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Friday, November 3, 2023

宇宙で子孫をどう残す? マウスの実験からわかったこと - GIZMODO JAPAN

地球外でも妊娠、出産は可能になる?

地球以外の星に住むことになる将来がやってくる可能性、ありますよね。空気とか水とかそういう心配は最初に浮かびますが、ちょっと考えたいのは、宇宙で子供って産めるのかなってことです。

マウスの受精卵で実験

そんな実験が国際宇宙ステーションで行なわれました。実験ではまず、地球上でマウスの胚を受精させ、二細胞期まで発育させた後に凍結。そしてその凍結胚を2021年8月にSpaceXのロケットで国際宇宙ステーションへ持って行ったのです。宇宙へ運ばれた凍結胚は、国際宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士によって溶解され、4日間培養されました。

地球に戻して分析

その後、胚を化学保存し、今度はまた地球に送り返して分析。すると、胚が正常な細胞数の胚盤胞に成長したことを確認しました。また、DNAと遺伝子の状態にも大きな変化がないことも分析の結果わかっています。

この実験結果から、人間も宇宙で繁殖できる可能性があるということが示唆されたというわけです。iScienceに発表された研究結果では、微小重力環境が胚の発達にほとんど影響を与えなかったと記されています。

New Scientistでは今回の研究を行なった山梨大学、若山照彦教授の言葉が引用されています。

火星へ行くのに6カ月かかるので、火星への旅行中に妊娠する可能性は出てきます。その時のために、私たちは安全に子供を持つことができるように研究を行なっています。

アルテミス計画の一環として、NASAはまずは月面に人類を送り、月での人類の持続的な活動を確立し、その後火星への初着陸につなげたいと考えています。最終目標は、長期のミッションのために火星に人間が住める住居を建設することなんです。

宇宙放射能が女性に与える影響

以前の研究で、宇宙旅行が女性の卵巣内にある原始卵胞を破壊して生殖に影響を与える可能性があると指摘されています。アルテミス1計画では、宇宙船オリオンカプセルに2体のマネキンが取り付けられ、宇宙放射線が女性に与える影響をテストしていました。

今回の山梨大学の実験は宇宙で胚が生存できる可能性を示す結果となりましたが、もちろんさらなる研究が必要となってきます。4日間の胚の成長は、マウスの妊娠全体期間の20%を通過したことにはなりますが、その後の重要な妊娠段階の発達についてはまだまだ未知の世界です。

宇宙環境、特に重力の欠如と放射線の残留効果が妊娠過程全体に与える影響を完全に理解するためには、さらなる調査が重要となってきます。将来、宇宙空間で哺乳類が安全に生殖し、健康的な発育を確固たるものにすることは、マウスから人間までさまざまな種にとって必要なことです。

マウスでの研究は、人間とマウスの生物学的/生理学的な違いがあるので、人間も同じように繁殖、発育できるかはわかりません。でもこの実験を含め、科学者たちによって研究はどんどん進んでいくはずです。

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