Pages

Thursday, June 13, 2024

がんになって初めて分かったこと。ビューティー・エディターが綴る約1年9カ月の闘病記 - VOGUE JAPAN

がんになって初めてわかったことがある。それは、いかにがんという病について知らなかったかということ。そしてもう一つ、自分が抱くがん治療のイメージが古いものだったことだ。がん=不治の病というイメージがいつ刷り込まれたかわからないが、現実には治療法も大いに進化。部位やステージ、個々のがんの特性によって異なるだろうが、がんになったからといって必ず死ぬというわけではない。私はネットなども多用、正しい情報と知識を得るよう心がけた。疑問点は事前に整理してメモ書き。診察時の限られた時間の中で、取材の要領で医師に質問。治療に関しての不安や疑問を解消するようにした。

Photo: olli1973/123rf

さて、乳がんの治療。それはサブタイプによって大きく左右される。がん細胞の表面にあるホルモン受容体やタンパク質などにより、乳がんは5つのサブタイプに分類されるのだけれど、タイプごとに治療法も異なるとされている。私のタイプはルミナルBという診断。2023年3月に部分切除手術を行い、その結果で化学療法など詳しく検討することになった。

手術後、約1カ月経って切除した組織や細胞を詳細に検査する病理検査の結果が出る。がんの性質や悪性度、広がりなどを知ることができる病理診断により、その後の治療が決まってくる。そして4月。予想だにしない衝撃的な内容を医師に告げられた。針生検での検査結果と異なり、サブタイプは「トリプルネガティブ」。しかも増殖スピードも早く悪性度も高いという最悪の結果だった。トリプルにネガティブって、聞いただけでいかにも状況が悪そうな名称だが、治療法も抗がん剤一択。また部分切除ではがん細胞の散らばりを取りきれていない懸念もあり、まずは抗がん剤投与の後、再度全切除手術を受けざるを得なくなった。正直、自覚症状はまったくなかったし、手術後の回復も早かった。なのに「なんだ、この顛末は!」と落胆と畏れ、怒りが湧き上がる。

とはいえ、嘆いていても前には進まない。連休明けから2週間ごとに抗がん剤投与(点滴)をスタートし、4コース(4回)続けた後に、薬剤を変えてさらに4コース。計4カ月にわたる治療がスタートする。結構過酷なレジメン(薬剤の用量や用法、期間などの治療計画)だったが、「トリプルネガティブ攻略」としては仕方ない。吐き気などの副作用も心配だったが、脱毛も必至。だったらその前にバッサリとショートにし、人生初に近いショートヘアを体験しておこうと美容院へ。ハイライトまで入れて、しばしそのスタイルを楽しむことにした。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( がんになって初めて分かったこと。ビューティー・エディターが綴る約1年9カ月の闘病記 - VOGUE JAPAN )
https://ift.tt/EjproZA

No comments:

Post a Comment