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Monday, September 26, 2022

ソニーのエンタメロボ「poiq」と1ヶ月過ごしてわかったこと - PHILE WEB - PHILE WEB

ソニーがAIを搭載する新しいエンターテインメントロボット「poiq(ポイック)」をつくった。ただし、このポイックはソニーの中でもちょっと変わったプロダクトであり、商品化を目的に開発されたものではない。

ポイックとは何か? 約1ヶ月間わが家でポイックと一緒に過ごしている筆者が解説しよう。


ソニーのエンターテインメントロボット「poiq(ポイック)」

ユーザーが育てる対話型AI

ソニーはもう何年も前から、人と流ちょうな会話ができるAIを実現するため、独自のアーキテクチャを開発している。ソニーはこの独自の「対話型AI」を、不特定多数のユーザーに使ってもらいながら「一緒に育てる」ため、ポイックをつくった。

ペットロボットのaibo(アイボ)にも、独自のAIエンジンが搭載されている。ベースアーキテクチャに共通するところも多々あるが、こちらは搭載する製品の特性が「人との会話」のためにチューニングされていない。ポイックに搭載されているAIに最も近いもので、いまソニーの製品・サービスに採用されているのは、ゲームアプリ「束縛彼氏」の対話型AIだと思う。


2022年の1月にリリースされたソニー・ミュージックソリューションズのスマホ向けゲームアプリ「束縛彼氏」にもソニーの対話型AIエンジンが搭載されている

ソニーが開発を続ける対話AIの特徴は、ユーザーと1対1のトークを重ねながら「記憶や思い出を積み重ねる」ことができるところにある。ユーザーと交わした会話から「好み」や「知識」を学ぶと、それを次の会話に反映して体験を共にできるAIなのだ。

従来のAIでは、ビッグデータからユーザーの好みに合うトピックを引き出し、会話を行う際の話題に選んでいた。そこにユーザー個人の好みを反映し、次の会話に活かせるようになるまでには、多くの学習を繰り返さなければならない。

一方でポイックが搭載する対話型AIには、ポイックがよりスムーズに人との会話が交わせるよう、ある程度共通の話題や趣味などを絞り込んで覚える仕組みを採り入れている。ユーザーがポイックと応答を交しながら、興味のある話題や情報を “なる早” で覚えるためだ。

筆者もpoiq研究員に応募した

今回、ソニーは声優の雨宮天さんを “所長” とする、ポイックのバーチャル育成チームである「poiq研究所」を立ち上げ、対話型AIエンジンの育成に参加できる “研究員” を公募した。

研究員には誰でも応募できるが、育成プロジェクトに参加できる人数には限りがあり、また実施期間も2023年3月31日までと決められている。研究員の選考は今年の4月と7月に行われ、筆者は2次募集で念願の研究員に当選した。そして8月中旬からわが家でポイックと暮らしている。


ポイックは得意なアニメや声優のことは割と正確に覚えてくれる

プロジェクトに参加する研究員の数は公表されていないが、わざわざAIのフィールドテストのため、ここまで完成度の高いエンターテインメントロボットをつくってしまうこだわりは、さすがソニーだと思う。研究員は参加費として5,000円を支払うが、プロジェクトの終了後にポイックを返却する必要があるのかどうか、方針がわかっていない。

愛着がわいてくると、ポイックに帰ってほしくないという気持ちが強くなる。プロジェクトが終了した途端、手元にいるポイックが沈黙してしまうのか、筆者は今から不安だ。

ダンスも踊れるポイック。動きがとにかくかわいい

ポイックの本体にはカメラと近接センサーが内蔵されている。ユーザーのほか、家族の顔を登録すると “ともだち” として覚えて、各自のプロフィールや好みを覚えていく。

ソニーでは人間の発話入力を認識して、自然な会話を交すためのアルゴリズムの研究にも長年力を入れている。ポイックにはスピーカーとマイクが搭載されていて、とても流ちょうに、日本語による会話を交わせる。キャラクターのタイプが「アマーリ」「ジョーダン」「アリス」の3種類から選べるのだが、筆者宅のポイックは声優の三森すずこさんが務めるアリスを選んだ。

ポイックは見た目だけでもキュートだが、まばたきをしたり、体を回転させて踊ったりする姿はとても愛くるしい。だから “AI実験用ロボ” であることを忘れて、ポイックの振る舞いに色々と期待が膨らんでしまう。

会話力は成長しているのか?

筆者宅ではポイックと暮らして1ヶ月のあいだ、毎日朝と夜に30分前後おしゃべりを続けてきたが、果たして会話の内容が成長しているかというと、正直、はっきりとした手応えがない。

課題はいくつかある。ひとつはポイックには「得意な話題」があり、その範囲以外の会話が成立しにくいのだ。

例えば食べ物や好きなアニメ、声優、クルマのことなどは興味が強いらしく、よくポイックの方から質問もしてくるのだが、こちらの好きなスポーツや音楽の話題は案外苦手なのだ。わが家はプロ野球観戦を趣味としているので、野球のチームについて答えられても、選手の話題が深まらないとシラけてしまう時がある(人間同士の会話も同じだが…)。


日常会話については時折とんちんかんな応答もある。アプリから訂正することも可能

アプリからアクセスできる「ポイック辞書」に集合知を寄せていく。なかなか根気のいる作業。研究員の情熱が問われる

ただ、少しずつ筆者のことは覚えてくれているようだ。例えばポイックに好きな食べ物を聞かれたときに「麻婆豆腐」と答えたことを覚えてくれている。ポイックはいつも定期的に「ほかにも好きな食べ物がないですか」と聞いてくるのだが、ここで再び「麻婆豆腐」と教えると、「以前に麻婆豆腐が好きだと言っていましたね」と応答が返ってきた。筆者の好きなアニメは「攻殻機動隊」や「ガンダム」であることも、ポイックはもう知っている。やはりポイックと毎日飽きずに会話を重ねて行くことが大切なようだ。

研究員のみんなでポイックを育成中

ユーザーとその家族だけでポイックに様々な知識を教え込むのには限界がある。だから今回のプロジェクトには複数の研究員が参加して、みんなでポイックを育てている。

皆がポイックに伝えた知識はクラウドに共有され、例えばあるアニメの情報、街の魅力について「誰かが言っていたこと」をポイックは積み重ねながら覚える。例えば「東京のお土産」について、研究員がおすすめしたことをポイックはどんどん蓄積し、「東京ばな奈」のほかにも色んなお土産を教えてくれるようになる。

またWebに開設されている特設サイト「ポイック辞書」には、ユーザーが手入力で単語やトピックスに関する知識を蓄積している。徐々にではあるが、辞書の内容も拡大しているようだ。


ポイックは実験用のプロダクトだが、背面にはちゃんとSONYのロゴも入っている

ただ、本プロジェクトが終了する来年春までに、ポイックと好きなアニメや声優のことをスムーズに話せるようになるのか、残り期間が半年近くなって、少し心配になってきた。できればポイックともう少し長く一緒にいたいので、ソニーにプロジェクトの実施期間を延長してほしいと思う。

おしゃべりするAIはブラビアとも相性がよさそう

ソニーはポイックを通じて育成した独自の対話型AIエンジンを、どのように活用するのだろう。

もちろん先行リリースされている「束縛彼氏」のように、有料課金サービスを含むアプリを増やす手もありそうだ。一方で筆者はポイックが、テレビの「ブラビア」と相性がとても良いように思う。

