何かと注目のマツダFRラージモデル第1弾、CX-60。そこで、実際に素のクリーンディーゼル車なら買いなのか、とかくその乗り心地についてピックアップされるCX-60だが、じっくり試乗してもらって感じたことを辛口の国沢光宏氏にレポートしてもらった。
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部
■CX-60には課題が3つあり?
やっとCX-60のベーシックモデルである後輪駆動&素のディーゼル搭載車に試乗できた。結論から書くと「マツダ好きならすべて辛抱できるだろうが、普通にいいクルマを買おうと考えているならパワーユニットと足回りに抜本的な改良を加えるまで忘れたほうがいいと思う」。
ということで以下、マツダファンやすでにCX-60に乗っている人や納車待ちの人はこの記事を読まないことを強く推奨します。
CX-60の課題は3つあることが今回ハッキリわかった。1)サスペンション2)駆動系を含むパワーユニット3)ADASである。
順番に説明していきたい。1)のサスペンションだけれど、すべてはゼロキャスターに起因していると思う。サスペンションが前に傾いていたら、ハンドルを切りながら前に進もうとすると、ハンドルが中央に戻ろうとする。これをキャスターアクションという。
クルマの場合、キャスターアクションを利用して直進安定性を生み出す。高速直進性が要求されるドイツ車って基本的にハイキャスター。CX-60はキャスターを付けていない。
その理由について、マツダの虫谷泰典さんという技術者から説明してもらったが、最後まで理解できなかった。いずれにしろ結果的に交差点などでハンドル切った後、センターに戻ろうとするチカラが非常に弱くなってしまっている。
そしてゼロキャスターを採用したため、リアのトー変化(左右方向の動き)が許されなくなった。トー変化すると、左右にブレる。キャスターを付ければフロントで直進性をカバーしてくれるけれど、それは期待できない。だからトー変化を抑えられるピロボールを使った。
素のディーゼルは1カ所だけがブッシュになっており、若干リアサスペンションが動くものの、全体の挙動からして落ち着かない。
2)駆動系はトルコンレスのATがいろんな意味で足を引っ張っている。トルコンATなら走り出した直後にアクセルを戻すと自転車と同じく一方通行ラチェットのように滑らかな挙動になるけれど、CX-60ときたらマニュアルミッションのようにエンジン直結のまま(自転車ならピスト)。低いギアだと大きめのエンジンブレーキが掛かってしまう。結果、低速域は滑らかさを大いにスポイルしている。
変速ショックも少なからず&唐突に出る。普通に加速していけば滑らかなのだけれど、アクセルを戻して踏んだ時や、加速中にアクセル開度を変化させた時などにDセグメントのクルマとは思えないくらいの変速ショックが出る。
はたまた停止前後にどこからか「ぐきゅ」みたいな音が出たり、アイドルストップからエンジン始動する時に「かこん」と音が出たりするなど賑やか。
3.3Lディーゼルそのものからの音も気になる。今や走行中にカリカリとノッキングするディーゼルなどないと思っていたら、CX-60は少しアクセルを踏めば「カリカリカリ」。エンジン音そのものも音変化が大きく&くぐもっていて違和感あります。
そもそもCX-60のボディサイズに3.3L6気筒はオーバーキャパなんだと思う。大きいクルマに小さいエンジン積めば静かなのと反対です。
からの記事と詳細 ( まさかの課題だらけ!? マツダ渾身のCX-60「素のディーゼル」に乗ってみてわかったこと - ベストカーWeb )
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