2023年1月9日の記事を編集して再掲載しています。
米アイダホ州にある有名な遺跡で発掘された有茎尖頭器が、これまでに同遺跡で見つかった石器類より数千年も古く、1万5785年前のものであると判明しました。
今回の発見によって、アメリカ大陸最古の石器があったとされる時期はもっと昔にさかのぼり、氷河時代のアジアと北米との人々の間で技術(とひょっとすると遺伝的類縁性)がどのように共有されていたという点の解明に役立つかもしれません。同研究の成果は科学ジャーナルScience Advancesに発表されています。
当時どんな人々が住んでいたのかがわかる
同研究の筆頭著者でオレゴン州立大学の考古学者Loren Davis氏は、「科学的な観点から、こういった発見はアメリカ大陸の最古の人々が残した考古資料をさらに詳細なものにします」と、同大学のリリースにコメント。「単に『1万6000年前、ここアメリカ大陸に人類は存在していたと思う』と言うのは簡単ですが、それを彼らが残した遺物から観測していくことができるとなれば話は変わっててきますから。」
アイダホ州にあるクーパーズ・フェリー遺跡は昔からネズ・パース(ネ・ペルセ)族の土地で、アメリカ先住民の間ではニペヘという名で知られています。この遺跡は20世紀中頃に初めて発掘されて以降、石細工や動物の骨などが数多く見つかっています。
今回の尖頭器は2012年から2017年までの数年の間に発見されていますが、今になってようやくそれら遺物の年代が測定されて、チームの成果が発表されるに至ったのでした。
北海道の当時の人々とも繋がりが?
この遺跡に人類が居住していたと示唆する剥片石器や骨の一部(Davis氏が別のチームとともに以前発掘したもの)はおよそ同時期のものですが、完全な形の尖頭器はそれらから描写できる状況に更なるディテールを加え、初期のアメリカ人が熟練した狩猟民だったと認識させるものです。
Davis氏いわく「投げ矢につけられる小さな尖頭器は深く貫入し、とてつもない内部損傷を引き起こす」そうで、「私たちが知るどんな動物もこういった武器で傷つけることが可能」なんだとか。
この尖頭器が1万6000年~2万年前の日本の北海道から出土したものと類似しているとも、同氏は指摘。どう繋がっていたのかは不明ではあるものの、北東アジアと北アメリカの古代の人々との間に文化交流があった可能性を示唆しています。
クーパーズ・フェリー遺跡からは、これまでのところ6万5000点の品々が発掘され、地図にまとめられています。発掘が進むとともに、初期の人類の活動について少しずつ明らかになっていくでしょう。
Source: Science Advances, Oregon State University,
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