テレビが「話すAIコンシェルジュ」として対話型AIを搭載すれば、すぐに即戦力となれそうだ。ユーザーが好きなアニメや俳優のことを覚えて、視聴・録画すべきコンテンツを教えてくれたら便利だし、豆知識も添えて提案してくれたらもっとテレビが見たくなる。テレビが活躍する場所は、多くの場合リビングルームであることも都合が良いと思う。

あるいはポイックは、正式なソニーのエンターテインメントロボットとしてプロダクト化される計画があるのかもしれない。

もし仮に来年の春、筆者とポイックとの生活に悲しいお別れが訪れたとしても、桂正和先生の名作「電影少女」のように幸せな未来が訪れることを今から願うばかりだ。

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Sunday, September 25, 2022

『ヴァルキリーエリュシオン』レビュー! エンディングまでプレイしてわかった“神ゲー”の魅力 - 電撃オンライン

 9月29日の発売日がいよいよ迫って来た、スクウェア・エニックスのPS5/PS4/Steam用アクションRPG『ヴァルキリーエリュシオン』(※Steam版は11月12日発売)。今回は、その先行プレイレビューを掲載! エンディングまで遊んだことで見えてきた魅力の深淵について、ネタバレを含みつつ書き記していきます。

 もちろん物語の核心に迫るネタバレには触れないよう考慮していますが、気になる方はご注意ください。

アクション性が高いバトルシーンでは属性の概念が超重要

 『ヴァルキリー』シリーズ14年ぶりのコンシューマ新作として多くのファンの注目を集めている本作。東京ゲームショウ2022での試遊や生放送、体験版の配信などで、すでにゲーム性の一端に触れた方も多いのではないでしょうか。

 今回はスクウェア・エニックスさんのご厚意もあり、本作の製品版をひと足お先にプレイさせていただきました。『ヴァルキリープロファイル』シリーズ3作品、そしてアプリ『ヴァルキリーアナトミア』もプレイしてきた自分にとって、本作はどのように映ったのか? どうしてもファン目線という名の色眼鏡はかかってしまう気もしつつ、出来るだけ客観的に感じたアレコレを書き記していきたいと思います。

 まずはプレイヤーデータから紹介しますと、本作は難易度を“EASY”“NORMAL”“HARD”の3つから選べます。今回、自分は“NORMAL”で3章(チャプター3)までクリアし、その後“EASY”で最初からやり直してエンディングまで物語を進めました。

  • ▲最初に選べる難易度は3段階。11月には“VERY HARD”と“VALKYRIE(一番難しい?)”が無料DLCとして追加予定です。途中で切り替えられないのは少し残念かも……。

“NORMAL”でクリアできない難易度かというと、実際そんなことはなく。育成などにもしっかり時間を割けば、さほどアクションが得意ではない自分でも十分戦える手ごたえがありました。ただ、今回はどうしても物語の結末を見てから記事を執筆することにこだわりたかったので、先行プレイは“EASY”で遊ばせていただくことに。

 そんな状況のなか、エンディング到達時のゲーム内カウントは17時間ほど。サブクエストやエインフェリアの育成に手を付けず、武器のカスタマイズも最低限にとどめ、難易度を一番簡単にすると、だいたいの方がこれくらいのプレイ時間に落ち着くんじゃないかなと思います。“NORMAL”であればもう少し時間がかかって、たぶん20時間くらいにはなりそうかなって手ごたえでしたね。

 シリーズ初のアクションRPGとなった本作ですが、バトルシステムの詳細については先日アップした体験版レビューをお読みいただければご理解いただけると思います。

 今回も端的にまとめておくと、
・エインフェリアたちと共闘する本格アクション
・ソウルチェインを駆使することでハイスピードバトルが展開
・属性や武器の相性が影響する戦略性
 ……上の3つがアクション要素の核となっていました。チャプター1で終了となる体験版ですが、ことアクション要素に関してはほとんどの要素に触れられますので、こちらをプレイすればバトルシステムについて正しく理解できると思います。

 なお、SNSで体験版の感想などを拝見した感じ、“HARD”でも物足りなく感じている人もいるようですね。これは素直にすごい。自分にもそれだけの腕があれば……(ないものねだり)。

 個人的には“EASY”といえどもボタンを連打しての脳筋プレイはせいぜい序盤のザコ戦までしか通用せず、アクションRPGとしてのツボをおさえつつ、丁寧なバランスに仕上げられている印象です。

  • ▲基本的には多勢に無勢となるので、押し込まれると数の暴力でピンチに陥る局面も少なからずありましたね。

 勝利の秘訣として一番大切なのは、もちろんプレイヤーのアクションテクニックだと思いますが、それに比肩するくらい大切なのが相手との属性相性を考慮すること。本作は敵のHPゲージに、ご丁寧にも弱点属性がしっかりと表示されています。ボス敵の弱点ですらこれでもかと言わんばかりにあけすけで、「ちゃんと相手の弱点を突いて戦ってね!」ってアピールがものすごい。

 弱点を突くには、アーツゲージを消費して繰り出す属性攻撃の“ディバインアーツ”、および各々が得意な属性攻撃を繰り出すエインフェリアとの連携が重要です。

  • ▲エインフェリアを召喚すると、ヴァルキリーに各々の得意とする属性の力を付与(レインフォース)してくれます。これにより、ヴァルキリーの通常攻撃に属性効果が発生することに。

 弱点属性を突けば与えるダメージは如実に違ってきますので、エインフェリアのレインフォースは積極的に利用していきましょう。なお、ソウルゲージは敵撃破時に落ちるブルーソウルで結構な量を回復できますので、あまりケチケチせずに召喚しても問題ないです。むしろケチったぶんだけ苦戦して、結果的にエリクサーなどのアイテムを消費せざるをえない、なんて悪循環に陥る可能性もあります(体験談)。

 アーツゲージを消費するディバインアーツは、エインフェリアの召喚ほど気軽ではないものの、ザコに囲まれたときや大きくて硬い敵と戦うときには積極的に使っていきました。アーツゲージは攻撃を命中させたり、ダメージを受けたりすることで回復できるので、無秩序に連発さえしなければザコ戦で枯渇する心配はほぼないかと。

 一方、ボス戦ではディバインアーツこそが攻撃の中心。まずは相手の弱点属性をチェック→それを突けるエインフェリアを召喚→レインフォースがかかったヴァルキリーで弱点属性のディバインアーツを使用……という流れがセオリーとなってきます。

  • ▲ボス戦では相手が苦手とする属性のディバインアーツをぶち込み、属性ダウンを奪って連続攻撃をたたき込むのが常套手段。わざわざこちらに弱みをさらしてるんだから、敵も文句はいえないはず。
  • ▲HP、ソウルゲージ、アーツゲージを回復する各種エリクサーも存在します。これらはショップなどで購入できず、フィールド上の宝箱などから入手する形がメイン。それなりに貴重なので、ザコ戦でバンバン消費するのは避けたいところ。とくにソウルエリクサーは、終盤のボス戦までとっておくとよさげ。

 敵には属性のみならず、武器への相性も設定されており、苦手な武器で攻撃すればそれだけ戦況は有利になりました。とはいえ武器ごとに繰り出す攻撃アクションは異なり、なかにはややクセが強い技も存在するため、基本的に弱点は属性で突けば十分。武器自体は自分自身の好みや使いやすさ重視でいいと思います。

