なぜ原爆に遭った人が白血病になるのか――。
2歳の時に長崎で被爆した朝長万左男さん(80)は、その原因を解明しようと、父の朝長正允(まさのぶ)さんと同じ医師・研究者の道を歩み始めた。1990年には、父が初代教授を務めた長崎大原爆後障害研究施設の血液内科学3代目教授に就いた。
原爆の後遺障害に苦しむ患者と向き合う日々を重ねるうち、特に夏場に体の不調を訴える患者が多いことに気がついた。8月9日の原爆忌が近づくと顕著に現れ、「眠れない」「ご飯が食べられない」と衰弱していく。「原爆の精神的影響を調査しないといけない」と確信した。
95年ごろ、長崎大の精神科医らと被爆者約7千人を調査した。その結果、被爆から半世紀以上経ってもなお、原爆が被爆者の心に影響を及ぼしていることや、爆心地から2キロ以内の近距離被爆者に精神的症状が著しくみられることがわかった。「原爆による精神的な影響がかなり深いことを研究者としてはっきり自覚した」
被爆者は生涯、身体的にも精神的にも放射線の被害に苦しみ続ける。そのことを実感した時がある。
被爆60年が過ぎた2006年、朝長さんが主治医を務めた患者の1人で、被爆の語り部をしていた吉田孝子さん(08年死去)を診ていたときのことだ。
「白血病です」。診断名を告げると吉田さんがつぶやいた。
「やっぱり原爆が自分の体に…
からの記事と詳細 ( 「原爆が自分の体に巣くっていた」 被爆者は医師よりもわかってい ... - 朝日新聞デジタル )
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