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Saturday, May 11, 2024

独立2カ月で血液がんに「闘病してわかったこと」 当事者の視点で発信続ける 病と生きる フリーアナウンサー・笠井 ... - 産経ニュース

笠井信輔さん(松井英幸撮影)

フリーアナウンサーの笠井信輔さん(61)は、フジテレビ退職直後の令和元年、血液がんの一種「悪性リンパ腫」と診断されました。闘病しながらSNS(交流サイト)で発信を続け、完全寛解となったあとも講演や啓発活動などを行い、がん患者の暮らしやすい社会を目指しています。病と伴走してわかったことや、見えたことを、闘病を振り返りながら語りました。

小倉智昭さんに検査勧められ

体調に異変を感じたのは、退職前の令和元年7月ごろ。2時間たたずにトイレに行きたくなったり、いきまないと排尿できなかったりすることが増えました。

当時番組で一緒に働いていたキャスターの小倉智昭さんに相談すると、「すぐ調べたほうがいい」。小倉さんは、がんの経験者です。

2つの病院で検査した結果、最初の診断名は「前立腺肥大」でした。「薬は効果が出るまでに2カ月くらいかかります」と言われ、治療を受けましたが、症状が改善しません。

やがて腰痛が起きました。当時、荷物をフジテレビから自宅へ送る作業をしていたので、腰痛はそのせいだと思い込み、すぐ医師に言わなかったんです。マッサージや鍼(はり)に通っていったん治まっても、3日くらいでまた痛くなる。鍼灸師から「これは内臓が原因じゃないか」と言われました。

前立腺で受診した泌尿器科の主治医に腰痛の話をしたら、「ちょっと待ってください」と言われ、もう1回精密検査に。結果、X線画像で「変な影が映っているから、がんかもしれない」という所見が出たんです。

泌尿器科では扱えなくなり、系列の病院へ行ったのが、フジテレビ退職翌日でした。フリーになって最初のスケジュールが、がんの精密検査。夢も希望もありませんでした。

この時にはもう、排尿障害や腰痛がどんどん悪化し、全身が痛いという状態。転院先の医師に「重病であることは間違いない」と入院を勧められました。でも、局アナを辞めたばかり。がんになったらお金もかかる。「稼がなくちゃいけない」と入院を拒否し、しばらく仕事を続けました。

どこかで「がんではない」との望みを持っていましたが、「悪性リンパ腫」の診断名を告知されました。フリーになって2カ月目。「なんでこんな大事なときに」って絶望が強かったですね。

《症状を自覚してから診断まで4カ月かかった》

患者会に参加してわかったのですが、悪性リンパ腫の患者は診断名がつくまでに、本当に苦労しています。「2つ病院に行った」「3カ月かかった」なんてよく聞きます。

学会やシンポジウムで血液がんの専門医に聞きましたが、「最初からうちの科に来る人はまずいないよ」と言われます。わかりづらい、非常にやっかいながんなんです。

鎮痛剤服用して仕事継続

病期はステージ4。予後の悪い遺伝子に変異があるタイプで、脳に転移しやすい。非常に厳しいタイプのがんでした。主治医から「通常の治療法では治りません」と言われて、「あ、これ死ぬな」と思いました。

《またまた「即入院」を勧められたが断り、告知から2週間後、トーク番組『徹子の部屋』の収録を済ませ、その後入院が決まった》

入院まで、痛みと戦いながら仕事をしました。フリーアナウンサーには「辞めアナ特需」があり、退職直後が一番忙しいんです。このまま入院したら「がんですぐ消えた」と思われてしまう。「『徹子の部屋』に出るくらいの人だった」と爪痕を残したかったので、入院を2週間、先延ばしにしてもらいました。先生はしぶしぶ了解。バラエティー番組で全身の痛みをこらえながらお笑いをやるのは結構大変でしたが、「俺、生きてるな」って感じはありました。

鎮痛剤をのべつまくなしに飲んでいました。仕事の佳境で効くようにタイミングを調整して服用していましたが、講演会の最後の15分くらいになって、痛みでしゃべりがうまくいかなくなった時に、「間をとりながらの講演が感動的でした」なんて言われたこともありました。

そして、フジテレビ退職から約2カ月半後の12月19日、古巣の番組「とくダネ!」(フジテレビ系)で病気を告白しました。(油原聡子)

②西城秀樹さんから学んだこと

かさい・しんすけ

昭和38年生まれ、東京都出身。62年フジテレビ入社。アナウンサーとして、「とくダネ!」など多くの情報番組を担当。令和元年、フリー転身直後に悪性リンパ腫の診断を受ける。著著に『がんがつなぐ足し算の縁』(中日新聞社)など。

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