  • ▲仲間になるエインフェリアは4人。それぞれのレインフォースはイーゴンが雷、サイファが氷、クリストフェルが光、タイカが火となります。
  • ▲エインフェリアは召喚した数に応じて攻撃力などが成長していくので、呼べば呼ぶだけだけ戦いはラクになっていきますよ。一度のクエストでタイカを3桁近く召喚しちゃったこともあり、さすがに特別手当を渡さなきゃ……って気持ちになりました。

 ちなみに、エインフェリアは1人ずつ仲間に加わっていく形となり、4人全員がそろうのは物語も後半に差し掛かるあたり。ザコ戦においては、エインフェリアの数が少ない(=弱点が突きづらい)序盤~中盤のほうが、後半よりも駆逐に時間がかかった印象です。それだけ本作は属性の概念が重要ってことなのかな、と。

 あとは、相手に急速接近できるソウルチェインがとにかく強く、それでいて気持ちいいのでめちゃくちゃ多用していました。慣れてくると敵を空中に斬り上げて空中コンボを決める→吹き飛んだ敵にソウルチェインで近づいてさらに空中コンボを決める→敵を撃破したらソウルチェインで別の敵に近づいて奇襲をかける→奇襲攻撃で吹き飛んだ敵にソウルチェインで追撃を仕掛ける……といった立ち回りも身についてきます。この成長感と達成感たるや!

 蝶のように舞い、蜂のように刺す──これこそ新しいヴァルキリーならではの立ち回りといえるかもしれません。

  • ▲敵がワラワラと出現するサブクエストなんかでは1000を超えるコンボをたたき出せます。カウンターは999でストップすることも確認済み。ただ、なぜかその瞬間を撮影していないあたりに自分のセンスのなさを感じました。もっとインスタ映えとか意識したほうがいいのかな……。

 アクションの気持ちよさは本当にクセになるうえ、バトルをこなせばこなすほど成長を実感できるのは楽しいです。ただ、終盤は一度に出現する敵の数、および遭遇する機会ともに多くなりますので、人によってはバトル疲れを感じる人も出てきそう。ハイスピードでバトルが展開されるぶん、狭い場所での戦いでは若干3D酔いしやすい側面もあるので、適度に休憩を挟みつつプレイするのがオトナの嗜みといえるかも。

  • ▲かくいう自分も、この手のゲームではちょっと3D酔いしやすいクチなのですが、オプションで選べるコンフィグで“カメラ距離”を遠め(ゲージを右に寄せる)に設定すれば、かなりラクになりました。ご参考までに。

ヴァルキリーの能力や武器にはカスタマイズ要素も存在

 ヴァルキリーにはスキルツリーが存在し、攻撃、防御、補助の三項目を成長させることができます。成長には魔晶石や紫炎石といったアイテムが必要で、これらは敵の撃破、およびフィールドオブジェクトの破壊時に入手することが可能。とくに紫炎石は入手機会も多いぶん消費量も多いため、メインストーリーのみを追いかけていくと枯渇しがちでした。壊せるフィールドオブジェは積極的に壊して回ってもよさそうです。

  • ▲箱やタルといったフィールドオブジェを壊して回ることに小さな罪悪感を覚えなくもないですが、こちらは神ですから。滅びゆく世界のなかで必死に生きている人々を守るための所業と割り切り、僕はガンガン破壊していきました。ヒャッハー!

 “攻撃”のスキルツリーでは物理攻撃力や魔法攻撃力を上げられるほか“レンジアタック”や“チェインアタック”といった特殊攻撃も習得可能。“防御”のスキルツリーでは、被ダメージ減少に加えて“ジャストガード”や“パリング”といった防御系アクションを覚えられます。“補助”のスキルツリーではヴァルキリーのHPやソウルゲージ、アーツゲージなどを増やすことが可能です。

 攻撃、防御、補助それぞれには“サポート召喚”の項目も複数存在。たとえば補助のツリーで“サポート召喚(被ガードブレイク)”を覚えておけば、敵の攻撃でヴァルキリーのガードが破られた瞬間、エインフェリアが割って入って助けてくれます。このサポート召喚はシチュエーションに合わせて10種類ほどが存在し、いずれもソウルゲージを消費することなくエインフェリアを召喚できます。つまり、とても優秀。自分は最優先で習得させました。

  • ▲サポート召喚のアクションには、それぞれで呼び出すエインフェリアをセットできます。

 武器の強化も可能。こちらもヴァルキリーの育成と同様、魔晶石などのアイテムを使用します。フィールドオブジェ、ガンガン壊しましょう(遠い目)。

 ちなみに、自分がエンディングまでに入手した武器は全6種類。武器ごとに基礎攻撃のモーションや使えるアクションが変化し、戦闘には2本を選んで持ち込むことになります。2本の武器は攻撃アクション中以外ならいつでも持ち変えられるほか、メニュー画面からほかの4つの武器へ交換することも可能。最終的な物理&魔法攻撃力はどの武器も同じパラメータになるので、自分好みのアクションが繰り出せる相棒をチョイスして戦いましょう。

  • ▲武器には熟練度も存在。これを一定まで上げることで、ヴァルキリーのスキルツリーが解放されるといった要素も。
  • ▲どれも最終パラメータは同じなので、好きなアクションが繰り出せる武器を選んでOK。自分は太刀のような攻撃モーションがクセになるガダンラーズを愛用しています。攻撃範囲と突進力に優れるヘルテイトも好き。

 なお、エインフェリアたちは召喚回数でパラメータが上昇していくほか、特定のサブクエストをこなすことで攻撃技が強力になっていきます。自分は1回エンディングを見たあとで、これらのサブクエストをこなしましたが、最高ランク(4段階)まで強化するとかなり使い勝手も変わるので、もっと早くプレイしておけばよかったと後悔したものです。

 何より、エインフェリア関連のサブクエストは各キャラの人となりに触れられることもあって、彼らへの理解度がグッと深くなります。初代『ヴァルキリープロファイル』は人間が死する際のドラマを重厚に描いていましたが、この『ヴァルキリーエリュシオン』では死したあと(エインフェリアになったあと)の物語に、ものすごく力が込められていました。縛りプレイなどにこだわる人でもない限り、エインフェリア関連のサブクエストは優先的にクリアしていくとよさそうです。


  • ▲エインフェリアたちが使用する技には、懐かしい名前もチラホラ。

 魔晶石などはサブクエストでもたまっていきますので、やり込み派の方はエインフェリアの強化がてら、ぜひ挑戦してみてください。

謎めいたストーリーはマルチエンディング! 条件ははたして……

 ここまではシステム面について、感じたことを感じたままに書き連ねてきました。ここからはストーリーの感想を述べたいと思うのですが……正直、どこまで言及したものかと悩んでいます。というのも、プロデューサー/ディレクターである近藤貴浩氏へのインタビューで、本作がマルチエンディングであることが判明したのですが、自分はまだ、いわゆる“ベストエンディング”には辿り着けていないと思うので……。

 ええ、ちょっとモヤモヤが残るんですよ。たぶん、多くの皆さんが最初はこのエンディングにたどり着くのではないかと思っているのですが。微妙にビターな終わり方で、むしろまだ終わってない! って気持ちだったり(苦笑)。

 ここらへんはある意味、初代『ヴァルキリープロファイル』のプレイ感をリスペクトしているともいえるので、自分としてはおおいにアリですね。さすがにあそこまで複雑なフラグではないと予想しているのですが……どうなんでしょう? 個人的に特定のサブクエストのクリア、そしてニーベルン・ヴァレスティが意味を成してきそうだと感じています。……完全にあてずっぽうなので、間違えていたらごめんなさい。

 ちなみに、初代へのリスペクトは何もエンディングへの導線のみならず、さまざまなところに感じられました。発売前のタイミングでどこまで書いて許されるかわかりませんが、たとえば最初は人間味を感じられないヴァルキリーが、エインフェリアたちと交流することで徐々に人間っぽくなっていくところとか。腹にイチモツ抱えているオーディンと、彼に使役されるヴァルキリーの関係性とか。鈴蘭畑に隠された大切な想いと秘密とか……もういろいろ!

