メニーコア化で最大性能を積み上げているRyzenシリーズだが、その中でもエンスージアスト向けとなるのが「Ryzen Threadripper」シリーズだ。メインストリームとなるソケットAM4とは形状の異なる、ソケットTR4を採用して登場したシリーズで、第1世代では最大16コア/32スレッドとなる「Ryzen Threadripper 1950X」が登場し、同クラスのCPUが見当たらないといっても過言ではないほど、ひたすら圧倒的な性能を見せつけたのが記憶に強く残っている。
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加藤勝明氏によるRyzen Threadripper 1950Xのレビュー記事から。4つのコアを1組とし、Infinity Fablicで2組接続しているのがCCX。このCCXを2つ接続することで、16コアを実現していた |
これが第2世代となると、さらにコア数が増加。32コア/64スレッドの「Ryzen Threadripper 2990WX」の性能は暴力的ともいえるものだった。タスクマネージャーの論理コア表示がグラフではなく数値のみとなることを知ったのも、このCPUだったという人は多いことだろう。
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こちらも加藤勝明氏によるRyzen Threadripper 2990WXのレビュー記事から。64スレッドというのがすでに圧巻だが、タスクマネージャーの表示がグラフではなく、負荷率の数値だけになるというのが新鮮だった |
そして第3世代ではアーキテクチャーがZen2へと進化。ソケットもsTRX4へと変更されており、互換性はなくなっている。大きな変更点は、メモリーコントローラーを独立化したことだろう。これにより、第2世代で問題視されていたメモリーアクセス時のハンデが解消され、どのコアからも高速なアクセスが可能になった。
また、PCI Expressが3.0から4.0へと高速化されたほか、チップセットとCPU間のレーン数が2倍に強化されたことにより、ボトルネックが解消されているというのも大きい。
先に登場したのは、32コア/64スレッドの「Ryzen Threadripper 3970X」だ。コア数が変わっていないだけに第2世代からそれほど性能上昇はないと考えてしまいがちだが、Zen2でIPC(クロック当たりの処理命令数)が大きく改善されたこと、さらに先に述べたようなボトルネックの解消などにより、実際の性能はCINEBENCH R20のスコアーでRyzen Threadripper 2990WXの約1.5倍となっていた。
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同じく加藤勝明氏によるRyzen Threadripper 3970Xのレビュー記事から。ライバルを圧倒するのは当然として、同じRyzen Threadripperの第2世代すら寄せ付けない圧倒的な強さに目を奪われる |
BTOパソコンを扱うサイコムはハイエンドPCに力を入れており、新しいRyzen Threadripperが登場するたび対応モデルをリリースしている。過去にレビューで紹介した「G-Master SLI-X399A」(Ryzen Threadripper 1950X)、「Aqua-Master X399AII」(Ryzen Threadripper 2990WX)、「G-Master Hydro TRX40 Extreme」(Ryzen Threadripper 3970X)などを見てもらえれば、その意気込みが伝わるだろう。
すでにRyzen Threadripper 3970Xでライバル不在といっていいほどの強さを見せていたのだが、今年の2月頭に解禁された「Ryzen Threadripper 3990X」では、さらにコア数が増加。なんと、倍となる64コア/128スレッドを実現しているのだ。
当然、これを見逃すサイコムではない。先日レビューした「G-Master Hydro TRX40 Extreme」のBTOメニューに、この最新CPUが追加されていたので、BTOパソコンの特徴をおさらいしつつ、性能をチェックしていこう。
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64コア128スレッドとなるRyzen Threadripper 3990X。当然ながら見た目は同3970Xと変わらないが、コア数は単純に2倍になっている |
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「CPU-Z」を使い詳細情報を表示したところ、64コア/128スレッドというのが確認できた。「Max TDP 280.0W」という、若干不安になる数字も見えている |
「G-Master Hydro TRX40 Extreme」は
360mmラジエーターの水冷クーラーを装備したハイエンドCPU向けモデル
今回試用した「G-Master Hydro TRX40 Extreme」の特徴は、何といってもCPUにRyzen Threadripper 3990Xを採用していること。正直なところ、64コア/128スレッドとなるこのCPUのライバルとなるものが見当たらず、ある意味孤高の存在となっている。
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ケースはシンプルながらも高級感のあるFractal Design「Define S2 Black TG」。側面はガラスパネルとなっている |
さらに、CPUとビデオカードの両方に水冷クーラーを採用しているデュアル水冷モデルだというのも見逃せないポイントだ。特にCPUクーラーは、サイコムのオーバークロックモデルなどでも実績のあるFractal Designの「Celsius S36」。360mmという大型のラジエーターを備えた製品で、TDPが280Wと高いRyzen Threadripper 3990Xを冷却するのにぴったりなクーラーだ。
