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Sunday, April 23, 2023

e:HEVモデルとどう違う?乗ってわかったホンダ「ZR-V ガソリンターボ ... - @DIME

これまで@DIMEでは4月21日に正式発売されたホンダの新型SUV、ZR-Vの予約受注比率約90%を占めるハイブリッド=e:HEVの4WDFFモデルの試乗記を紹介してきた。しかし、販売比率約10%と言っても、価格的なメリットもあるガソリンターボモデルも見逃せない存在ではないだろうか。そこで、今回は1.5L直噴VTECターボエンジンを搭載した、車両本体価格376.86万円となる上級Zグレードで行ったロングドライブでの試乗記をお届けしたい(ZR-Vのガソリンターボモデル自体はXグレードFFの294.91万円から)。

まず、ガソリンターボエンジンを積むZR-VのZグレード4WDのスペックを紹介すると、車重1540kg(e:HEV Z 4WDは1630kg)、1.5Lターボエンジン178ps、24.5kg-m、WLTCモード燃費13.9km/Lとなる。

Zグレードは装備が最も充実したグレードであり、装備類は基本的にe:HEV Zとほぼ同内容と考えていい。ホンダ最新の先進運転支援機能のホンダセンシングはもちろん全グレードに標準装備され、電子パーキングブレーキとともにオートブレーキホールド機能も完備する(ブラインドスポットモニターは全グレードにオプションとなっているのが残念だが)。また、Zグレードはホンダコネクトデイスプレー+ETC2.0なども標準装備されている。

e:HEVモデルとの乗り比べという意味で、まず報告したいのは動力性能だ。e:HEVモデルは2Lエンジンが141ps、18.6kg-m、モーター184ps、32.1kg-mであり、数値的にはe:HEVのほうがパワフルのように思えるかも知れない。が、すでにこの@DIMEのZR-V e:HEV Z 4WDモデルの試乗記で報告したように、e:HEVの4WDモデルの動力性能は、アクセルペダルを深く踏み込まない限り、1630kgの車重が影響してか、かなり穏やかなのである(全開時はさすがにそこそこ速いが)。つまり、日常の運転では同じe:HEVモデルでも50kg軽量なFFのほうが動力性能的には有利というわけだ(けっこうな差がある)。

ZR-V e:HEVモデル

ZR-V e:HEVモデル

で、このガソリンターボモデルだが、4WDでも同e:HEVモデルと比べ90kgも軽く、しかもガソリンターボエンジンの性能が数値以上に高く、4WD同士で比較すれば、こちらのほうが明らかに低速域から軽快かつパワフルで、中高回転域でのホンダのパワーユニットならではのスムーズなエンジンフィール、伸びやかな加速感、気持ち良さ、そしてもちろん速さの点で、ズバリ、e:HEV 4WDモデルを大きく上回る印象なのである。

全体的に硬質でスポーティな乗り心地を示すZR-Vだが、e:HEVモデルがそうであるように、このガソリンターボモデルでも4WDの乗り心地はしっとり重厚で、段差の乗り越えなどでのショックはマイルド。e:HEVのFFモデルで感じられる、キツイ段差越えでの鋭利な突き上げ感はまずない。

e:HEVモデルでは、乗り心地で選ぶなら4WD、動力性能で選ぶなら乗り心地を多少ガマンしてもFF・・・という悩ましい!?選択になるのだが、ガソリンターボモデルでは、走破性に優れた4WDと十二分な動力性能、スポーティな走り味わいの両立が叶うことになる。ラゲッジルーム床下収納スペースの点でもe:HEVより有利(前後2分割になる)で、転がりやすいものなどを収納しやすいのもガソリンターボモデルのほうなのである。

ZR-Vガソリンターボ4WDモデルは、東京~南房総鴨川間の約300kmを高速走行約60%、一般道約40%で試乗したのだが、ドシリとした安心感あるSUVらしい乗り味と、鼻先の軽さによる軽快感ある操縦性、カーブや山道での安心感、4WDならではの極めて高い安定性、シーンを問わない走りやすさ、そして動力性能を含め(メタル製パドルシフトを完備しているのでキビキビした走り、ブレーキを踏むよりスムーズなスピードコントロールに対応)、大いに満足できたのであった。

実燃費はWLTCモード燃費13.9km/Lに対して13.3km/Lと、WLTCモード燃費に迫る良好な燃費性能さえ発揮してくれたのだから(約95%)、あっぱれ、である。正直、ZR-Vはガソリンターボモデルもなかなかいい選択じゃないか!!と思わせてくれたというわけだ(※ヴェゼルはe:HEVモデルが圧倒的にお薦めだが)。

ただし、ホンダ車全体に言えることかも知れないが、ナビゲーションの音声認識の機能範囲が狭く(エアコンの温度調整など不可)、また認識性能がいまひとつという点が残念だ。トヨタ車なら「温度を下げて」と発声すれば、クルマがエアコンの温度を自動的に下げてくれるし、ボルボのグーグルナビゲーションなら、発声を噛んでもしっかりと認識してくれる賢さがあるのに対して、筆者の発声ではボイスコントロールをなかなか受け付けてもらえなかった。

とはいえ、フロントグリルのカッコ良さ、エクステリア全体の欧州プレミアムSUVを彷彿させるデザイン性の完成度の高さ、シビックベースならではの走りの良さなど、かなり魅力的なSUVと言っていいと思える(パワーユニットと駆動方式の組み合わせによるが)。ちなみにフロントグリルのカッコ良さがもっとも際立つボディカラーは、ほぼ全色の実車を確認したところ、今回試乗したスーパープラチナグレーメタリックと、ブラックのフロントグリルが最も存在を主張するプラチナホワイトパールではないだろうか。

スーパープラチナグレーメタリック

そうそう、ZR-Vはガソリンターボモデルでさえかなり静かに走り、ロールを抑えたサスペンションによって前後左右の姿勢変化が少なく、また後席エアコン吹き出し口も備わるため、愛犬を後席に乗せてのドライブにもうってつけである(実際に今回の鴨川へのドライブでは、わが家の愛犬、ジャックラッセルのララを同伴したのだが、ホンダ純正ドッグアクセサリーの「ペットシートサークル」に収まったララはかなり快適そうだった。ホンダ車は、充実したドッグアクセサリーが用意されているのも国産自動車メーカー他社との大きな違いで、愛犬家と愛犬にも優しいドッグフレンドリーカーになりうるだろう。

ペットシートサークル PHOTO 雪岡直樹

ホンダZR-V

文・写真/青山尚暉

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