料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」が立ち上がって23年あまり。「つくれぽ」で人気レシピを確認したり、余った「塩麹」の使いかたを求めたりと、移り気な気分や流行りにもばっちり応えてくれる心強い相棒になっている方は多いかと思います。 そんなクックパッドの初期メンバーで、現在、コーポレートブランディング・編集担当本部長を務める小竹貴子さんは、「日本一クックパッドのレシピを見てきた」と語るレシピマニア。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP)の中でも、同サイトに集まってくるレシピは「“手抜き”と“おいしさ”のバランスが絶妙なものだらけ」と語ります。 そこで今回、クックパッドに投稿されている330万品のレシピの中から、みんなに愛される「バズるレシピ」の共通点について、小竹さんにお聞きしました。 【書影】『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』
小竹貴子さん:クックパッド株式会社コーポレートブランディング・編集担当本部長。1972年石川県生まれ。WEBディレクターを経た後、2004年に有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)へ入社。レシピコンテストなどを考案し、2008年に執行役就任。日経ウーマンオブザイヤー2011受賞。2012年に退社し独立した後、2016年に復職。プライベートで料理教室を開催するほどの料理好き。
子どもができて料理が嫌いになった人へ
小竹貴子さんの著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』を読んですぐ、紹介されていた「鶏むね肉のケチャップ炒め」と「たらこパスタ」を作った。……おいしい。しかも、びっくりするほど簡単。 筆者は子持ちのアラフォーですが、最近特に、料理が面倒で仕方なくなっていました。とはいえ、子どもの食事を抜くわけにはいかず、毎回、心を奮い立たせて台所に立つような体たらく……。すると小竹さんから、こんな言葉がありました。 「クックパッドを使っているユーザーにお話を聞く機会が多いのですが、中でも、『昔は好きだったけど、子どもが生まれてから料理が嫌いになった』という人が多いことは驚きでした。それってなんでだろうと思ったんですが、栄養バランスや食べやすいもの、つまり常に誰かのためのお料理ばかり考えていて、楽しみというよりも義務感になっているように感じました。 深堀りすると、予想通り独身時代は料理が楽しかったとか、子どもが巣立ったらまた献立を考えるのが好きになったという話もあって、料理って“自分のために”ご飯を作るから楽しいのではないかと思ったんです。 それと、時間がないから楽しめない、という話も聞きました。なら限られた時間しかないからこそ、自分のために、自分の好きなものを作るほうがテンションが上がりませんか?だからこの本では、“家族のために料理をしない”と言い切ってしまいました」 そうなんです、そうなんです(涙)と、お話を聞きながら共感の嵐が止まらなかったのですが、小竹さんは20歳半ばまではほとんど料理をしなかったそうで、「どうにかして手を抜こうと考えていた」と言います。 そんな中、クックパッドに投稿された膨大なレシピに触れる中で、「おいしい」と「簡単」を両立した秀逸なレシピに通底する“エッセンス”を習得。さらには、一流の料理人から教えてもらった料理のコツや、食べ歩きで知った技などを家庭料理の中に落とし込んで生まれたのが、今回のレシピ本だと言います。
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