コロナウイルス蔓延でロックダウン寸前まで追い詰められた危機的状況下、消費は生活維持に必要なミニマルまで萎縮し、期せずして「エシカル消費」が実現しているが、パンデミックが収まった後も消費が元に戻るとは思えない。
エコミニマルで環境に優しいエシカル消費を謳うのがサスティナブルだと企業ブランディングのトレンドになっているが、このままエシカル消費が続けば経済循環が萎縮して現代文明が崩壊しかねない。
それは温室効果ガスが地球温暖化と環境破壊をもたらすという美しき世界的キャンペーンも同様で、人類活動が生み出す温室効果ガスが辛うじて食い止めている氷河期の再来を許し、人類が8000年かけて築いて来た文明を根底から崩壊させるリスクがある。
エシカル消費が文明を滅ぼす…?
「環境に優しい」は好ましいが、「リサイクル」や「ミニマル消費」が広がりすぎると不要不急な新品の消費が萎縮し、所得や雇用も萎縮して経済が縮小スパイラルに陥り、過剰消費が支えてきた現代文明を崩壊させるリスクが指摘される。
エシカル消費を極めれば産業革命以前の農耕経済に戻って経済規模も人口も劇的に萎縮し、現代文明は滅んでしまう。
そんな極端なことはあり得ないと思うかも知れないが、この一ヶ月ほど、我らはエコミニマルなエシカル消費を実体験している。所得も資産も脅かされて明日の生計が見えず、マスクなど衛生用品はもちろん生活必需品の入手さえ細る実情下では、エコミニマルに徹するしかない。
それがどれほど消費と経済を連鎖的に萎縮させ、世界恐慌さえ危ぶまれるほど深刻な状況を招いているか、誰もが実感しているはずだ。
「過剰消費」と「莫大な無駄」で成り立つ現代社会
産業革命以降の経済拡大は、エシカルに考えれば壮大な無駄の相乗効果の上に成り立ってきた。
それが環境を汚染し経済格差を広げ様々な軋轢を招いてきたとしても、人類を7億人(1750年)から77億人に増やした事実を無視してはなるまい。
もしも産業革命以前の環境に優しいエシカル社会に戻るなら、世界人口は十分の一に戻ってしまう。その過程でどれほど阿鼻叫喚な悲劇が繰り返されるか、想像に難くない。
現代文明は過剰消費と莫大な無駄によって規模と循環を保っているのが現実であり、美しきエシカル消費が蔓延すれば崩壊してしまう。百貨店やファッション業界など過剰消費と無駄を否定しては存在さえ危うい。流通の無駄は不毛だが、消費の無駄は文明を支える“美徳”だ。
美しき“エシカル”トレンドに便乗するのもほどほどにして、パンデミックが収まったら、現代文明が崩壊しないよう各業界が総力をあげて過剰消費を煽るべきだろう。
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