■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
フルモデルチェンジした三菱「アウトランダーPHEV」は、何もかも大きく変わった。大型化されたボディーは、3列7人乗り仕様を選べるようになったし、駆動用バッテリーの容量は1.5倍ほどに増大された。
それによって、エンジンをかけず、満充電したバッテリーからの電気だけで走れる連続航続距離が83kmにも伸びた。この83kmの意味は、とても大きいと思う。
自宅や職場などで充電できるならば、買い物や送迎などの日常的な使い途のほとんどでは、エンジンを回すことなく電気の走行だけで済んでしまうことができるからだ。エンジンを掛けなくても、静かに出発し、静かに帰宅することができる。ガソリン消費量が減るということは節約になるだけでなく、スタンドに行く回数を減らすこともできる。そうしたメリットは、ほとんどEVと変わらない。
機械として優れているか?★★★★★ 5.0(★5つが満点)
一般道を走っても、静かでスムーズな走行が上質感を生み出していて、先代より明確に進化している。2.4ℓ4気筒エンジンとモーターを切り替えたり、あるいは駆動に使ったり、モニター画面を見ると複雑な働きをしているが、見なければほぼわからない。それだけスムーズで、癖のようなものが感じられないからだ。
今回のフルモデルチェンジで新たに加えられた「イノベーティブペダルオペレーションモード」という機能の働きぶりも、EVのようだ。いわゆる“ワンペダルドライブ”で、回生ブレーキを強めにして、フットブレーキをあまり踏まずに走ることができる。この機能はオフロードを走る際にも選ぶことができる。
新型「アウトランダーPHEV」には、「ノーマル」「ターマック」「グラベル」「マッド」「スノー」と5つの走行モードを選ぶことができるが、「グラベル」、「マッド」、「スノー」などを選択しても、そのモードなりに回生モードを強めにして走ることができる。その効果は、オフロードコースを短時間走って確かめることができた。
商品として魅力的か?★★★★ 4.0(★5つが満点)
インテリアも一新され、ドライバーインターフェイスも最新のものとなり、多くの機能が的確にまとめられている。高級感もあり、今日的な印象も受ける。
走行モードの違いをわかりやすくするために、モニター画面にイラストとして表示したりしているのは、その一例だろう。ただ、整理し切れていないところもある。5つの走行モードはセンターコンソール上のロータリースイッチなのだが、「NORMAL」の反対側に「ECO」と「POWER」が、並んでいて、混乱させられた。
走行モードと出力特性という、違った基準のふたつの選択肢群をひとつのロータリースイッチに並べているからわかりにくい。さらに、EVモードも「NORMAL」「EV」「SAVE」「CHARGE」と4つから選べて、それらが走行モードや出力特性などとどのように関連するのか、しないのか?
「使い方や状況に合ったモードを選ぶことを楽しんでいただきたい」
開発者氏は、そう説明していた。とてもたくさんの選択肢が用意されているけれども、ユーザーは全員が熱心なマニアではないのだから、「AUTO」モードが設けられても良かったのではないだろうか。
現代はSUV全盛の時代で、電動車も次々と増えてきているが、アウトランダーPHEVには一日の長があって、新型は長所を伸ばしてきた。直接的なライバルは不在ではないか。
2021年10月28日の受注開始から3か月間で1万台を超える受注があり、販売も好調だと聞いた。人気の理由もわかる。4輪駆動と電動技術という三菱自動車の得意技が最新レベルで融合され、仕上がりも狙い通りだからだ。今後の改良や熟成が進んでいけば、現代の「パジェロ」と呼ばれるのかもしれない。それだけ期待も大きいのだ。
■関連情報
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/outlander_phev/
文/金子浩久(モータージャーナリスト)
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