(CNN) 米国で9月初めから接種が始まった新型コロナウイルスのオミクロン株対応ワクチンの追加接種に、発症を抑える一定の効果があることが、米疾病対策センター(CDC)主導の研究で分かった。このワクチンの効果を現実世界で検証した研究は初めて。
従来株とオミクロン株の「BA.4」「BA.5」に対応する2価ワクチンは接種があまり進まず、対象となる米国人のうち、これまでに打った人は11%にとどまっている。
新たな研究によると、2価ワクチンの追加接種は従来の追加接種と同じような働きをすることがわかった。発症を40~60%抑える効果があるが、最大の効果が発揮された場合でも接種から1カ月後にはブレークスルー感染が起きる可能性がある。
研究チームによれば、新型コロナワクチンの予防効果は当初90~100%に上っていたが、デルタ株の登場で70%前後、さらにオミクロン株で50%前後まで下がった。効果は時間経過とともに低下するが、2価ワクチンの追加接種で50%ほどのレベルまで戻ることが期待される。
今回の研究では、米国でBA.4と5が感染の主流となっていた9月14日から今月11日までの間に、全米1万カ所近くの薬局で実施された検査36万件あまりのデータを分析した。
2価ワクチンの追加接種を受けたグループはワクチン未接種のグループに比べ、新型コロナ発症の確率が18~49歳の年齢層で43%、50~64歳では28%、65歳以上では22%低いことが分かった。
前回の接種から2~3カ月経過していたグループとの比較では、発症確率が18~49歳で30%、50~64歳で31%、65歳以上で28%低かった。前回から3カ月過ぎた時点で50歳以上の発症予防効果は約20%残っていたことから、新たにワクチンを追加すれば計50%ほどの予防効果を得られることになる。
前回接種から8カ月経過し、効果がほとんど残っていないとみられる状態で2価ワクチンを打ったグループへの発症予防効果は、18~49歳で56%、50~64歳で48%、65歳以上で43%だった。
コーネル大学医学部の免疫学者ジョン・ムーア氏は、この研究から、新たな追加接種が発症リスクを約50%減らすものの、これまでの追加接種と同様その保護は長く続かないことが分かると指摘した。
米国の免疫獲得の状況は複雑になっている。CDCのデータによると、国民の約3分の2が少なくとも最初の一連のワクチン接種を済ましている。血液検査のデータからは、国民のほぼ全員に免疫があることがわかっており、感染やワクチン接種、またはその両方を通じて免疫を獲得したとみられる。
ハーバード大とエール大学の未査読の論文によれば、国民の94%が1回以上新型コロナに感染し、97%が感染か接種を経験している。これにより、集団免疫の観点で新たなオミクロン株感染に対する保護は昨年12月の22%から今年11月10日時点で63%に、重症化からの保護は昨年12月の61%から今年11月に約89%(いずれも推計値)に上昇した。
別の変異株の出現や免疫の減退、行動の変化で新たな感染の波が起きる可能性はあるが、こうした研究結果からは、米国が新型コロナに対して過去最も強い状況にあることが示されている。
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