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360mmのラジエーターはフロントに装備。冷たい外気で何よりもCPUを優先して冷却するという、こだわった配置になっている |
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CPUへ固定するウォーターブロックはポンプ一体型。CPUの熱を液体へと移動し、ラジエーターで強力に冷却してくれる |
ビデオカードは水冷化にASETEKの水冷ユニットを使用しているほか、カバーの加工まで独自に行っている。手間のかかる作業だが、こういった部分までこだわって組み立てているというのがサイコムらしさといえるだろう。
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120mmラジエーターを採用した水冷ビデオカード。試用したモデルにはGeForce RTX 2070 SUPERが搭載されていたが、高負荷時でも騒音が小さいのがメリットだ |
第3世代RyzenからはPCIe 4.0に対応しているということもあり、当然ながら「G-Master Hydro TRX40 Extreme」でもPCIe4.0対応のSSDを選択できる。
マザーボードのASUS「PRIME TRX40-PRO」では、ビデオカードの下側に2つM.2スロットを用意。ここに大きなヒートシンクが標準で装備されており、高速なSSDをしっかり冷却できるような構成となっているのがありがたい。
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ビデオカードとヒートシンクを外してみたところ。2つのM.2スロットがあり、どちらもPCIe4.0に対応している |
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ヒートシンクを取り付け、ビデオカードも挿した状態。ヒートシンクの上半分ほどが隠れてしまっているが、冷却性能には影響ない |
大型のラジエーターなどもすべて内蔵しているだけに、ケース内はギチギチな状態になっているように思ってしまうが、内部を見ると意外とスペースに余裕があることに気づく。
これは、M.2 SSDを採用してケーブル類を必要最小限に抑えているというのもあるが、裏配線を多用するサイコムの組み立て技術に寄るところが大きい。これによりエアフローが改善され、ケース内温度の上昇が抑えられるため、安定した動作を実現しているわけだ。
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目立つものといえば、水冷クーラーのチューブとビデオカードの電源ケーブル程度。空気の流れを阻害するジャマなケーブルは一切ない |
ケースの内部に余裕があるのはいいが、せっかくのタワー型なのにドライブベイがほとんどなく、HDDやSSDの増設がしづらいと感じた人も多いだろう。だが安心して欲しい。ドライブベイは逆サイド側にしっかり用意されている。
サイドパネルを外すと、3.5インチベイ×3、2.5インチベイ×2が使えることがわかる。タワー型PCとしては数は少ないものの、通常使用しても1つか2つ程度。5つものストレージが使えるのであれば、まず困ることはない。
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マザーボードの裏側となる逆サイドに、ドライブベイを装備。3.5インチ×3、2.5インチ×2のベイが利用できる |
「G-Master Hydro TRX40 Extreme」の特徴をざっと紹介してきたが、高性能CPUを搭載するにふさわしい構成となっていることは間違いない。続いて簡単に性能をチェックしてみよう。
機種名 |
G-Master Hydro TRX40 Extreme |
CPU |
Ryzen Threadripper 3990X |
グラフィックス |
GeForce RTX 2070 SUPER(サイコムオリジナル水冷静音仕様) |
メモリー |
128GB(16GB×8、DDR4-3200) |
ストレージ |
1TB SSD(M.2接続、CSSD-M2B1TPG3VNF) |
マザーボード |
ASUS PRIME TRX40-PRO |
PCケース |
Fractal Design Define S2 Black TG |
電源 |
Corsair RM850x(850W/80PLUS Gold) |
OS |
Windows 10 Home(64bit) |
「CINEBENCH R20」のスコアーで25000オーバー
競合不在の孤高の性能
まずは気になるCPU性能から。CGのレンダリング速度から独自のスコアでCPU性能を計測してくれる、定番ベンチマークソフトの「CINEBENCH R20」を試してみた。
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「CINEBENCH R20」のスコアは25175pts。ちょっと見たことがない数値になっていた |
全コアを使用したCPU性能は25175pts、シングル性能は477ptsというスコアだ。25000を超えるスコアというのはあまりにも数値が大きくて、どう評価していいのか分からないほど。ちなみに、32コア/64スレッドとなるRyzen Threadripper 3970Xでは17209ptsとなっていたので、単純計算で約1.46倍。動作クロックに差があるため単純な2倍性能とはならないものの、明確な性能差があるのは間違いない。
この時のCPU負荷をタスクマネージャーで確認してみたところ、しっかりと全コア(論理コア)が100%使用されていた。