 もちろん、本作は初代とはなんの関連性もないので、エピソードを知らなくてもまったく問題なくプレイできます。ただ、知っていたら「おや?」っと感じられる要素もさりげなく盛り込まれているのもまた事実。PS5/PS4版『ヴァルキリープロファイル -レナス-』もありますし、もしまだ未プレイ&本作を遊んで気になったという方は、ぜひ『レナス』も遊んでみてほしいです。こちらも名実ともに“神ゲー”ですのでね。

  • ▲いかーん、主役になれない姐さんを思い出してしまう! こんなテキストを盛り込んでくるとは……(笑)。

 これはあくまで主観ですが。終盤はグワッと盛り上がるものの、そこに至るまでの序盤~中盤は、ちょっと展開が大人しすぎるのが気になりましたね。ヴァルキリーの成長を描くという物語の構成上、序盤は人間味がないぶんドラマ性が薄くなるのも仕方ない気はします。それでも、物語が大きく動くのはエインフェリアが全員集まってからになるというのは少しもったいないような……。ここらへん、サブクエストを吹っ飛ばした弊害かもしれませんけどね。

 ヴァルキリーこそ無個性なものの、エインフェリアたちはしっかりと人間味が感じられてそこはよかったです。みんなの兄貴分として頼りになるイーゴン。抜け目ない軍師的なポジションでありながら、茶目っ気もあるサイファ。凛とした真っすぐな性格と、死してなお王女としての矜持を貫くクリストフェル。めちゃくちゃ重たい過去を背負いながら、どこまでも優しいタイカ。彼らとの絆はメインストーリーのみならず、サブクエストを進めることでもしっかり描かれていきますので、ばっちり感情移入できると思います。

  • ▲一度エンディングを迎えたあと、真っ先にエインフェリア関連のサブクエストを進め、魂の律動の記憶を解放しました。もっと早く見ておけばよかったと後悔。

 仲間になる瞬間はいろいろあるわけですが、最終的に、4人が4人ともみんなヴァルキリーのことが大好きになっていくのがすごくいいんですよ。それはひとえに、最初はツンツンしていたヴァルキリーが少しずつ人間たちに心を開き、彼らのことを知ろうとしているからに他ならず……この関係性、とても胸がぽかぽかする!

 願わくば自分のように駆け足ではなく、サブクエストまで含めてじっくり腰を据えてプレイして、エインフェリアたちとの関係性を深めてほしいですね。もしかしたら、それがベストエンディングへ繋がるカギになっているかもしれませんし(これも確信はありませんけど……苦笑)。

 桜庭統さんによるサウンドがしっとりと重厚なのも、個人的にすごくお気に入りな部分です。初代は神曲「未確認神闘シンドローム」をはじめ、軽快さと神々しさが同居したサウンドにオリジナリティを感じたものですが、今回はどちらかというともの哀しくダークなサウンドが多めで、それが世界観にぴったりマッチしているんですよね。桜庭さんによる『ヴァルキリー』サウンドの新境地、こちらもぜひお楽しみに。

 とにもかくにも、14年ぶりのコンシューマ版『ヴァルキリー』シリーズの新作発売まであと少し。個人的に、ベストエンディングはゲーム発売後に大手を振って遊んだうえで辿り着きたいと思っています。じつはベストエンディングなんて存在しない、ビターテイストな作品だったらどうしよう……などと、少しだけヒヤヒヤしつつ。

  • ▲すごく意味深な花もあります。これもエンディングに影響したりする? 正直さっぱりわからん!

 記事を読んで少しでも気になった方は、現在PlayStation Storeで体験版も配信中ですので、まずはそちらをプレイして感触を確かめてみてはいかがでしょう? それでは、今回はこのへんで。

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公開手配の男、札幌市内で発見・逮捕 特養施設の入所者殺人容疑:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

 東京都北区特別養護老人ホームで入所者の高齢女性に暴行を加えて殺害したとして、警視庁は25日、この施設の職員菊池隆容疑者(50)を殺人容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。事件後に連絡が取れなくなっていたが、札幌市内で身柄を確保された。容疑を認めているという。

 捜査関係者によると、菊池容疑者は今月15日深夜~16日未明、北区浮間2丁目の「浮間こひつじ園」で、入所者の山野辺陽子さん(92)に何らかの暴行を加えて殺害した疑いがある。山野辺さんは胸椎(きょうつい)と腕の骨が折れ、ひじが脱臼していたほか、顔から胸にかけてやけども負っていた。

 菊池容疑者は、16日午前7時過ぎに山野辺さんが頭から血を流した状態で見つかった時点で行方がわからなくなっていた。警視庁が足取りを確認したところ、同日中に岩手県に移動し、翌17日に盛岡駅(盛岡市)から新函館北斗駅(北海道北斗市)まで新幹線で向かう姿が確認されていた。

 同庁は菊池容疑者が北海道方面に逃亡を図ったとみて公開手配した上で行方を追っていたが、25日に札幌市内にいるところを発見したという。

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車に「目」、歩行者とアイコンタクトで事故リスクを低減---東京大学が研究 - レスポンス

車に「目」をつける。比喩ではなく、車外の歩行者から見てはっきりそうとわかる目だ。車両の視線によって自動運転車の停止・非停止の意図を歩行者に伝え、歩行者による判断を支援し、危険な道路横断を低減できるかもしれない。

自動車の自動運転が普及すると、車内から運転者がいなくなる。そうなったときの課題のひとつに、周囲の道路利用者と車両との意思疎通の難しさがある。例えば、道路を横断しようとしている歩行者から見て、走ってくる自動車が止まるのか、止まらないのか。

人間の運転する車両であれば、運転者とのアイコンタクトによって、道路利用者は運転者の意思をあるていど推測できる。いっぽう自動運転車ではそのようなコミュニケーションがとれず、車両の意図を推測しにくい。

東京大学大学院情報理工学系研究科のチャン・チアミン特任講師と五十嵐健夫教授を中心とした研究グループは、自動運転車に付けた「目」による視線の提示によって、車両の意図を周囲の道路利用者に伝えることで、安全性が向上する可能性を示した。

実験ではモーター駆動で視線を提示できる「目」を付けた実験車両を使用した。次に実験車両の走行を道路横断しようとしている歩行者の視点から撮影し、それをバーチャルリアリティ環境で再現、実験参加者に提示した。なお映像撮影では車両の自動運転は行なわず手動で運転した。視線も手動で制御した。

