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Thursday, March 7, 2024

世界的調査でわかった、女性の運動を妨げるものと、その解決策とは? - Women’s Health Japan

アシックスが2023年に世界40カ国で24,772人 を対象に行った、 男女間の運動格差に関する調査の結果が発表された。そこから見えてきたのは年齢や国籍に関係なく広がっている、女性の運動を妨げる数々の障壁の存在。ここでは、この調査で明らかになった女性の運動参加における課題や、今後社会が取り組んでいくべきことについて紹介していく。

定期的な運動がもたらすメリット

アシックス move her mind 運動がもたらす効果

このグラフは、定期的に運動している女性が感じている運動のメリットを示したもの。52%は幸福感がアップしたと感じ、50%は活力が増すのを感じ、48%は自信が湧き、定期的に運動ができない時は、67%はストレスが増え、80%はイライラも高まると答えている。しかしながら、実際には回答者の51%の女性が思うように運動できずにいることもわかった。

女性の運動を妨げる最大の要因として浮かび上がってきたのは、家事や育児など、他の仕事が多すぎるという問題(76%)と、時間がないという問題(74%)。続いて、パーソナルトレーナーやジムの会費が高すぎるという金銭的な問題が続く。ラテンアメリカやアフリカ地域で顕著にみられたコメントとしては、運動をするための安全なスペースがないことも挙げられる。回答者を母親に絞ると、子どもを持つ女性の約3分の2が、母親であることが定期的な運動から遠ざかってしまった理由だと答えている。

運動=競技・スポーツだけじゃない

今回の調査で日本のフォーカスグループインタビューをリードしたのは、成城大学でスポーツとジェンダー・セクシュアリティーについて研究する野口亜弥氏。40カ国の代表が集まってのディスカッションで感じた、日本とそれ以外の国でみられたギャップが運動、スポーツの捉え方の違いだ。

training whit a baby
Isbjorn//Getty Images

「欧米では日常生活の中の身体活動を包括的に運動と呼んでいるのに対し、日本ではランニングなどの種目、着替えて行うようなスポーツを運動と捉えている人が多い印象です。いつもの掃除をストレッチしながらやってみるとか、本を読みながらインドアバイクに乗ってみようとか。実は日常のいたる所で体を使うことはできます。そう考えると、家事や育児で時間がなくても日常に運動を組みこみやすくなるのではないでしょうか」

仲間と出会い、楽しむ、人生を豊かにするスポーツ

野口先生が日本の調査結果で特に印象に残っているのが、運動の目的の幅広さだ。

「スポーツをしようと思ってきているのではなく、そこでできる仲間や友達、職場でも家庭でもない居場所を見つけることに価値を感じて運動を続けているという方も多かったです。目的としてのスポーツではなく、人生を豊かにするための手段としてのスポーツ。そんなウェルビーイングとしてのスポーツのあり方を伝えていきたいですね」

a group of people sitting around a table watching a presentation

日本で行われたフォーカスグループインタビューでも、社会人になって運動から遠ざかっていたものの、ランニングコミュニティへの参加をきっかけに運動を再開し、今では仲間と走ることがストレス解消にもつながっているという声も聞かれた。

スポーツはみんなが楽しめるもの

女性たちを運動から遠ざけている原因の一つに、自分自身がスポーティではないと感じたり、運動している姿を人に見られたら恥ずかしいという心理的な問題がある。これは、企業やメディアが発信してきたスポーツのイメージも影響しているだろう。

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「スポーツブランドの広告に登場するのが、引き締まった体のアスリートやモデルばかりだと、自分はターゲットではないと感じてしまいます。ぽっちゃりしていても、年をとっていても、楽しんで体を動かしている多様な女性像を見せていくべきだと感じます」

運動をする自信がないと感じる女性は、学生時代に罰として走らされたり、勇気を出して訪れたジムで居心地の悪い思いをしたりといった、スポーツに対するネガティブな印象があることもわかった。運動への悪いイメージが運動参加率を下げ、それによりメンタルヘルスにも悪い影響を与えてしまう。そんな悪循環を断ち切るためには、誰もが楽しく参加しやすい運動の機会を創出していくことも必要だ。

今こそ変化を起こすとき!

これらの調査結果から、女性の運動参加率を上げるために私たちが取り組むべき課題は多岐にわたることがわかった。運動をもっと身近に感じてもらい、誰もが安全で容易に参加しやすいものとし、女性だからという社会的役割の期待に挑戦する。そのためには教育そのものも変えていく必要があるし、すでに植え付けられている固定観念を変えていく必要もある。

「今こそ変化を起こしましょう。より多くの女性と女の子が、運動による身体的・精神的なメリットを体験するときです。今こそ“Move Her Mind”彼女たちの心を動かすべき時です」そう語るのは、このグローバルな調査プロジェクトをリードしたケンタッキー大学のスポーツ医学研究所のディー・ドルゴンスキー博士。

調査を実施したアシックスは、この結果を踏まえて女性の運動参加のハードルを下げるための様々なプロジェクトを2024年春から始動していく予定だ。運動を通じて女性の幸福度を上げたいと願うウィメンズヘルスも、このアクションに賛同し、メディアとしてサポートしていく。

Headshot of Kiriko Kageyama
Kiriko Kageyama

エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。

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