コラム「サバティカル便り」では、サバティカル制度を利用して海外等の学外の研究機関で研究に取り組んでいる教員による、現地レポートをお届けします。
初回は、オーストラリア・ニューカッスル大学で研究をおこなっている、教育学部の渡邊將司准教授のレポートです。現地でどのような研究、日常生活を送っているのでしょうか。3回に分けて連載します。
海外大学での研究生活や様子
本学のサバティカル制度を利用して、オーストラリアにあるニューカッスル大学(The University of Newcastle)に滞在しています。シドニーから北に160kmほど離れた場所で、日本でいうと東京と水戸のような位置関係になります。
こちらでは、大学にあるCentre for Active Living and Learning(CALL)という研究機関の、学校での運動介入研究を行っているグループに所属しています。グループのリーダーであるDavid Lubans教授らの研究には10年くらい前から関心があり、実際にどのようなことを行っているのかを見てみたいという思いがありました。もともと面識があったわけでも無かったので、ダメもとでダイレクトメールを送ってみたところ返信があり、リモート面談でこちらの関心事を伝えたら、すんなりと受け入れを許可していただけました。面談の時にわかったのですが、教授が取り組んでいる学校介入研究を他国でも実践できないかと模索していたようでした。運良くお互いの思惑が一致した形となりました。
教授の研究グループは3つの大きなプロジェクトを動かしており、それぞれにプロジェクトマネージャー(助教のような立場の研究者)と2名の研究助手がいて実務を担当していました。その中の2つのプロジェクトに関わることができ、介入研究に参加する学校の教員を対象にしたワークショップに参加したり、運動プログラムの実施状況を確認しに学校に出向いたりしていました。このような活動を通して、研究者だけでなく現場の先生方とも意見交換をすることができました。
教授の中心的な仕事は、プロジェクト全体のマネジメントと、収集されたデータをもとに論文を書くことです。最初は「研究に集中できて羨ましいな~」と思いましたが、毎年のように高い成果(高いレベルの学術雑誌に論文掲載)を上げなければ、大型の研究費を獲得して人を雇用し続けられないし、ポジションにも影響してくるということを知って、日本よりもシビアな世界で仕事をしていることに驚きました。彼が「論文を書くことよりも、研究費の申請書を書く方が大変だ」と言っていたことは特に印象的でした。
介入研究のワークショップや学校訪問の頻度は多くないので、基本的にはオフィスで未処理のデータを使って論文執筆を行っています。私が関連する分野のほとんどの学術論文は、大学が電子ジャーナルとして契約していたため、情報収集には困りません。そのおかげで、渡航して4か月で国際誌に論文を投稿できました。執筆に集中できるまとまった時間があることは、本当に有意義であることを実感しています。サバティカル期間中になんとか3編の論文を国際誌に投稿することを目指しています。ちなみに私は6名の若手研究者がいる部屋にデスクを用意していただけました。ルームメイトは私よりも10歳以上若いですが、皆親切でよく声をかけてくれますし、年の離れた私をランチやコーヒーにも誘ってくれます。月に1回は飲み会も企画され交流を楽しんでいます。オーストラリアは18歳から飲酒できるので、なんと大学敷地内にPUBがあります。
(写真提供:渡邊將司准教授)
>>第2回に続きます
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