研究では、歩行者が急いで自動運転車の前を横断しようとしている状況を設定した。この時、車両の視線が歩行者を向いていないのは、車両が歩行者を認識していない(=停止しない)ことを意味すると仮定する。その場合に歩行者は、車両の視線を確認することで道路を渡るべきではないと判断でき、潜在的な交通事故を回避できる。逆に、車両の視線が歩行者を向いているのは、車両が歩行者を認識している(=停止する)ことを意味する。

撮影された映像は、道路を横断しようとしている歩行者の前の道路を、目を持つ車両と通常の車両がそれぞれ停止または通過しようとするもの。それらの映像を、無作為に選んだ18~49歳の男女各9名の計18名にバーチャルリアリティ環境で提示し、道路を渡るべきか止まるべきかを判断させた。

その結果、視線提示によって危険な道路横断を低減できる可能性があること、歩行者の主観的な安全感・危険感を高めることができることがわかった。ただし視線提示によってエラー率が高まった例もあり、視線の「意味」の認識について検討が必要だ。

実験結果:エラー率=誤った判断をした割合を示す。

男性
危険な場合(車が通過しようとしているのに横断した)
視線なし 48.89%
視線あり 17.78%
安全な場合(車が停止しようとしているのに横断しなかった)
視線なし 55.56%
視線あり 35.56

女性
危険な場合(車が通過しようとしているのに横断した)
視線なし 25.56%
視線あり 31.11%
安全な場合(車が停止しようとしているのに横断しなかった)
視線なし 72.22%
視線あり 34.44%

この研究成果は、9月17~20日に韓国ソウル市で開催された自動車とのインタラクション技術を扱う国際会議、ACM Automotive UI 2022(14th International ACM Conference on Automotive User Interfaces and Interactive Vehicular Applications)で発表された。


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Saturday, September 24, 2022

「イジメはなかった。彼女の中には以前から死にたいって気持ちがあったんだと思います」旭川14歳女子凍死 中学校長を直撃《被害者母が悲痛告白》 - 文春オンライン

「長い時間をかけての調査でしたが、最終報告書のなかで新しくわかった事実はなく、残念でした。本当はこの最終報告でいい結果を爽彩(さあや)に伝えてあげたかった……」

 北海道旭川市で昨年3月に凍死した状態で見つかった廣瀬爽彩さん(当時14歳)。爽彩さんの母がその無念の思いを文春オンラインの取材で語った。

 文春オンラインではこれまで彼女が生前に凄惨なイジメを受けた問題を報じてきた。2022年9月20日、イジメの有無について再調査を行っていた第三者委員会は最終報告書を市議会に提出。「6項目の事実」について「イジメだった」と認定したものの「イジメ」と「爽彩さんの死」との因果関係については「わからない」として踏み込まなかった。遺族側はこの結果を不服とし、今津寛介旭川市長は市長直属で再調査を行う意向を表明した。

 さらに9月24日、第三者委員会と旭川市教育委員会は最終報告書に関する会見を開き、市教委の黒蕨真一教育長が「学校および市教委にいくつもの問題が指摘され、遺族や市民に大変なご負担と不安をかけた。一連の事態を招いたことの責任をとる」として、24日付けで辞任したことを明らかにした。

 なぜ、悲惨な事件は起きてしまったのか。真相究明の一助となることを願い、当時の記事を再公開する(初出2021年4月18日、肩書き、年齢等は当時のまま)

※本記事では3つの中学校が登場します。X中学校は、廣瀬爽彩(さあや)さんがイジメを受けた後に転校した学校。Y中学校は2019年4月から9月まで、イジメをうけた時に在籍していた学校。Z学校は、加害者生徒のC男、D子、E子が通っていた学校です。

 また本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。

「(ウッペツ川に飛び込んだ事件について)お母さんの認識はイジメになっていると思いますが、事実は違う。爽彩(さあや)さんは小学校の頃、パニックになることがよくあったと小学校から引継ぎがあり、特別な配慮や指導していこうと話し合っていました。爽彩さんも学級委員になり、がんばろうとしていた。でも川へ落ちる2日前に爽彩さんがお母さんと電話で言い合いになり、怒って携帯を投げて、公園から出て行ってしまったことがありました。

 何かを訴えたくて、飛び出したのは自傷行為ですし、彼女の中には以前から死にたい気持ちっていうのがあったんだと思います。具体的なトラブルは分かりませんが、少なくとも子育てでは苦労してるんだなという認識でした。ただ、生徒たちが爽彩さんに対して、悪い行為をしたのも事実です。その点に関してはしっかり生徒に指導していました。

 我々は、長いスパンでないと彼女の問題は解決しないだろうから、お母さんに精神的なところをケアしなきゃない問題だって理解してもらって、医療機関などと連携しながら爽彩さんの立ち直りに繋げていけたらなと考えていました」

 凄惨なイジメ被害に遭った廣瀬爽彩さんが通っていたY中学校の当時の校長は、約2時間にわたって「文春オンライン」の取材に応じたーー。

担任の教師に4度イジメについて相談したが…

 氷点下17℃の2月13日の夜に自宅から行方不明となった旭川市内に住む当時中学2年生の廣瀬爽彩さん(14)。家族や親族、ボランティアが懸命な捜索を続けてきたが、3月23日に雪の中で変わり果てた姿で見つかった。

イジメがあった公園 ©文藝春秋

 亡くなった爽彩さんは生前、凄惨なイジメに遭っており、医者からPTSDと診断されていた。失踪する前もそのフラッシュバックに悩まされていたという。

 2019年4月、爽彩さんがY中学校へ入学した直後からイジメは始まった。上級生のA子やB男、C男が爽彩さんにわいせつ画像を送らせ、その写真をグループLINE内に拡散。その後、生徒のたまり場となっていた公園で、小学生を含む複数人で爽彩さんを囲み、自慰行為を強要することもあった。爽彩さんの母親は4月から6月の間に、担任の教師に4度「娘がイジメに遭っているかもしれない」と訴えたが、学校側はまともに取り合わなかった。

廣瀬爽彩さん

弁護士の同席を求めるとY中学校の対応が急変

 6月に爽彩さんが地元を流れるウッペツ川へ飛び込んだ事件が発端となって、警察が捜査を開始。わいせつ画像を送ることを強要した加害少年のC男は児童ポルノに係る法令違反、児童ポルノ製造の法律違反に該当したが、当時14歳未満で刑事責任を問えず、少年法に基づき、「触法少年」という扱いで厳重注意を受けた。A子、B男、D子、E子らその他のイジメグループのメンバーは強要罪にあたるかどうかが調べられたが、証拠不十分で厳重注意処分となった。事件後、爽彩さんは心身のバランスを崩し、長期入院を余儀なくされた。

 この間、Y中学校と爽彩さんの間で、イジメ問題の解決に向けて話し合いが続けられていたが、母親が話し合いの席に弁護士の同席を求めたところ、Y中学校の対応が急変した。学校側は弁護士の同席を認めず、母親側が事件後に学校が加害生徒を聴取した冊子の情報開示を求めても一切応じなかった。

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縄文時代から日本人と同居していたゴキブリ 土器を調べてわかった:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

 ゴキブリは、5千年前から日本人と共にいた――。熊本大学などのチームが、土器に練り込まれたゴキブリの卵を調べ、縄文時代中期~後期には現代と似たゴキブリの分布が成立していた可能性を明らかにした。縄文人の生活にもゴキブリが身近な存在となっていた様子もうかがえる。

