で運ばれていましたが、24日午前、斜里町のウトロ港からおよそ11キロ西の沖合で落下しました。
サルベージ会社が作業船の運航中に海中の船体の状況を点検していましたが、午前9時から10時の間に船体が落下しているのが分かり、その後、深さ182メートルの海底に沈んでいるのが確認されました。
海上保安庁によりますと、サルベージ会社が水中カメラで調べた結果、つり上げるためのナイロン製のひもを通していた船体の前方にある手すりが外れていたことが分かったということです。
潮の流れを受ける中で手すりが外れて船体がバランスを崩して落下した可能性があり、船体に5本かかっていたひものうち、船尾側の2本は切れていたということです。
また、船体は船底を下にした状態で沈没していて、水中カメラで確認する限り、原型をとどめているということです。
サルベージ会社は25日にも水中ロボットを使った遠隔操作で船体にひもをくくりつけるなど本格的な準備を始め、早ければ26日に再びつり上げる方針です。
【“潮流が逆向き 船体が抵抗受けたか”】
海上保安庁で現場トップの海上保安監や警備救難部長を歴任した伊藤裕康さんは、観光船が落下したことについて、「船の進行方向に対し、現場海域では潮の流れが逆向きだったと思う。船体が抵抗を受けて補強していたロープが緩むなどの影響があったと考えられる」と指摘しています。
その上で、捜査や調査に与える影響については「水深180メートルの海底なので、多少なりとも傷がついている可能性はある。ただ、最初に船体を発見した段階で船の周囲をくまなく撮影して証拠をおさえているはずで、今回ついた傷かどうかは区別はつく」と述べ、限定的だという考えを示しました。
今後の引き揚げに向けた作業については「今回は船内の様子を確認する必要がないので、水中カメラでの作業の可能性もある。深さの影響はないが、一番の問題は潮流になる。潮流を読みながらコントロールするのは難しいとは思うが、順調にいけば数日で引き揚げ作業ができるのではないか」と話していました。
【「心配」「非常に残念」】
観光船「KAZU 1」の船体が斜里町沖の海底に落下したことについて、斜里町ウトロの漁業者で事故のあと仲間とともに行方不明者の捜索にあたった古坂彰彦さん(63)は「原因究明を期待していたので残念だし、落下により船体に傷がついていないか心配だ」と話していました。
また、神奈川県から斜里町を訪れていた男性は「万全を期して作業を行っていると思っていたので、驚きでしかない。好きな町である斜里・知床で事故が起こったこと自体、残念に思っていたが、これでさらに真相究明が先に伸びてしまうことが非常に残念です」と話していました。
札幌市から訪れた60代の男性は「順調にいけば、船体をきょう引き揚げられると思っていました。落下してしまったことは、家族の方の気持ちを考えると本当に残念」と肩を落としていました。
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