[東京 2日 ロイター] - 岸田文雄首相は2日の政府与党政策懇談会で、今夕閣議決定する総合経済対策に伴う一般会計分の歳出追加額が13.1兆円になると表明した。裏付けとなる2023年度補正予算案を速やかに編成し、「できる限り早期の成立を目指す」と述べた。対策を「デフレ完全脱却のための総合経済対策」と位置付けることも新たにわかった。
対策では、所得税などの定額減税による「還元策」や関連経費を合わせて17兆円台前半程度と想定している。国・地方の歳出や財政投融資を含めた財政支出としては21.8兆円の規模で、事業費は37.4兆円となる。
一方、特別会計の追加額は1.2兆円となる。対策決定後に23年度補正予算案を編成し、月内の成立を目指す。
対策決定に先立ち、首相は「デフレの悪循環から潮目が変わり、30年ぶりに新たな経済ステージに移行できる大きなチャンスを迎えるなかで、賃上げ原資となる企業の稼ぐ力を強化する供給力強化を経済対策の最も重要な柱としている」と狙いを語った。
ロイターが先に入手した概要によると、一般会計予算への補正追加額となる13.1兆円のうち、柱となる物価高対策には2.7兆円を充てる。持続的賃上げや地方の成長実現に1.3兆円、国内投資促進に3.4兆円、人口減少対策に1.3兆円、国土強靭化に4.3兆円をそれぞれ計上する。策定に先立ち首相は対策を5本柱にすると表明していた。
物価高対策のうち、重点支援地方交付金による低所得者支援では、約1500万世帯に7万円を給付する想定で1.1兆円を計上する。4月末まで延長するガソリン補助金に加え、電気・ガスの補助拡充では段階的に縮小する5月分も含め計0.8兆円を追加する。
持続的賃上げや地方の成長実現に向けては、中堅・中小企業に対する補助金拡充や介護職などの処遇改善、「年収の壁」への対応を念頭に関連経費を盛り込む。円安環境を逆手にとって農林水産物や食品の輸出拡大も後押しする。
国内投資促進の柱には、半導体分野のさらなる促進策を据えた。対策ではGX(グリーン・トランスフォーメーション)財源を含め、新たに2兆円を措置する。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)に10年間の「宇宙戦略基金(1兆円)」を設置するのに先立ち、補正予算で0.3兆円を計上する。新たな安全保障関連3文書でサイバー、電磁波と並ぶ新領域として宇宙分野の強化を掲げた防衛省との連携も、今後視野に入れる。
一方、人口減少対策では、デジタル庁が推進している自治体システムの標準化に向けた経費を0.5兆円計上するほか、デジタル田園都市国家構想交付金を追加する。認知症対策も盛り込む。
国土強靭化や国民の安全・安心に向けた取り組みではウクライナ周辺国の支援拡充に加え、グローバル・サウスと呼ばれる新興国・途上国との連携強化に向けた追加支援策も想定し、裏付けとなる財源確保を急ぐ。
対策は今夕の臨時閣議で正式決定し、岸田文雄首相が記者会見して狙いを説明する。
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