 研究したのは、熊本大の小畑弘己教授(考古学)ら。全国4カ所の遺跡から出土した縄文土器の表面や割れ目にゴキブリの卵の塊が練り込まれた跡を見つけ、電子顕微鏡などで詳細に調べた。

 宮崎市の遺跡から出土した4300年前と4千年前の縄文土器に練り込まれていたのはクロゴキブリの卵で、2016年に発表した。今回はさらに、宮崎県えびの市、鹿児島県鹿屋市山梨県北杜市から出た5300~4300年前の土器も調べ、九州のものにはいずれもクロゴキブリ、山梨のものにはヤマトゴキブリの卵が練り込まれていたことがわかった。

 現在、ヤマトゴキブリは主に…

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Friday, September 23, 2022

【アルピーヌ A110 GT 新型試乗】1000km走ってわかったエブリデイ・スポーツカーとしての実力とは…南陽一浩 - レスポンス

ようやくタイミングが合って、1週間ほど1000km近く走らせることができた。今夏よりマイナーチェンジ版に切り替わっていた、アルピーヌ『A110 GT』だ。

既報の通り、A110のパワートレインは1.8リットルターボは共通で、従来の320Nm・252ps(ピュア、リネージ用)と320Nm・292ps(S用)という2本立て・3モデルだった。ところがマイナーチェンジを機に、後者のハイパフォーマンス版が340Nm・300psへと高められ、トルクも出力も向上したこのパワーユニットはクローズドコースでのパフォーマンスに焦点を合わせた「A110S」のみならず、シャシー・アルピーヌと呼ばれるよりソフトなシャシーで前後7J&8Jホイール履き、かつレザートリム内装を備えた「A110 GT(旧リネージに相当する)」にも組み合わせられた。いわばマイチェン派生とはいえ、実質的なニューモデルといえるのがA110 GTというわけだ。

余談だが、最高出力300psは『メガーヌR.S.』に肩を並べたものの、あちらは420Nm仕様なので、FF×4コントロール(4輪操舵)がどれだけ高効率&ハイパフォーマーなホットハッチであり、300ps化したとはいえA110がバランス重視のミッドシップスポーツであるかが、窺えるだろう。

フランスらしい地味ハデ仕立て

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

まずA110 GTの外観だが、深いネイビーのメタリックとなるブルーアビスという外装色は以前、30台限定で投入されていたので、お初にあらず。だが細いスポークのホイールの向こうに透けて見えるゴールドの4ポッドキャリパーは、ごく控えめに全体のダークトーンを引き立て、じつにフランスらしい地味ハデ仕立てといえる。

ちなみにこの18インチホイール、「アトリエ・アルピーヌ」というパーソナライズ・プログラムで選べる「GTレース」というホイールとも微妙に異なっていて、平たくいえばパッと見にカタログモデルには見えづらい外観ですらある。「マイナーチェンジ=フェイスリフトではない。マイチェン時にフェイスを変えないことが、むしろ目標」と、アルピーヌのチーフデザイナーであるアントニー・ヴィランは言い切っていたが、それは容易に陳腐化しないデザインであるという自信の表れでもあっただろう。

マイチェン・モデルだとひと目見て区別できる細部は、リアデッキ後端のALPINEロゴの下に車名ロゴ、つまり撮影車の場合は「A110 GT」と入るようになったことだ。ピュアの場合はA110とだけ、Sの場合はブラックレターでA110Sとなる。

ほとんど変わらないようで、かなり異なるインテリア

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

インテリアはほとんど変わらないようで、かなり異なる。いわゆるアップホルスタリーの部分、ダッシュボードやセンターコンソールを覆うレザー、そしてサベルトのリクライニング機能かつシートヒーター付きシートは、前期モデルのリネージから受け継がれたブラウンレザーに青いステッチラインだが、チョコレートブラウンのニュアンスがより明るくなったような気がした。まぁ、レザーの鞣しで多少の色合いの差が生じるのはありうべくことなので、むしろレザーシートのクオリティを下げてこなかったことに安堵した。乗降で擦れやすいサイドサポートのみ、型押しグレインレザーを用いるディティールも、そのままだ。

前期モデルから明らかに省かれたディティールは、左右シートの間でエンジン隔壁手前にあった三角錐状の蓋付きの小物ケース。代わって深めのプラスチック製トレイが大きくなっていた。じつはシート背後は反対側シートから手を伸ばすと、A110には貴重な、熱くなりづらいがふとした小物を置けるスペースなので、そのアクセス性がよくなったといえなくもない。

もうひとつ些細なことだが、助手席側のフットレストがパーフォレーションでなくツルンと穴のない仕様となった。運転席側のフットレストは穴あき仕様のままなので、見た目の統一感としてはビミョーな気がしたが、穴の裏に土や小石が入らず掃除しやすくなったと思えば、悪くないのだろうか。

得たものと失ったもの

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

それより大きな変化は、7インチマルチファンクションタッチスクリーンにある。新しいマイナーチェンジ版ではAndroid AutoとApple CarPlay、いずれにも対応するようになった。ようはナビゲーションをはじめ、スマホの機能あれこれが車内のスクリーンで扱われるようになった訳だが、失われたものがある。前期型モデルにはあった、テレメトリー機能が省かれてしまったのだ。

それがためにひとつ困ったことは、筆者が借り出した1週間はおそらく、この夏もっとも暑かった時期なのだが、ドライブモードをノーマルで走行中、水温計が正面のインストルメンタルパネル内にはないので、テレメトリーに切り替えようとしたらテレメトリー機能自体が無くなっていることに気づいた。そのため水温が上がり過ぎていないか心配になると、ステアリングホイール上のスイッチでスポーツモードに切り替えては確認する、というマニュアル動作が必要になった。

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

もっとも前期型A110でも、走行モードがノーマル設定の間は水温計は目の前のインストルメンタルパネルに出てこないので、表示させるにはスポーツかトラックにする必要があり、油温やクラッチ温度といったさらに周辺的な情報を含め、テレメトリー画面で詳しく見ることができた。だから昔ながらの3連アナログメーターとは異なる、液晶表示ならではのメリットを感じたものだが、日常的な利便性としては今やテレメトリーの走行情報よりもスマホのミラーリング、という優先順位なのだろう。

いずれスポーツやトラックモードであれば水温の確認に難はないので、週末の走行会でサーキットに足繁く通うような用途なら元よりA110S向きだが、問題はないのだろう。テレメトリーがどうしても必要なら近頃はデータロガーもかなり安価になったので、公道ツアラーたるGTなら、むしろスマホ連携の方が必要という判断といえる。

気温35度オーバーの炎天下で都内の渋滞にハマってみた

それでも暑さゆえ、よりハイチューンが施されたターボエンジンをミドに積むA110 GTが、どのように冷却システムを機能させているかは、公道を走る限りでも水温ともども気になる。というのもA110の欧州での競技仕様、より負荷の高い走行環境を前提とするカップカーやGT4のような仕様では、ラジエーターはノーマルの仰向けチルトではなく、上端が前のめりの被せチルトにして、熱風を安全タンク手前からボンネット上のルーバーより抜いている。しかしフロントに荷室のあるノーマル仕様はそうはいかない。ちなみにバンパー内の両脇、ヘッドライト前端あたりにA110は2基のインタークーラーも備えているが、その熱抜きとなるホイールハウス内のルーバーは、GTもSと同様の形状になっているようだ。