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各コアの使用率が横に16、縦に8つ並んでいる異様な画面だが、これが正常。すべて100%となっていた |
ちなみに全コアを使うCPUテスト開始から終了までの時間は、10秒ほどしかかからない。すでにCINEBENCH R20ですら、負荷として軽いというのが恐ろしい。
続いてゲーミング性能として「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FFXVベンチ)を試してみよう。Ryzen Threadripper 3990Xをゲーム用途で使おうという人はまずいないと思うが、純粋な興味本位である。画質は「高品質」とし、解像度を1920×1080ドット、フルスクリーンで試した。
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FFXVベンチのスコアは、10341で「とても快適」。GeForce RTX 2070 SUPER搭載としては普通のスコアだ |
結果は見ての通りで、「とても快適」という評価。ゲーミング性能で考えればもっとコア数が少なく、動作クロックが高いCPUのほうが有利な結果が出るだろう。とはいえ、GeForce RTX 2070 SUPER搭載でこれだけの性能が出るなら、ゲームが妙に遅いといった心配はない。
ちなみに、解像度を2560×1440ドット(WQHD)にした場合のスコアは7666(快適)、3940×2160ドット(4K)の場合で4480(普通)となっていた。
試用機にはPCIe4.0対応のSSDが搭載されていたため、こちらの性能も見てみよう。これも定番のベンチマークソフトとなる「CrystalDiskMark」を使用した。
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シーケンシャルが5GB/s近くの性能となるのが、PCIe4.0対応SSDの魅力。ランダム性能の強さも見逃せない |
こちらの結果も「速い」の一言に尽きる。シーケンシャル性能が飛び抜けて高いのは当然だが、ランダム性能も非常に速く、高速CPUのボトルネックとなりにくいのがうれしいところ。価格面では若干割高になるものの、選ばない手はない。
高速なSSDで心配となる発熱だが、マザーボードの大型ヒートシンクのおかげでかなり低く抑えられている。CrystalDiskMarkを複数回繰り返し、最大温度をチェックしてみたが、最も高温となったランダムアクセス時でも64度。熱を気にしなくていいレベルまでしか上昇しなかった。
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ランダムアクセス時が最も温度が上昇。といっても64度までしか上がらなかったので、気にする必要はないだろう |
温度といえば、SSDよりもCPUの温度が気になるところ。そこで、ストレステストとなる「OCCT」と、「CPU-Z」のストレステスト機能を使い、CPU温度がどこまで上昇するのかをチェックしてみた。
OCCTはテストに「LINPACK」を選び、約15分後のCPU Package温度をチェック。CPU-Zはストレステスト機能をオンにし、約15分後のCPU温度を「HWiNFO」を使ってチェックした。
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「OCCT」ではCPU温度は80度までは上昇せず、最大でも78.25度となっていた。まだまだ余裕がある |
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「CPU-Z」のストレステストでも、CPU温度は各ダイごとに見ても78度未満と低めだった |
360mmラジエーターの水冷クーラーを使っていることもあり、どちらもCPU温度は80度まで届かずしっかりと冷やされているようだった。ただし、CPU-Zでのストレステスト時の温度を見てみると、CCD7とCCD8だけが妙に低くなっているのが気になる。
そこでタスクマネージャーで各コアへの負荷率を見てみたところ、なんとも面白い状況となっていた。
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4分の1ほどは実コアにしか負荷がかからず、論理コアが遊んでいるような状態だった |
実は、Windowsは64の論理コアを1つのプロセッサーグループとして扱い、基本的に1つのプロセスでは1つのプロセッサーグループしか利用できないという制限がある。このため、64を超えるコアのCPUでは、ソフト側の作りによってすべてのコアを使いきれないといったことが起こりえる。
このことについては、Ryzen Threadripper 3990Xのレビュー記事「物理64コアCPU「Threadripper 3990X」は自作PC市場に降臨した“巨人”だった」に詳しく記載されているので、気になる人はそちらを参考にして欲しい。
ここで気になるのが、「64の論理コアまでしか使えないのであれば、128の論理コアをもつRyzen Threadripper 3990Xは意味がないのではないか」という点だ。
これは以前にもあった、「8つの論理コアを超えるCPUに対応するソフトはほとんどないので、コア数が増えても意味がない」といった論調と同じだろう。つまり、1つのソフトですべて使えなくても、CPUリソースを奪い合うことなく複数のソフトが同時に実行できる点がメリットとなる。まさに、メガタスク向きのCPUというわけだ。
とはいえ、もちろんソフト側が意識して対応していれば、CINEBENCH R20のように128論理コアすべてを使うこともできる。
とういうことで、比較的CPU負荷が高めとなる動画編集・変換、RAW現像、ゲームの3つのジャンルで、CPUの論理コアをどこまで使っているのかを体験版のソフトを中心にチェックしてみた。
CPUのコアがどう使われているのか、3つのジャンルで勝手に調査!
