撮影:相川いずみ
「次のPTA会議、Zoomでやりませんか?」
新型コロナウイルスの影響で、全国の学校で休校が相次いでいます。地域によっては今週からいきなりの休校で、大混乱になったご家庭もあるかもしれません。
そんななか、小学校5年生を終えようという、子どもが通う小学校のPTAメンバーに提案をしたのが、先の発言でした。
私はIT系出版社で長く働いていた経験もある仕事柄、オンライン会議アプリのZoomやFacebookメッセンジャー、スカイプなどでの打ち合わせは慣れています。それでも、PTA活動のオンライン会議は、さすがにこれまで経験がありません。
もし、これがきっかけでPTA会議をオンライン化できれば、さらに保護者にとって効率的な運営ができるのでは……。そんな期待もあり、実際に試してみました。
実行してみると、次年度への課題や学びが大変多いものでした。
PTA会議が「延期」できなかった理由
撮影:今村拓馬
3月のPTA活動は、次年度への引継ぎや入学式で配布する書類の準備などがあります。つまり、臨時休校であっても、PTAの業務自体は進めなければいけません。
会議の延期が難しい一方で、PTAメンバーの中には(当然ですが)小さな子どもを抱えながら外出に不安を感じる人も多く、また、学校自体が休校になっているのに保護者が集まってよいかという懸念もありました。
とはいえ、オンライン会議を体験したことのない保護者もいるなかで、リモート開催でのPTA会議が果たしてできるだろうか? 正直、不安はありました。
元々PTAは会社と違い、年齢も職業もバラバラな人の集まりです。特にITに関しては、23区とはいえ自宅にPCを持っている家庭は少なく、一部にはガラケーしかない保護者もいる、というリアルな現実があります。そうしたなかで、ICT化をすすめていくことは一筋縄ではいかないのが現実です。
実際にZoomでPTA会議をしてみたメンバーの感想を通じて、感じた課題やメリットなどをまとめてみました。
ZoomでのPTA会議で気をつけたい6つのこと
1. メンバーへの理解に努めること
出典:Shutterstock
まず、実施前の最大のハードルが「メンバー間の理解」です。
Zoom導入に限らず、PTAのICT化を進める上で最も気をつけたい点です。PTAでは、すべての学校でそうではないかもしれませんが、「これまではこうやってきた」ということが非常に重視され、新しい方法やアイデアがなかなか受け入れられにくい、という点はいろいろな人が言及されているとおりです。
「これが便利だから、やります」を強行してしまうと反発が起き、結果として「PTAはもうやりたくない」というPTA離れにつながってしまいます。この点に、とにかく注意を払いました。
2. ITに詳しいメンバーは最低1人は必要
出典:Shutterstock
導入前の説明だけでなく、実際に始める際に「そもそも操作がわからない」というトラブルはつきものです。そうした際に、さっと説明できるメンバーがいることは大きな安心感になりますし、会議をスムーズに進めるうえでは不可欠です。
Zoomを使ったPTA会議は、主催者が会議のURLを伝えるだけで、参加者はそのURLをクリックすると自動でアプリのインストールへ進んでいきます。そのため、会議の入室自体には、まったく問題がありませんでした。
数人が引っかかったのは、マイクの設定でした。
ただ、入室してしまえば、(画面共有機能で)画面を見せながら声で説明できます。この方法で、すぐに全員が話せるようになりました。この手軽さは、Zoomが会議システムとして多くのシーンで採用されている理由だと感じます。
ただ、操作に慣れた人がいないと、この「画面共有」ができないかもしれません。その意味で「詳しい人が1人は必要」ということです。
3. 「ビデオオフ」の発言でも混乱しない“ひと工夫”
出典:Zoom
私は、仕事でオンライン会議を使っている際も、自宅から参加する場合は遠慮なく「ビデオオフ」の希望を出しています。「化粧をしなくていい」「片付けなくていい」ということが大きな理由です。
PTA会議の場合、顔が見えるほうが、今誰が発言しているかがわかりやすいし、表情も読み取りやすいです。それでも想定どおり、最初はビデオオフで参加してきた人が何人かいました(参加メンバーは呼び掛けた8人のうち7人が参加。内訳は男性が3人、女性が4人)。
ビデオオフの会議では、参加者が多くなると、誰が誰だかわかりづらくなります。そこで、発言の最初に「相川です」などと名乗ってもらうようにしました。これだけで、会話がずっとスムーズになります。
4. 「進行役」を選ぶこと
通常の会議と同様に、進行役がいることで会話がスムーズに進みます。これは「Zoom経験に関係なし」というのがポイントです。PTAであれば会議の主催者や、進行が得意な人におまかせするのが良いと思いました。
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5. 資料は「画面共有」を活用。文字サイズに注意
