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Tuesday, September 1, 2020

石破、岸田、菅、私が政治家として絡んでわかった「次期総理」の実像 - iRONNA(いろんな)

舛添要一(元厚生労働相、元東京都知事)

 8月28日、安倍晋三首相が持病の潰瘍性大腸炎が悪化したとして、辞任を表明した。7年8カ月という憲政史上最長の政権が突然に幕を閉じた。

 安倍長期政権の功罪についての評価は、立場によって異なるであろうが、短命に終わる政権が多い日本で、この長期政権が政治に安定をもたらしたことは疑いようがない。しかし、同時に「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」という19世紀の英国の歴史家・思想家・政治家、ジョン・アクトン卿の言葉が示すような現象も起こっていたことも事実である。

 国民の関心は、誰が安倍首相の後継者になるかということであろう。今のところ、既に出馬を表明した石破茂元幹事長と岸田文雄政調会長、そして菅義偉(よしひで)官房長官の3人が有力候補とされている。

 私は、国会議員、閣僚、東京都知事時代を通じて、この3人と一緒に仕事をし、親しく交流してきた。本稿では、私なりに3人の評価をしてみたい。

 まず、石破氏であるが、「防衛オタク」と言われるように安全保障の専門家であり、農林水産行政など他の分野についても該博(がいはく)な知識を持っている。問題は、その専門知識と議論好きが、アバウトな頭の持ち主が多い政治家仲間の反感を買うことである。

 自民党の憲法改正作業部会で私は改正案の取りまとめを担当したが、憲法9条について党内で激しい論争を行ったものである。私は立場上、さまざまな意見を集約して丸く収めようとしたが、石破氏は論理の一貫性を求めてやまない。そこで、私は「そんな学者みたいなことを言ってどうするのか」と彼に詰め寄ったが、石破氏は「学者のあんたが政治家みたいなことを言ってどうするんだ」と反論したのである。

 このエピソードが示すように、多くの同僚議員は石破氏の理詰めの議論に辟易(へきえき)する。残念ながら、それが人望をなくすことになる。

共同通信加盟社論説研究会で講演する自民党の石破茂元幹事長=2020年7月
共同通信加盟社論説研究会で講演する自民党の石破茂元幹事長=2020年7月

 政治家とて人間であるから、一緒に食事をしてバカ話の一つもできるようになると、もっと支援者が広がると思う。政策的には優秀なだけに、この点での気配りを求めたい。

 政策能力から見て、皆が協力すれば、内閣総理大臣として立派に務まると思う。

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