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Tuesday, March 15, 2022

医療カルテでわかった飯塚幸三受刑者のパーキンソン症候群の症状 - NEWSポストセブン

遺族の松永拓也さん(左)、パーキンソン症候群について説明する代理人弁護士の高橋正人さん、一般社団法人関東交通犯罪遺族の会の代表理事・小沢樹里さん(右)。

遺族の松永拓也さん(左)、パーキンソン症候群について説明する代理人弁護士の高橋正人さん、一般社団法人関東交通犯罪遺族の会の代表理事・小沢樹里さん(右)。

 池袋暴走死傷事故で禁錮5年が確定し収監された飯塚幸三受刑者(90)と損保会社を相手どり、民事裁判を継続中の遺族・松永拓也さんらが会見を行い、新たな事実が明かされた(3月15日)。

 2019年4月、東京・池袋で旧通産省工業技術院元院長の飯塚受刑者が運転する乗用車が暴走し、松永さんの妻・真菜さん(当時31才)と長女・莉子ちゃん(当時3才)が亡くなり、9人が負傷した事故。

 飯塚受刑者は自動車運転死傷行為処罰法違反で2021年9月、実刑判決を言い渡されたが、裁判中の被告人質問では「車の運転に全く問題がなく、正常に運転できていた」と供述。パーキンソン症候群と事故の因果関係は、刑事裁判では争点になっていなかった。

 しかし、今回の民事裁判では、原告側の求めで、飯塚受刑者の医療カルテが提出され、事故前から認められていた症状が詳細になった。

 飯塚受刑者は、2019年3月にはパーキンソン病の疑いが指摘され、自動車の運転については必要最小限にし、体調が悪いときは控えるようにと医師から注意されていたのだ。

 遺族側の代理人弁護士の高橋正人さんによると、今回、飯塚受刑者側は、医療カルテにもとづき、以下の症状・診断があったことを認めた。

1)2016年ころから下肢筋力が低下していた。

2)2017年10月、転倒。同年11月、歩行時のふらつきにより、エレベーターのドアの前で転倒。

3)2018年、数回階段を踏み外し、3回転倒。転倒を繰り返したため神経内科を受診した。

4)遅くとも2018年12月には、パーキンソン病の疑いないしパーキンソン症候群の可能性もあるとの診断を受け、具体的な症状として、静止時振戦(じっとしているときに手足が震え、動き出すと止まる症状)はないが、やや表情は乏しく、両膝固縮(筋肉が固くなる)の疑いがあった。

5)2019年1月にも、パーキンソン病の疑いが指摘され、静止時振戦はないが、やや表情は乏しく、右膝に鉛管様固縮(鉛の管のように筋肉が固くなる)ありとの診断を受けていた。さらに、歩行障害が進行しているとの指摘もある。

6)2019年2月にも、パーキンソン病の疑いが指摘され、静止時振戦はなく、また、方向転換は可能であるが、他方で、やや表情が乏しく、右膝に鉛管様固縮ありとの診断を受けていた。

7)2019年3月にも、前月と同様の診断を受けていた。さらに、自動車の運転については必要最小限にし、体調が悪いときは控えるようにと医師から注意されていた。下旬ころには、小刻み歩行やすくみがあり、右下肢優位の鉛管様固縮ありとの診断を受けており、単独歩行は可能だが歩行障害があった。

8)2019年4月に入ると、(パーキンソン症候群のうち)大脳皮質基底核変質症の疑いとの診断を受け、単独歩行は可能であるが、右下肢優位の筋強剛、歩行障害が認められていた。また、パーキンソン病の治療薬であるレボドパを投与しても歩行の改善がないとの診断を受けていた。

「このように運転を差し控えなければならないような症状が出ていたにもかかわらず、飯塚氏は運転を続けていました。

 特に、オートマチック車のように右脚だけでアクセルペダルとブレーキペダルを踏み換える車両の場合、右脚がこわばる筋強剛は致命的に危険です。

 さらに、大脳皮質基底核変質症の症状は、認知機能障害が最も頻度が高い。このような疾患に罹患していることを知りながら、運転を続け、重大な事故を引き起こした自動車運転上の注意義務違反の程度及び性質は、重大かつ悪質というべきです」(高橋さん)

 民事裁判で病気について争点とすることについて、遺族の松永さんはこう語る。

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