出典:Shutterstock
Zoom会議で反応がよかったのが、画面共有機能です。
見てもらいたい資料を、その都度全員の画面に表示できるため、今の議題に集中しやすく、ペーパーレスにもつながります。ここでも注意点があります。「スマホで参加している人を意識すること」です。PCや大画面のタブレットで見る人だけではないので、文字を大きめにする、拡大して見せるなどの配慮が必要です。
6. 反応次第で「オンラインPTA活動の定例化」を検討
参加者の反応次第ですが、「今後もできそう」「この方が便利」という手応えがつかめたら、オンライン会議を定例化していくことが、次の一歩だと思います。全員が集まれなかった会議でも、Zoomにすることで参加者増が見込めれば、メンバーにもメリットとして感じてもらえるかもしれません。
ちなみに、今回のPTA会議での反響は「思ったより簡単にはできた」という手応えは感じたものの、同時に「やっぱり対面にはかなわない」という意見も多いことを実感しました。
出典:Shutterstock
参加したPTAメンバーの反応は……
Zoom会議のあと、参加したメンバーに感想を聞いてみました。
「案外トラブルなくできた」と、おおむね抵抗はない雰囲気の一方で、
「家が狭いので、結局カフェや学校に来ないとできない」
「子どもがうるさく集中できない」
「“場の空気”みたいなものまでは感じとりにくい」
「どちらにしてもその時間は会議に費やすので、学校みたいに近い場所では、集まっても集まらなくても、大差ない気がする」
といった率直な意見も挙がりました。
一方で「子どもが騒ぐと叱ってしまう」という意見については、「そこはPTAだからお互い様」という声もあり、全員が子をもつ親だからこそ許容できるものもあることを実感します。
在宅での会議では子どもが隣で騒いでしまうこともしばしば見受けられる。
撮影:今村拓馬
また、指摘されてなるほどと思ったのが、「(来られるなら)学校に来た方がはやい」という意見です。公立小学校では、基本的に全員が近距離に住んでいることが多く、「近いから行く方がいい」という面があります。
また結局のところ、「実際の対面での会議>リアルタイムのオンライン会議>文字ベースのチャット」という壁は崩せないため、全面的なZoom会議化はメリットばかりではないことも、理解できました(ただし、遠方の生徒も多い私立校では、事情が異なるかもしれません)。
一方、ツールについては「LINEでもよいのでは」という意見も。LINEは利用者が多く、自分の周囲の保護者を見ていても、多くの学校のPTAでの連絡ツールにもなっています。
全員がLINEを使っているPTAであれば、Zoomほど機能はないとはいえ、「LINEのオンライン会議」もありかもしれません。ただし、中には「LINEは使いたくない」「教えたくない」という人がいるのも事実で、ここはグループでの合意が必要なところです。
結局一番大きな収穫は何だったか
PTAの時間捻出に悩んだら、まずはどれだけメリットがあるかどうか体感してみてはどうだろうか。
出典:Shutterstock
今回、新型コロナウイルスにからんだ臨時休校という避けがたい緊急事態のなか、ZoomでのPTA会議を開催したことの最大の収穫は、「こうした参加の仕方もある」「意外に簡単にできる」ということを体感してもらえたことです。
実際この経験から、来年度の予算でPTA会議室にZoom用の会議マイクを買うことも決まりました。
この記事に先立って、「PTAでZoomを検討している」とFacebookに投稿したところ、複数のママさんから反応があり、「知らなかったけど便利そう」「使えたら便利」といった賛同の声も多く届きました。
筆者によると、この小学校のPTAでは、一部でSlackやGoogleドライブも導入しているという。
出典:Shutterstock
また、4月からPTAに参加するママさんからは、「新型コロナウイルスの影響で休校措置、外出も控えるピンチな時こそが、人と人がつながるチャンスだと思う。PTAも前例通りに行うのではなく、大人たちが思いきってハードルを下げて、無理なくできることをゆるくやってみたい」と、Zoom導入に意欲的な話もいただきました。
まずはお試しでやってみて、PTAの時間捻出に悩むみなさんに、どれだけメリットがあるかどうか、ぜひ体感してみてほしいと思います。
(文・相川いずみ)
"わかった" - Google ニュース
March 06, 2020 at 03:05AM
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緊急事態ならPTAもテレワークできる。「ZoomでPTA活動」試してわかった6つのこと - Business Insider Japan
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