夫婦2人で住むつもりで越してきた小さな家に、かれこれ22年、5人で住んでいる。車は所持しておらず、グルメや旅行にも興味がなく、酒もやらない。海外旅行もしない(これは飛行機が苦手なせい)しブランド志向もない。自分で言うのもなんだが、畢竟、筆者はつましい人間だ。
けれども長年憧れ続けているひとつの贅沢がある。それは全ての洗濯洗剤を「海へ…」に切り替えること。ささやかだが、実行できていない。
愛用して15年以上、この連載でも過去2回もこの「海へ…」を取り上げたことがある。
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が、しかし毎度「家の全部のものには使えない(ランニングコストが高くてモゴモゴ……)」と言っていた。残念ながら齢50近くなった現在でもその状況なのだが(モゴモゴ)、こちらがモゴモゴ言っている間に、商品は同じようで全く違う進化を遂げていた。
前回のリニューアルから4年。前製品「海へ…step」と今回の「洗濯洗剤 海へ…Fukii」は「すすぎ0(ゼロ)」である点は同じだけれど、泥汚れ、つけ置き性能、仕上がり(風合い)、帯電防止(静電気対策)、それからキレート、除菌消臭、汎用性といった点で大きく性能が上がったのだそうだ。
“そうだ”というのは、多くの洗剤でもそうであるように、洗濯を行なって“当たり前”に綺麗になっている分には変化を感じにくいからだ。
洗濯を行なって当たり前に綺麗になる、というのはしかし、案外ハードルが高い結果だ。そうでなければ、これだけかしましく「○○臭」とか「○○菌」とか取り沙汰されていない。
しかし結果として当たり前に綺麗、当たり前に消臭、当たり前に着心地がいい、という状態を享受してしまうと、割と無思考に慣れてしまうのが家事の厄介なところだ。
さらにその“当たり前”の感受性には個人差があって、レンジが広ければ洗剤商品を選ばないし、狭ければ限られた洗剤を使用するほかなく、かつ日々待ったなしの作業だからこそ満足いかない結果であってもそのままの状況を漫然と維持してしまいやすい。
「洗濯をしているのに仕上がりが臭い」「干したのに生乾きの臭いがする」などというのは、本当は洗濯としては異常なのだ。でも異臭も含めて人は臭いに慣れてしまうし、異常にも順応してしまいやすい。そしてだんだん、いろいろわからなくなってくる。……??
さて筆者の家事全般に対しての拘りは近年“無臭”に傾いているので、とりあえず洗い上がった洗濯物を畳みながらタオルなどに顔を押し付け、完全に無臭であれば非常に満足するし、そこが“当たり前”の基準値になる。汗臭さもカビ臭さも一切なく、香料もない無臭。あるのは繊維の気配のみ。
その点、従来品でも十分だったのだが、リニューアルによってプラスアルファ効果がいくつも追加されたわけである。
例えば汎用性、原液を水で薄めることで「住まいの掃除」用途に使用できるようになったのは長年の「海へ…」ファンにとっては単純に嬉しいことである。まあこれまでも実際のところは自己判断で掃除利用してきた人も多いのではないかと推察するのだが(というか私もしてみていた)、メーカーのお墨付きは単純に安心する。
ごく微かにラベンダーやベルガモットの精油の香りがあるのも「洗剤」であるというアピールにはちょうどいいと感じる。良い種類の香りではあるが決して「飲みたくなる香り」ではないので子供の誤飲なども避けられるからだ。
新商品から「千年ボトル」というガラス製の専用容器が併売されたので、こちらも合わせて購入した。ガラスなので1,000年持つわけでもないのだけれど、なんとなくプラスチックからガラスにしたい気持ちはわかるような気がした。
さてランニングコストが高い点だけがネックというその高さだが、実際のところ、我が家で洗濯するに当たって1回あたりいくらかかるのだろうかと計算してみた。
380gの詰め替えが2,552円、洗濯機は縦型8kgだが1回の使用量を8プッシュ=8mlだとして約47回の洗濯ができる。2,552円を47で割ったら約54円。1回54円。……?? 普通の洗濯物からシルク、ウールのお洒落着まで全てに使用できてこのコスト。すすぎの水道費はカットできて、このコスト。……??
どうなんだ。どうしよう。
自称つましい筆者は、じっと手を見ている。
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