次々誕生する、生成AIでできること
インターネット以来の技術革新と言われる生成AI。人工知能と対話しながら課題解決するという、まさにSF映画の世界の到来だ。
講演の冒頭で日本ハッカー協会の代表理事、杉浦隆幸氏は「文章や画像をトリガーに質疑応答、音声の文字起こしや文章の要約、コード生成、作曲などが可能です」と説明する。
例として挙げたのは、ChatGPTで作成した「新しい日本国憲法の前文」や、音楽生成サービス「MusicGen」で「ファンタジー」「魔法」「王国」といったキーワードから自動生成させた短いメロディ。
さらに、機械学習アプリ開発ツールHugging Faceを使って作られた岸田総理の声色でテキストを読み上げる「AI岸田文雄メーカー」、AIアバターが様々な言語に合わせて口を動かしテキストを読み上げる「Wondershare Virbo」などを取り上げ、“お遊び”を含めて、生成AIをうまく取り込んだサービスが次々と登場している状況を楽しく紹介した。
生成AIを使いこなすには“指示力”が必要
当然、何もかも生成AIで作れるわけではない。たとえば、多くの企業がインターネット上に公開し、読んですぐ理解できるよう短い文章にまとめられることが多いセキュリティポリシーは、「生成AIが得意とするところ」と杉浦氏は解説する。同氏によれば、生成AIに向いているものは、公開例が多いものだそうだ。
杉浦氏によれば、GPT-3.5モデルで実施に生成してみたところ、必要な項目に抜けがあるものの、「80~90点はとれるレベルの文章が生成された」という。
また、各国で異なる法規制など考慮すべきポイントが多いために、生成AIに書かせるのは難しいとされてきたプライバシーポリシーや利用規約についても、2023年11月に公開されたGPTsであれば、特定の文書や業界専門用語を学習させることができるという。
そのため、今後はより精度の高いものが生成できるようになると杉浦氏は期待を寄せる。既に、ISO27001とISO/IEC27002のベストプラクティスを学習済みの「ISO Guardian」が公開されており、「実際に使ってみた」と話す杉浦氏。
「ISO27001を取得するために必要なISMSのポイントの大枠を出した上で、各項目の詳細を詰めるといった作業が可能になり、ゼロから書くよりも楽」と評価した。
難点は、ピントの合わない文章を生成することが多い点だ。「思い通りの結果が出ないのは、指示力が足りないからです」と率直に断言する杉浦氏。
具体的には「書き手は情報セキュリティコンサルタント」で「クライアントは初めてセキュリティ対策に取り組む製造業」、そんな彼らに「最初にやるべきことを提案する」といった具合で、しっかりと指示を出すことだという。
「書き手の立場や対象読者、文章の主旨や目的を明確にすることで生成結果は変わってきます。プロンプトを書くときは、何も知らない人にも伝わるような文章を意識すること。的確かつ過不足なく、論理的に指示を出すことが重要です。それができないと、生成AIの活用はあっという間に限界が来てしまいます」(杉浦氏)
なお杉浦氏によれば、令和5年度春期の情報処理安全確保支援士試験、午前IIの問題をChatGPTに解かせてみたところ、10問中9問正解したという。試験の問題文は正解を導き出せるように書かれており、つまりは“的確な指示”で構成されているため、生成AIが正解できたと分析する杉浦氏。
「今後、試験問題を作成するときは、一度ChatGPTに問題文を解かせて正解できるかどうか検証するといいかもしれない」(杉浦氏)
からの記事と詳細 ( 「できることが日々増えていく」ホワイトハッカーが生成AIをセキュリティで使ってわかった今後の対策 - EnterpriseZine )
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