法務部長官が「検事総長切り」、任命した文在寅大統領はただ沈黙
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(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)
前々回寄稿の続編である。秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長に対する怒りはとどまるところを知らないようだ。今度は一方的に懲戒を請求し、職務停止にしてしまった。秋長官による懲戒請求と職務停止は、大統領による解任という手続きを取らず、事実上同様の効果を狙ったものである。
大統領の解任権は明示されたものではなく、検事について検察庁法は、懲戒処分や適格審査を経なければ、解任、免職、停職などの処分を下せないと定めている。懲戒委員会では検事総長の解任を決定するとの観測が強まっている。
この措置に先立って秋長官は文在寅大統領に報告したが、文在寅氏は黙っていたという。一連の秋長官の“超法規的”行動は、多くの法曹界関係者から激しい批判を浴びている。
(参考記事)文在寅の大誤算、検察に圧力の法務部長官に悪評紛々
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63001
尹総長は、「検察の政治的中立性を守るためこれまで一点も恥じることなく検事総長の任務を全うしてきた」、「違法で不当な処分に対し、最後まで法的に対応する」という立場を表明した。最高検察庁は近々執行停止申し立てをする見通しだ。
「ハンギョレ新聞」はこの状況を、秋長官は「最後のカードを切った」と表現した。もはや妥協はない。韓国の司法界がここまで分裂しては、どちらか、もしくは双方の辞任・解任なしには収まらないであろう。
秋長官による懲戒請求と職務停止の根拠
秋長官は24日、尹検事総長に対して懲戒請求と職務停止を命令した。現職検事総長に対する職務停止は憲政史上初めてのことである。
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秋長官は緊急記者会見を行い、「検事総長に対する様々な不正疑惑に対して直接観察を進めた結果、深刻で重大な不正疑惑を多数確認した」と明らかにした。秋長官は尹総長への懲戒請求と職務停止の理由として次の6つを上げている。
・事件に関連する報道機関の社主との不適切な接触
・曺国前法務部長官事件などの裁判を担当する判事に対する「不法査察」の指示
・チャンネルA事件及び韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相事件の監察妨害
・チャンネルA事件の監察関連情報を外部に流出
・政治的中立に関する威厳と信頼損傷
・尹検事総長に対する対面調査の過程で協力義務違反及び監察妨害
である。
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