同僚選手への暴行で出場停止処分を受けていた日本ハム・中田翔内野手(32)が8月20日、巨人に無償トレード。急転直下の移籍劇に球界は激震し、同時に疑問の声も上がっている。 【画像】甲子園出場時の中田 一つは「処分期間の短さ」だ。16日の時点で日本ハムの栗山英樹監督(60)は、「(復帰までに)すごく時間はかかる。今すぐにプレーして、という感じではない。それくらい重く受け止めている」とコメント。だがその日の夜、栗山監督は私淑する巨人・原辰徳監督(63)に電話し、中田を引き受けるように懇願している。 処分は日本ハムが科しているため、他球団の選手となった中田を縛ることはできない。結局、謹慎期間は9日間で終了した。
オフに移籍させるのが筋
トレード発表後、報道陣から「処分期間が短いのでは」と質問を受けた栗山監督は、「長いとか短いとかそういうことではない。それは彼の行動で判断される。じゃあ、どのぐらい長かったらいいのか。今シーズンが終わるまで野球をやらなかったら、本当に野球人として終わってしまう可能性もある」と強弁した。 日ハムOBはこう憤る。 「これでは通常の出場選手登録抹消と変わらない。日ハムは中田自身がしでかしたことの重大さと向き合い、反省する時間を奪ったのではないか。今季終了までは謹慎させて、オフに移籍させるのが筋だろう」
なぜ札幌で謝罪会見をしなかったのか?
さらにもう一つ、日ハムと巨人の双方の関係者が疑問視するのが、契約が終わった後、巨人側が謝罪会見と移籍会見を同時に開いたことだ。中田は14年間、自分を育ててくれたチームメイトやファンに対して謝罪も別れも告げられないまま、北海道を後にした。 この理由について、栗山監督は「一番目立つところでちゃんと謝った。北海道の人だけじゃない。日本全国に対して。これだけ野球界や社会に影響を与えた彼は、日本全国に謝る必要がある」と語っている。 日ハム番記者が明かす。 「札幌で謝罪するとなれば、中田を甘やかし、やりたい放題するのを黙認していた栗山監督や、編成トップの吉村浩GMの管理責任が追及される恐れがあった。巨人は日ハム側から『札幌では会見をさせないので』と丸投げされたのです」 今季打率1割台と絶不調で腰の故障も抱える中田だが、推定年俸は日ハムでトップの3億4000万円だった。 「シーズンの最後まで居られたら、年俸を全額負担しなければならなかった。日ハムにとっては扱いづらい“お荷物”を追放し、コストカットも成功した形に。しかし無責任だし、チームの顔だった中田に対して冷たい仕打ちですよ」(同前) 巨人での“再生”が古巣へのリベンジになるだろう。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年9月2日号
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