ATOMOSといえば、プロ業界ではちょっと知られたフィールドレコーダーメーカーである。歴代の製品には、SHOGUNやNINJAのように、日本にちなんだ製品名が付けられている。多くはデジタル一眼カメラのディスプレイを拡張しつつ、低圧縮コーデックで収録することで、編集時の負荷を下げる製品である。
2022年からは、クラウド機能を搭載した「SHOGUN CONNECT」を製品化。加えて既存製品である「NINJA V」および「NINJA V+」にドッキングする格好でクラウドに接続できるネットワークアダプター「ATOMOS CONNECT」もリリースした。また同社CONNECT製品と他社のクラウドサービスを接続するためのハブとなるクラウドサービス「Atomos Cloud Studio」を立ち上げた。さらに22年末には、小型・低価格の「ZATO CONNECT」をリリースした。
これらはレコーダーからのファイルアップロードのほか、直接ライブストリーミングも可能になっており、ローカルで使用するレコーダーを超える展開を始めている。
23年4月に開催されたNABでは、クラウド上で動作する編集プラットアフォーム「Atomos Edit」の登場をアナウンスしていた。そしてこの6月、パブリックβが公開された。
これまでクラウド編集プラットフォームは、AivdやAdobe、GrassValleyといった編集ソフトメーカーが主体で製品化が進められてきた。ATOMOSのような周辺機器メーカーが手掛けるのは珍しい。今回はこの「Atomos Edit」を触りながら、ATOMOSの狙いや既存プラットフォームとの違いを探ってみたい。
意外なところにハードル? クラウド編集システム
フィールドで撮影した映像をクラウドに上げるというソリューションは、かなり昔から存在する。ただ使われ方としてはファイル送付サービスに近く、編集するにはクラウド上のファイルをローカルにダウンロードして編集するというスタイルだった。
これでは単にファイル交換サービスを使うのと変わりないことから、編集ソフト自体もクラウドに上げてしまい、編集者はクラウドにログインし、リモートで操作するという方法が考案された。これはクラウド上の仮想PC上にソフトをインストールするだけの話、とも思われたが、意外なところで難航した。
編集ソフトは高価であることから、ライセンス管理ツールが組み込まれている。多くは動作するCPUのIDとソフトウェアのシリアルナンバーを合致させることで、不正利用を抑えている。ところがクラウド上の仮想PC上で動かすと、起動するたびにサーバのどのCPUが割り当てられるのかがランダムで変わってしまうため、ライセンス管理ツールのせいで起動しないということがおこる。
これを回避するために、ライセンス管理ツールから開発し直しとなり、基礎技術は出来上がっているものの、なかなか製品化できなかったが、近年ようやく順調に動き出したところである。
こうしたクラウド編集ソリューションのメリットは、現場から上がってきた素材をいちいちダウンロードすることなく、すぐ編集に取り掛かれることである。また編集後のパブリッシング先もネットだという場合は、クラウド to クラウドで完パケ書き出し・転送できる。
もちろんアーカイブのために、最終的には素材も完パケもダウンロードは必要になるが、それは時間がかかっても問題ない。
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