動画編集・変換編
CPU負荷が高くなりそうなジャンルとして選んだのが、動画編集・変換。試したのは、「Premiere Pro」(体験版)、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」(体験版)、「HandBrake」の3つのソフトだ。
動画変換に使うコーデックの違いにより挙動が変わっていたので、いくつか試したものを紹介しておこう。
●「Premiere Pro」64論理コア
Adobeの動画編集ソフト。レンダラーには「ソフトウェア処理」を選び、CPU負荷を高めるよう設定。形式は「H.264」と「Mpeg2」の2つを試した。
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H.264では64の論理コア使われていたが、CPU負荷率に大きな特徴が。SMT(Simultaneous Multi Threading、インテルでいうハイパースレッディング)が効率よく動かないのか、物理コアに負荷が偏っているように見える |
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Mpeg2の場合はH.264とは違って64の論理コア全体に高負荷がかかっている状態だった。コーデックで挙動が大きく変わるのが面白い |
●「TMPGEnc Video Mastering Works 7」64論理コア
ペガシスの動画変換・編集ソフト。設定で「CPU/GPU設定」を見てみると、すでにここで「論理CPU数:64」となっており、128の論理コアすべてを使うのは無理だと判明。とはいえ、どういった挙動となるのかは確かめたかったため、「H.264」と「H.265」の2つで試してみた。
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Premiere Proとは違い、H.264でも64の論理コアをほぼフル活用。半分は論理コアが遊んでしまっているとはいえ、プロセッサーグループ内での利用率は高い |
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H.265の場合はH.264と違い、2つのプロセッサーグループにまたがって利用しているように見えるのが興味深い。とはいえどの論理コアも使用率は低めで、分散処理そのものはあまり効率がいいものではないようだ。全体の使用率から見ても40%前後と高くなかった |
●「HandBrake」64論理コア
オープンソースで開発されている動画変換ソフト。ちょっと調べた限りではいくつの論理コアに対応しているのかは不明だった。H.264とH.265の2つで試した。
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H.264では64の論理コアを使うものの、Premiereと同じように使用率はあまり高くない。SMTが効率よく機能していないのだろうか。とはいえ、トータルの使用率からすれば45%と悪くない |
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H.265での挙動はTMPGEnc Video Mastering Works 7に近く、全体を使うものの負荷が高いコアは半分だけ、というもの。トータルの使用率も低めとなっていた |
CPUのコアがどう使われているのか、3つのジャンルで勝手に調査!
RAW現像編
CPU負荷が高いだろうクリエイティブ系のものとして、RAWからの写真現像を試してみよう。メモリーとコア数とが性能に大きく影響することが多いだけに、どのくらいの論理コアを使用するのか気になるところだ。
試したのは、「Lightroom Classic」(体験版)、「PhotoScape X」、「RawTherapee」の3つ。45枚ほどのRAWデータを用意し、連続で現像したときのCPU負荷を見てみた。
●「Lightroom Classic」64論理コア
Adobeの定番現像ソフト。設定を見る限り、論理コア数の使用に関する項目は見当たらなかったため、デフォルトの状態でテストした。
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とくに設定などはなくても、ひとつのプロセッサーグループをフルに利用しているようで、64の論理コアが100%となっていた。なお、もうひとつのプロセッサーグループの負荷もあるが、これは裏で巨大データファイルのダウンロードを行なっていたためだ。裏での別作業に影響がないのかをチェックしていた時のデータしか残していなかったため、そのまま掲載している |
●「PhotoScape X」22論理コア?
