大阪で35センチ、東京でも火山灰が10センチ積もり、鹿児島では火砕流による堆積(たいせき)物の高さが100メートルに達した――。
桜島などを含む鹿児島県の姶良(あいら)カルデラで約3万年前に発生した巨大噴火で、火砕流や火山灰といった噴出物の総量が、これまで考えられていたより1・5倍の規模だったとみられることが、産業技術総合研究所の調べでわかった。火砕流が到達した範囲をまとめた「入戸(いと)火砕流分布図」を25日、ネット上で公開した。
産総研は東日本大震災を受け、めったに起こらないものの、起きれば壊滅的な被害をもたらす巨大災害の研究を進めている。噴火では、規模を示す火山爆発指数(VEI)が6以上となる巨大噴火の再調査を進めている。
研究者たちは今回、約2年間かけて鹿児島県内外で現地の地層を調査し、過去のデータも加えて3万年前の噴火を再現した。海上を進んだ火砕流もシミュレーションした。
その結果、「入戸火砕流」と呼ばれる姶良カルデラからの火砕流が、半径100キロの範囲に広がっていたことがわかった。カルデラ直近の鹿児島市周辺では、火砕流が最大で100メートル近く積もっていた。カルデラから約40キロの九州電力川内原子力発電所でも、周辺に高さ約10メートルの火砕流堆積物があったという。九電の広報担当者は「内容を確認して対策が必要ならば検討する」としている。
シミュレーション結果では、東シナ海でも厚さ40~50メートル、太平洋側にも30メートルの厚さに相当する火砕流が到達したとみられるという。
姶良カルデラの噴火による火山灰は、地質学で「姶良Tn火山灰」と呼ばれる。鹿児島周辺で厚さ64センチ以上、大阪で35センチ、東京で10センチ、仙台で5センチの降灰があったとみられ、「火山灰が日本列島のほぼ全域を覆った」とした。韓国・チェジュ島でも火山灰の層が見つかり、朝鮮半島で10センチ近くの降灰があったことが判明したという。
新しい調査結果を加味した噴出物の量は、火砕流と火山灰をあわせて8千億~9千億立方メートルに及び、従来知られていた6千億立方メートルより1・5倍近く大きかったという。
最大のVEI8(1兆立方メートル~)に近く、約9万年前の阿蘇カルデラの噴火に次ぐ規模の破局噴火だったとみられる。研究者は「噴出物の研究が進めば、VEI8となる可能性もある」とした。
産総研は「将来、同様の噴火が姶良カルデラで発生した場合、どの範囲にどのような影響が及ぶのかを推測する手掛かりとなる。火砕流の堆積物は土石流や斜面災害の原因となることも多いので、発生リスクを知る情報にもしてほしい」としている。
地図や詳しい資料は産総研のサイト(https://www.gsj.jp/Map/JP/lvi.html)からダウンロードできる。
からの記事と詳細 ( 約3万年前の破局噴火、VEI8に近かった 東京でも10cm降灰 - 朝日新聞デジタル )
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