Pages

Wednesday, July 10, 2024

【原因は”らい菌”】 ハンセン病② 【最近わかったこと】 - 自社

こんにちわ。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。

人権とハンセン病について少しだけ触れました(前回ブログより←クリック)今回は、原因である”らい菌”について深堀します。そもそも、癩(らい)はハンセン病の中国語です。

【原因は”らい菌”】
1873年にノルウェーのHansenによって発見されました。結核菌と同じ”抗酸菌属”ですが、らい菌は人工培地での培養ができません。そのため動物(マウスの足蹠またはアルマジロ)を使用して菌を増殖させる方法が確立されました。ハンセン病は”らい病”とも言われましたが、現在では「ハンセン病」が正式病名になりました。ただし、菌名は「らい菌」が使用されています。ハンセン病の大きな分類として多菌型(MB)と少菌型(PB)の2つがあります。有効な治療薬(リファンピシン、ダプソン、クロファジミン等)があり、現在では治療可能な疾患です。

国立感染症研究所より引用

治療が確立されるまでは、1578年本草綱目に、大風子油というものがハンセン病治療薬として挙げられています。それ以前では、熱い風呂に入る、血を抜くなどの民間療法がなされていました。

【感染経路は不明】
実は、未だに感染経路がはっきりしていません。理由は、以下のように考えられています。
・培地での人工培養ができない(試験管で研究できない)
・初期症状が見つけにくく、感染経路が追えない
・潜伏期間が長い
らい菌は神経や皮膚に症状を引き起こしますが、菌自体は鼻粘膜から排出されます。つまり、くしゃみ・鼻水等から菌自体は飛散します。ハンセン病を看護する健康な家族の鼻粘膜からも、菌が検出されることがあるとのこと。しかし、気管や肺では増殖しないようです(だから咳とかは出ない)。皮膚病変にも菌は検出されてますが、排出される菌数は少なく、皮膚から人間への伝搬は考えにくいそうです。検出と感染は異なるため、これも新型コロナと同じですが、mRNA陽性=感染者ではないというのと似たような構造ですね。

【母乳感染】
母乳にも抗酸菌自体は入ってくるそうだが、母乳栄養児は、人工栄養児に比べてハンセン病発症率が1/2であるとのこと。母乳にはIgAを含めた多くの免疫に関する物質が含まれていることに影響しているのかもしれません。

【免疫抑制作用】
ここが”らい菌”のおもしろいところです。多菌型ハンセン病患者を家族にもつ場合、46%の割合で”らい菌”の陽性者が見つかるそうです。不顕性感染といって、菌が悪いことしないで大人しくいるということです。病態によっては、検査陽性にはなり得ますが、感染には至らないということのようです。
通常、菌がいたらすぐに異物として白血球などが攻撃して、その部分が腫れたり、痛みが出たり、熱が出ます。しかし、その免疫反応が起こっていないため、免疫をスルーできるような能力があるのではないかと昔から言われていました。そして、なんと2023年に、その免疫抑制メカニズムが発見されました。

【ごく最近にわかったこと】
らい菌の表面にあるPGL-3(フェノール糖脂質-3)は、免疫反応をパワーアップするとのこと。らい菌は、このPGL-3を持ってはいるが、非常に少なく、代わりにPGL-1を多く持っています。PGL-1は、-3とは逆で、免疫反応を抑えてしまうそうです。そして、PGL-1は、-3を材料にして合成されているとのこと。このメカニズムを利用して、あらたな治療薬や予防薬を開発できる可能性が示されました。1873年の菌発見から、こういったことがわかるのに150年かかりました。これが科学であり、研究なんですね。こういったことを知ると、「ワクチンで死なない!」とかよく言えるなってわかると思います。

20230712_1_1.png
ハンセン病を起こすらい菌が マクロファージを攪乱する仕組みを発見 より引用 クリックで記事が読めます

【らい菌が体内に入ると】
末梢神経にてコロニー(塊)をつくるとされますが、他の臓器ではすみやかに排除されるそうです。そして、細胞内に入り込んでしまっても、急激な増殖もみせないため、免疫もあまり反応しないようです。神経付近には、リンパ管(免疫細胞を運ぶ)がなく、温度もそこまで高くないのも1つの要因です。ヘルペスウィルスもですが、人間の神経細胞は潜伏するには良い場所のようです。ヘルペスは、免疫が落ちると発症しますが、らい菌は、上記メカニズムにて免疫から逃れているようです。潜伏スキルの違いですね。

【らい菌をシバクには】
新型コロナのように抗体ではシバけません。マクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる大きい細胞がパクっと食べます。しかし、マクロファージが食べても、その体内にある菌をシバかない場合もあるようです。その場合に、菌が多い多菌系ハンセン病となります。ここに、インターフェロンγのような物質で外から刺激を与えると、マクロファージは急に動き出すそうです(気まぐれすぎる)

どうでしょうか。少し”らい菌”について初めて知ったよという内容はありましたでしょうか。こちらの論文を参考しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました~。次は、めちゃくちゃな対応について書いてみようと思います。
ご意見・ご感想はこちらまで
takuya_nagata_1026@yahoo.co.jp

この記事をシェアする

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 【原因は”らい菌”】 ハンセン病② 【最近わかったこと】 - 自社 )
https://ift.tt/ZKPS2kd

No comments:

Post a Comment