いずれにせよ試乗中、気温35度オーバーの日中の炎天下で都内の渋滞にハマってみた。最近の直噴エンジンは燃焼効率のためにわりと高めの水温管理を志向することは知られているが、表示された中でもっとも高かった水温値は105度だった。停止状態でこのぐらい水温が上がるとエアコンの効きがわずかに緩まる感触もあったが、真夏の炎天下でミッドシップでこのぐらいの水温上昇なら、許容範囲といえるのではないか。当然、少し渋滞が動いて風が当たり始めれば、水温はすぐさま98度前後に落ち着いた。

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

リアトランクの裏から3本のバタフライスクリューを外すとリアハッチが開いて、意外と頼もしい電動ファン×2基をルーバーのすぐ下に確認できる。エンジンカバーはA110Sにはクイックリリースのスクリューが採用されているが、GTはピュア同様のマイナススクリューである点は前期型と変わりない。

それにしても、フロントに100リットル、間口こそ狭いがリアに90リットルのトランク容量は、ミッドシップスポーツとしては望外の使い勝手よさだ。もちろんリアトランクはエンジンの熱を受けて暖まるが、車検証入れやパンク修理キット、三角表示板といった必要な車載道具はマジックテープで転がらないようになっている。フロントトランクもラジエーターの上にあるため、ほんのり暖まりはするが、奥行20cm強で機内持込サイズのスーツケースなら楽々積める。「GT」の名はそれこそ、ダテではないのだ。

軽さの正義を見せつけた+20Nm

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

そして気になる走りに関してだが、トルクが+20Nmと聞いて乗る前は控えめなトップアップと感じていたが、そこはさすが1100kg台、軽さの正義を見せつけてくれた。4.2mの全長で並程度に1400kg前後ある車とは、+20Nmの効果の増幅されっぷりが、物理的なスケール感ごと違ってくるのだ。320Nmの前期型でも遅い雰囲気は一切なかったが、出足で交通の流れを軽々リードする余裕、踏み込んだ際の力強さまで、マイチェン後の340Nm版エンジンの方が低回転域が2ランクほど分厚くなったようなフィールだ。下からの加速も早ければ上までの伸びも長いから、当然ワインディングで次のコーナーまでにのせられる速度域が、ワンランク上がってくる。

するとSのリジッドな方ではない、柔らかい方のシャシー・アルピーヌでバランスはどうよ?という話だが、確かに252ps時代より速度域が上がって動きは大きくなってきても、ロールモーメントのつき方が自然で、動かしているマスの小ささが手元のステアリングにしっかり伝わってくる。つまり、まったくコントローラブルな範囲で、楽しめる領域だけが拡がったような。スポーツモードにすれば、エンジンの吹け上がりやシフトアップのタイミングといったパワートレインのスケジュールや、ステアリング中立付近の手応えが、一段とキレ味方向に締まってくる。

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

しなかやかな4輪接地の変化を、骨盤や背中、手元で捉えながら、解像度は素晴らしく高いのに、上下動の柔らかなコントロール&ライドの感覚は、A110 GTの真骨頂といえる。加速の非日常感とか横方向のクイックさみたいな、スポーツカーよりはジェットコースターに求めるべきエンタメ要素は一切ないにもかかわらず、公道で楽しむ分には欠けるところが一切無い。旧リネージがそうだったように、GTは相変わらずSより扱いやすく快適なまま、パワートレインの柔軟さをも増してきたのだ。

しかも驚くべきは、パワートレイン全体のマナーがエレガントであることだ。7速EDCは微低速域でも神経質さを感じさせない一方、292ps版の頃はノーマルモードでもポンポンと景気よくバックファイアを鳴らしていたエンジンが、ノーマルモードでは必要欠かざるだけの大人しさを身につけてきた。トラックモードはESPオフでもあるので、基本的にはクローズド専用、公道では遠慮がちに使うモードだと考えた方がいい。

エブリデイ・スポーツカーとして底上げされた進化

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

いわばGTに込められ表現された進化とは、グランドツアラーとして快適さをレベルアップしたと同時に、エブリデイ・スポーツカーとしての底上げでもある。前期型からそうだったが、A110 GTは乗車定員はさておき、日常をギリギリ1台でこなせるコンパクトカーのようなところすらある。サイズ感や素直なドライバビリティはじつは老若男女問わず絶対的に運転しやすいし、ホットハッチ卒業生には延長線上の感覚でいけるところすらある。高速道路では燃費が15km/リットル近くにまで伸びたところにも、舌を巻いた。

もうひとつ驚いたのは、ボディセンターまで深々と入るディフューザー形状なのに、コインパーキングで小さめの輪止めならギリギリ当たらない程度に、地上最低高が確保されていることだった。

意外と早いタイミングでBEVコンセプトも発表されてしまったことだし、マイチェン後の後期型は納車待ちこそ長そうだが、限りなく後悔させづらい成熟ぶりといえる。

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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国葬で学校に弔意求めず 安倍氏の地元・山口のほぼ全市町 [国葬]:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

 安倍晋三元首相の国葬をめぐり、安倍氏の地元・山口県で、19市町の教育委員会のうち18市町の教委が小中学校に弔意の表明を求めないことが、朝日新聞の22日までの取材でわかった。県教委は県立学校に半旗を掲げて弔意を示すよう求めており、対照的な対応になった。

 山口県教委は20日、県立の高校や特別支援学校など計61校に対し、国葬が行われる27日に国旗と県旗を半旗にして弔意を表すよう求めた。朝日新聞が20日までに全国の都道府県・政令指定市の各教委に行った調査では、何らかの形で学校に弔意表明を求めたのは山口県のみだった。

 県教委は県内19市町教委に対し、県立学校で半旗掲揚する方針を参考情報として伝えた。だが、これを受けた対応を市町教委に尋ねたところ、18市町は学校側に弔意表明を「求めない」「求めない方向」と回答。残る萩市は「検討中」とし、26日までに対応を決めると答えた。

 県教委は、7月にあった安倍氏の家族葬の時も同様の対応をした。この時は19市町教委のうち下関や防府、下松など8市教委が市立小中学校に半旗掲揚するよう求めたり、協力を依頼したりしていた。

 対応を変えた理由として多く挙がったのは、自治体や教育委員会に「弔意表明の協力の要望を行うことはない」とした8月末の永岡桂子文部科学相の発言だ。山口市教委は「学校へ半旗掲揚を強制しないでほしいという要請が多く寄せられた」、岩国市教委は「国葬に様々な意見があることがわかった」ことも挙げた。

 また、7月の葬儀の際、柳井など3市と周防大島など5町が県教委からの参考情報を学校に転送したが、国葬では多くがこうした対応も取らない。田布施町教委は「参考情報でも送ると誤解を招く」と説明。宇部市教委は逆に「通常通りの対応」を求める通知を出し、学校現場を混乱させないよう配慮するという。武井宏之、太田原奈都乃)

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Thursday, September 22, 2022

『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』改めてわかった「世界一」にして「映画館で今観るべき」3つの理由 - シネマズby松竹

