電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、東京通信から発売中のNintendo Switch用ソフト『意味がわかると怖いミステリー』のレビューをお届けします。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
テンポよくミステリーが楽しめる!? クイズで紐解くストーリー!
突然ですが、みなさんは“意味がわかると怖いミステリー”と聞いて、どのようなお話を思い浮かべるでしょうか?
例えばこのゲームの中には、目出し帽を被ったいかにもアヤシイ人物が、実はただの目撃者で、家を襲って殺人事件を起こした犯人は別にいた……。というお話があります。
このように、一見すると普通の、何の変哲もないできごとでも、よくよく考えてみるとゾッとするような真実が隠されていた……。というのが、“意味がわかると怖い”話の面白いところ。
本作では、そういった物語の醍醐味である「えっ、この人が犯人じゃなかったの!?」「そんな真相だったの!?」といった驚きを何度も味わうことができます。
また、タイトルの通り本作にはホラー要素がありますが、いきなり驚かせるようなびっくり系の演出はないのでご安心を。そのぶん、背筋がゾクッとするような怖さを存分に味わえる作品になっています。
ゲームをはじめると、まず大きなイラストが画面の右側に表示されます。ストーリーに関するクイズが出されるので、答えをイラストの中から探していきましょう。
例えばこの問題では、イラストの手前に座っている男性が写真を持っていますね。男が探しているものは一体なんだろうか? という問いに対しては、この写真にうつった子供を探しているのではないかと考えられます。
というわけで、この写真の部分にカーソルを当てて選択してみましょう。すると、正解という表示が出て解説が読めるようになりました。写真にうつっているのは男性の息子だったようです。
さらに読み進めていくと、このステージの最後の問題まで来ました。1年以上家の外に出ていないという老婆の差し出した、肉入りのスープを見て男性は息子の行方を悟ったとのこと。
さて、息子はどこへ行ってしまったのか? 察しの良い方ならもうお分かりかもしれませんが、答えはスープの中にあります。この問題の解説を見てみましょう。
息子は老婆に襲われ、料理の材料にされてしまった。そのことに気づいた男性は、警察に通報をした。という事の顛末が明かされます。
このゲーム をホラーとして味わおうとすると、少し物足りなく感じるかもしれません。ホラーの中には時間をかけてジワジワと人を怖がらせるようなものがありますが、それとは違い、むしろこのゲームはアッサリした印象さえあります。
ホラーとしての山場を考えるなら、やはり男性が老婆からどのようにして逃げたのか? という部分が重要なものになってくるはずです。襲いかかってくる老婆から逃げる男性、という緊迫した場面は、ホラーに欠かせない要素と言えるでしょう。
ところがこのゲームでは、解説であっさりと結末が語られてしまいます。“警察に通報をした”という男性の対応も、当然と言えば当然なのですが、ホラーとして考えるとあまりにも普通すぎるのです。
ホラーではなくミステリーとして考えると、このゲームは美味しい部分を次々と提供してくれるゲームだと言えます。謎解きから真相発覚という、ミステリーでも特に盛り上がるところをどんどんプレイしていけるからです。
“意味がわかると怖いミステリー”の醍醐味は、「〇〇だと思っていたものが、実は××だった」という“意表を突かれること”だと考えれば、このゲームはその醍醐味の部分をテンポよく味わえるものだと言えるでしょう。
小説のように長い文章を読む必要もないので、手軽に面白い部分だけをつまみ食いができるとでも言いましょうか。クイズもさほど難しくはなく、ミステリーとして楽しむならば、気軽にできる良いゲームと言えます 。
合言葉は“発想の転換”!? 常識は捨て去ろう!
このゲームをプレイしていて一番気持ちのいい瞬間は、自分の中にひらめきが生まれたその一瞬だと言えます。“意味がわかると”の文字通り、“意味がわかった瞬間”が最も楽しいのです。
その楽しさを味わうためには、登場人物たちの言葉を額面通りに受け取ってはいけません。常に裏を読むことが重要です。
筆者が特に「やられた!」と感じた話をご紹介します。
社長室から出てきたと思われる女性と、「クビにして正解だったわ!」というセリフが印象的なイラストです。このセリフをそのまま受け取るならば、誰かがクビになった(解雇された)のだろうという予想ができますね。
しかし、社長室の窓の部分をよく見ると、なにやら人の生首のようなシルエットが……。どうやらクビ(解雇)ではなく、本当に首になってしまった社員がいたようです。
筆者はこの首のシルエットに気づいた瞬間、思わず「おおっ!」と声が出てしまいました。ゾッとしたのももちろんですが、気づいていなかったものに気づけた喜びが大きかったのです。
こうした「あっ!」と思える瞬間が楽しいこのゲームを、みなさんもぜひプレイしてみてください。
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