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Saturday, February 3, 2024

93歳のアスリート、体力は40代に匹敵…彼の日課を分析してわかった長寿の秘訣6つ - Business Insider Japan

ローイング運動をするには心肺の持久力と筋力が必要だ。

ローイング運動をするには心肺の持久力と筋力が必要だ。

Wavebreakmedia/Getty Images

  • リチャード・モーガンさんは93歳だが、心臓の健康状態と体力は数十歳若い人と変わらない。
  • 彼は日課として筋力トレーニングと低強度の有酸素運動を行っている。
  • また、体脂肪を低く保ちながら筋肉量を維持するのに役立つとされる高タンパク食を摂っている。

90代の男性が数十歳若い人と同じように健康でいられるのは、運動と良質な栄養摂取というシンプルだが強力な日課を続けているからだという。そのことが2023年12月にJournal of Applied Physiologyに掲載されたケーススタディで示された。

アイルランドに住む93歳の男性、リチャード・モーガン(Richard Morgan)さんは、パン職人や化学オペレーターの仕事を引退し、現在は主に自宅裏庭の小屋で1日40分ほど運動しているとワシントン・ポストが報じている。

ケーススタディの調査対象となったとき彼は92歳で、その頃「インドアローイング(有酸素運動と筋力トレーニングを同時に行うスポーツ)」で4度目の世界チャンピオンになった。研究チームが彼の心臓の健康状態、筋肉量、総合的な体力を測定したところ、90代の人というよりも、健康な30代や40代に匹敵することが分かった。

モーガンさんが健康なのは、遺伝的に優位な点があるのかもしれないが、20年前の73歳のころから始めた日課も関連しているはずだと研究チームは考えている。

定期的な筋力トレーニング、低強度の有酸素運動を行い、良質な栄養を摂るといった彼の日課はすべて、寿命を延ばし、ずっと健康でいるための方法として科学的に裏付けられている。

以下で、90歳を超えても健康でいられる6つの要因について紹介する。

1.有酸素運動は低強度で行う

研究者はモーガンさんが行っているローイングマシンでの毎週約30kmに相当するローイング運動を分析した。

その結果、彼が行う運動の約70%は低強度のものであることが分かった。これは、寿命を延ばし、持久力や総合的なパフォーマンスを向上させるための有酸素運動として医師や運動科学者が推奨していることとほぼ一致している。

低強度の有酸素運動とは、運動中でも息切れすることなく、会話がらくにできるペースと定義されることが多い。心拍数で言えば「ゾーン2」という最大心拍数の60~70%の運動に当てはまる。

ゾーン2の有酸素運動が活動や健康に理想的なのは、まるで大きなタンクを身に付けたように、細胞が高度なアウトプットをすることに適応するのを助けてくれるからだと、スポーツ医のモーガン・ブスコ(Morgan Busko)博士が以前Business Insiderに語っていた。

2.短時間の激しい運動も重要

モーガンさんが行う有酸素運動の残りの部分は、約20%が中強度、約10%が全力疾走のような高強度だった。

運動中に酸素を効果的に消費する能力は、心肺機能の健康状態を示す重要な指標であり、モーガンさんの場合、その能力が際立っていた。

このような能力を培うには、長時間維持できないようなペースで短時間の激しい運動を行うことが理想的であるため、高強度の運動も重要だと研究チームは考えている。

3.「失敗する寸前」まで負荷をかける

モーガンさんは、ローイング運動に加え、ダンベルを使ったランジ、ロー、カールを3セット行う筋力トレーニングを週に2回行っている。

これに関しても、彼の運動方法が正しいことを裏付ける証拠が豊富にある。

最近の研究により、筋力トレーニングが慢性疾患や早期の死亡を防ぐのに役立つことが分かっている。筋力トレーニングの効果を得るためには、何時間もジムに通う必要はなく、週に30分から60分程度の取り組みで十分だという研究結果もある。

モーガンさんの筋力トレーニングでもう一つの重要なのは、各セットのエクササイズを「失敗する寸前」まで行っていたことだという。このことは、時間をかけて筋肉に負荷をかけ、筋肉をより大きく、強く成長させる鍵となる。「寸前」というのがキーワードであり、本当に失敗してしまうまでダンベルを持ち上げたり、すべての負荷を最大にしたりすると、ケガのリスクが高まり、全般的な健康増進にはほとんどプラスにならないと、理学療法士が以前Business Insiderに語っていた。

4.十分なタンパク質の摂取

モーガンさんは定期的な運動に加え、高タンパク質の食事を心掛けており、体重1ポンド(約450グラム)あたり約1グラムのタンパク質を毎日摂取している。

十分なタンパク質を摂取していることで、体重75キロの彼の筋肉量は47キロという驚くべきレベルであり、体脂肪も15%という健康な若い男性並みのレベルを維持できていると考えられる。

タンパク質は、筋肉を作り、維持し、食欲をコントロールするための重要な栄養素であり、現在のガイドラインでは、体重1ポンドあたり約0.7グラムが理想的な摂取量だとされている。しかし、加齢とともに筋肉量を維持することは難しくなり、タンパク質を多く摂ることが健康的なエイジングに役立つことが立証されている。

5.運動を始めるのに遅すぎることはない

人生の後半になってから運動を始めても、効果はあるようだ。

人生の後半になってから運動を始めても、効果はあるようだ。

Jamie Grill/Getty Images

モーガンさんを対象に行われたケーススタディで特筆すべきなのは、彼が並外れた体力を持っていることのほかに、比較的人生の後半に運動を始めたことだった。ローイング運動を趣味として始めたのは73歳のときだったのだ。70歳になるまで、モーガンさんは一切運動してこなかったという。

80代、90代になってからトレーニングを始めても、筋肉を増やして筋力をつけることができ、健康や生活の質も大きく改善されることもエビデンスで示されている。

6.長く続けることが成功の鍵

モーガンが健康と体力の増進に成功した理由のひとつは、これらの日課を継続的にこなしていたことだろうと研究チームは指摘している。

ダイエットや運動によって筋肉をつけたり、脂肪を燃やしたり、健康増進を図ったりするのには時間がかかる。そのため、一般的に専門家が急激なダイエットや流行りのワークアウトを勧めることはない。どんなに最適なダイエットやワークアウトの日課であっても、続かなければ意味がない。長生きするための一番いい方法は、長期に渡って続けられるよい日課を実践することだ。

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