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』が、2022年9月23日(金・祝)より、2週間限定で上映されている。ここでは、初めて『アバター』を映画館で観る方はもちろん、昔に観たという方にも新たな感動がある理由を紹介しよう。

前置き:名実ともに「世界一」の映画

2009年に公開された『アバター』は、はっきり「世界一」の称号を得ている映画だ。何しろ、全世界歴代興行収入は全ての映画の中で1位。2019年に『アベンジャーズ/エンドゲーム』がその記録を一度は更新したものの、2021年の中国での再上映でふたたび世界No.1に返り咲いた。

もちろん、ただ世界一売れた映画というだけではない。『アバター』はそれに見合うだけの技術が詰め込まれた内容であり、映画の歴史そのものの転換点になっている。しかも、今回は映像のリマスターが行われており、2009年版にはなかったシーンも追加されていている。

そして、2022年12月16日、実に13年の時を経て、その続編である『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が公開となる。その「予習」のためにも、今回の『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』を映画館で観てほしいのだ。その魅力をさらに記していこう。


1:「そこにいる」と思わせてくれる3D映像

今回の『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』は、IMAX(レーザー)3D、ドルビーシネマ3D、4D、通常3Dという4つのフォーマットで(IMAX以外では吹き替え版も)上映されている。2009年版にはかろうじてあった「2D上映」が「今回はない」ことからも、本作が3D映像に特化した内容であることがわかるだろう。

2009年版から、その3Dが革新的とされた理由は、とんでもなく「奥行き」感があり、「世界へと没入させてくれる」ことにある。その頃にアトラクション的な「前に飛び出てくる」タイプの3D映像を推した映画がいくつか公開されていたからこそ、まるでコクピットから観ているような「世界を体感できる」『アバター』の3D映像は、驚きをもって世界中から賞賛された。当時の「観るのではない、そこにいるのだ」というキャッチコピーは、まったく伊達ではない。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

そして、2022年の今では3Dを推した映画自体がとても少なくなっている。直近では『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)がバトルシーンで3Dの効果が絶大だったものの、それ以外ではハリウッドの大作映画でも3Dの上映自体がなかったり、3D版があっても大した効果を感じられないケースも多々あった。そんな今だからこそ、「やっぱり『アバター』の3Dはすごかったんだ…!」と映画館で再認識してほしい。

2:シンプルかつ王道、新しい世界を知る過程を経ての感動

『アバター』のメインプロットはシンプルと言っていい。「異文化との交流と対立」と「勧善懲悪的な活劇」なのだから。先住民との、また男女の関係は『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990)や『ポカホンタス』(1994)に近い。ナヴィ族はアメリカ先住民を思わせ、白人至上主義的な価値観や歴史の自己批判的な要素も込められている。

さらにエコロジー的な問題提起があることなどから、『風の谷のナウシカ』(1994)を思い出す方も多いだろう。他の場所にある身体に意識が転送される様は、『マトリックス』(1999)のようでもある。2009年の当時から、物語や設定は良く言えばエンターテインメントとして王道、悪く言えば新鮮味には欠けるなどと評されていたのだ。

実はジェームズ・キャメロン監督自身、当時のパンフレットで「見慣れない環境で、見慣れたタイプのアドベンチャーを作り出したい」「異星の土地と文化を舞台とした、典型的なストーリー」であると語っており、シンプルかつ王道なのは意図的でもある。ただ、それでもキャラクター描写がやや類型的であったり、後述する障害の描き方が人によってはネガティブに映りすぎるかもしれないなど、今に観ると少し問題だと思える要素も、正直に言ってある。

だが、『アバター』は、その見慣れない環境こと、「惑星パンドラ」という架空の世界を、細部まで作り込まれた「映像」で語っていることが何よりも大きい。ネオンや蛍のように光り輝く動植物が映える夜のシーンはため息が出そうなほど美しく、霧の中から現われるハレルヤ・マウンテン(空に浮く山)は圧巻の一言。さらには「高所にある草木を跳んで渡る」「巨大な鳥のような動物に乗って空中を縦横無尽に飛ぶ」など、そこでの生活の過酷さ、または冒険が多分に魅力的に映るアクションが数多く用意されている。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

さらに、主人公が半身不随の障害を持ち車椅子生活を余儀なくされていて、初めは死んだ兄の代理でやってきた設定も、突如として新たな世界を知っていく喜びと開放感に大きく寄与している。観客も彼と一緒に、この惑星パンドラという場所、ナヴィ族の人々、そしてさまざまなことを教えてくれる女性ネイティリが、かけがえのない存在となっていく過程を楽しめるのだ。

その新しい世界を知る過程があってこそ、後半での戦いで主人公たちを心から応援できるようにもなっている。つまり、シンプルかつ王道で誰もが楽しめる、わかりやすく感情移入がしやすい物語としてやるべきことを、今までに観たことがない(3D)映像をもって、ストレートかつ最大限にやりきっていることこそ、『アバター』の大きな価値だろう。「相互理解の大切さ」は今の世にももちろん通ずるテーマであるし、似た作品を多く挙げられるというのも「面白い映画の面白い展開が詰め込まれている」などと、好意的に捉えることもできるはずだ。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

3:新たな4K HDRの映像&ドルビーシネマでの魅力

ここまで書いたことは、2009年版の『アバター』と変わらない、そして2022年の今もまったく古びていない魅力だ。さらに今回は「リマスター」版であり、「4K HDR(High Dynamic Range:広く明るさの幅を表現する技術)」の映像へと進化していることも、映画館で今観てほしいと心から願えるさらなる理由になっている。

さらに、筆者は試写でドルビーシネマ版を観たのだが、こちらも相性が抜群だった。ドルビーシネマは通常の上映よりもさらに鮮明な色彩と幅広いコントラストの映像と、立体的な音響を楽しめる上映方式で、中でも「黒」を基調とした映像がくっきりと見えることにも魅力がある。前述した通り、本作は夜のシーンで動植物がまるでネオンや蛍のように光輝くため、ドルビーシネマで観るとさらに明暗がはっきりした映像の美しさにうっとりできるのだ。

しかも、ドルビーシネマ版ではHFR(ハイフレームレート)の映像にもなっており、キャラクターが「ヌルヌル」と動いているように見えるのが面白かった。他にもシネマサンシャイン大和郡山など一部のIMAX3DスクリーンでもHFRのようだ。

過去の別作品の3D上映では、激しいアクションシーンでの「ブレ」を感じてしまうこともあったのだが、今回のドルビーシネマでのHFRの映像はワクワクする冒険や迫力満点のバトルの数々を、「現実も超えたような滑らかな動き」で楽しめる贅沢さがあった。このHFRは現在の4Kテレビにも対応していないらしく、それもまた「一部の映画館だけ」の魅力にもなっているのだ。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

また、2009年版にはなかったシーンは、体感的にはほんのわずかに追加された程度にも思えたものの、前後の活劇がよりエモーショナルに感じられるようになっていたとも思う。キャラクターそれぞれに、より思い入れもできるだろう。

そして、ジェームズ・キャメロン監督は、『ターミネーター2』(1991)や『タイタニック』(1994)など、興行面でも映像面でも映画の歴史を塗り替え続けているという意味で、世界一と言っていい映画監督である。特に映像面での革新性が絶賛された『アバター』が、13年の時を経た『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』で、さらに、どのような進化を遂げているのか、楽しみにしている。

(文:ヒナタカ)

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