手軽に使えるRAW現像・写真編集ソフト。フリーバージョンとProバージョンの2つがあるが、今回はフリーバージョンでテストした。設定などではとくに論理コア数に関係あるものが見つからなかったため、デフォルトで使用。一括編集機能を使い、現像している。
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先のプロセッサーグループでは40%を超える負荷の高い論理コアが16ほど。10%以上に広げると21の論理コアが使用されていた。64論理コアすべては使わないようだ。これとは別に、もうひとつのプロセッサーグループでも1つの論理コアだけ負荷が高い状態となっていた。なお、左端に別のウィンドウが映り込んでしまっているが、ただのミスなので意味はない |
●「RawTherapee」64論理コア
オープンソースで開発され、フリーで使えるRAW現像ソフトの中で人気が高い。設定には使用する論理コア数に関するものが見当たらなかったため、デフォルトの状態でテスト。編集は特に行なわず、キューに追加して一括で現像した。
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ひとつのプロセッサーグループ、64論理コアを平均的に使っているが、使用率は80%台となるものが大半。マルチスレッド化はしっかりとできているようだが、Lightroomほど負荷は高くない |
CPUのコアがどう使われているのか、3つのジャンルで勝手に調査!
ゲーム編
ゲームはCPU負荷があまり高くない用途のジャンルで、マルチスレッドへの対応も遅れがち。とはいえ、マルチコアCPUが台頭してきてからは、かなりCPUを使うものが増えてきているのも事実だ。そこで、比較的負荷が高めだと思われる「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」、「FINAL FANTASY XV」、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」の3つでどのくらいの論理コアが使用されるかをチェックした。
●「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」8論理コア
参加する100プレーヤー中、最後の1人まで生き残るのが目的のバトルロイヤルゲーム。動作が比較的重たく、PCへの負荷が高いこともあり、少しでも高速なPCでプレーしたいという人も多いだろう。1台のPCでゲーム配信を行なうなら、さらに多くの論理コアが必要となる。
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画面が止まると負荷が下がることもあったため、若干低めの数値になっているが、20%を超えているのは8つの論理コア。ゲームに影響がない範囲でゲーム配信を行ないたいなら、8論理コア以上は必須、16論理コア以上のCPUを使いたいところだ |
●「FINAL FANTASY XV」22論理コア?
オープンワールドのアクションRPG。今回はベンチマークソフトではなく、実際のゲームでの論理コア使用数をチェックした。こちらのタイトルもかなり重たく、比較的CPUへの負荷が高めだ。
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使用率が20%を超える論理コアは12、10%を超えるものでいえば22ほどあったため、22論理コアを使っていると判断した。とはいえ使用率が特定の論理コアに偏っておらず、幅広く分散されているため、実際使われているのは16論理コア程度ではないだろうか。ゲームとしては、かなり論理コア数を使うタイトルといえる |
●「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」32論理コア
古代遺跡を舞台に冒険する、アクションアドベンチャー。マルチスレッドへの最適化が進んでいるタイトルのひとつで、CPU負荷も高めとなる。今回はベンチマーク機能を使い、計測中の論理コア使用数をチェックした。
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ゲームとしてはもちろん、一般的なソフトとしても多めとなる論理コアが使用されており、10%を超えるのが32論理コア。この32論理コア中最低となるのが18%で、その次が8%と大きく下がることから、最大32論理コアを使うと判断した。この結果を見ると、快適にプレイするには16論理コアくらいは欲しくなってくる |
●おまけ「某ブラウザーゲーム」?論理コア
逆にCPU負荷が重くないゲームならどうなるのかということで、ライトなブラウザーゲームでも試してみた。具体的なタイトル名は伏せるが、2013年にサービスが開始された息の長いゲームだ。
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タスクマネージャーでCPU使用率を見ていたのだが、常時こんな感じで負荷らしい負荷が見当たらず、検証は不可能に。CPUへの影響は誤差レベルしかないため、裏で仕事の重たい処理をしつつ、ブラウザーゲームで時間を潰すのは、性能面では問題ない |
Ryzen Threadripper 3990Xをフル活用するなら
メガタスク用途が最適
1つのソフトでどのくらいの論理コアが使われているのかをチェックしてきたが、多くのソフトはプロセッサーグループの上限となる64論理コアまでということがわかった。それだけに、Ryzen Threadripper 3990Xが真価を発揮するのは、複数のソフトを同時に使うメガタスク用途だといえる。
裏を返せば、通常ならCPU使用率を占拠してしまうような重たい処理も、Ryzen Threadripper 3990Xなら性能を落とさず別の作業を同時に行なえるということ。複数のPCを使っていた作業を1台に集約できるというのは、それだけでメリットがあるだろう。
このモンスタークラスの性能を持つCPUをしっかりと冷やし、安定して動かせるのが「G-Master Hydro TRX40 Extreme」の強み。最強PCを手に入れたいと考えているなら、チェックして欲しい1台だ。
(提供:サイコム)
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February 27, 2020 at 05:00PM
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