ベネディクト・ガーマン、BBCヴェリファイ(検証チーム)
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くなか、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束され、下着一枚にされたパレスチナ人が武器をイスラエル軍に引き渡している場面だとされる映像が出回り、憶測を呼んでいる。
映像は、同じ場面を撮ったとみられる2種類が出回っている。下着姿の男性が、武器を置けという指示に従っている。ただ、わずかな違いがあるため、狙った絵柄を撮ろうと、繰り返し撮影された可能性があるとの見方が出た。
BBCヴェリファイ(検証チーム)が映像を検証したところ、どちらの映像も、合計3丁の銃を引き渡している連続した場面だとわかった。しかし、正確な状況と映像の公開については疑問が残る。
これら二つの映像がソーシャルメディアに出回ったのは今月9日だった。映像の片方ともう一方で、同じ男性が銃を持つ手が違っているとの指摘も上がった。
BBCヴェリファイはこれらの映像について、一連の出来事を撮影した別々の部分であり、撮り直したものではないと確認した。さらに、同じ男性が歩道を行き来して、手放された銃と弾薬を置いていることがわかった。
映像では、数十人の男性らが道路の反対側に立って、この様子を見ている。同じく下着姿で、多くは腕を上げ、手には身分証明書を持っている。BBCヴェリファイはこの場所を、ベイトラヒアのジャバリア難民キャンプの北にある国連が運営する学校の前だと特定した。
太陽の位置から判断して先に撮影されたとわかる映像では、歩道に置かれた銃の上に、男性が右手に持っていた銃を置いている。太陽の位置が低くなっている後の映像では、同じ男性が左手に持った別の銃を、歩道上の銃の上に置いている。
これらの映像の前後に撮影したとみられる静止画像もある。1枚には最初の銃が歩道に置かれる場面が、もう1枚には銃3丁と弾倉が歩道に置かれた様子が、それぞれ写っている。
この映像をめぐっては、他にいくつかの疑問も出ている。特筆すべきは、この男性が銃を突きつけられ、画面の外の人物から指示を受けていることだ。そのため、男性が武器を「引き渡して」いるのか、指示通りに動かしているだけなのかは不明だ。
男性はすでに下着姿で、武器を隠し持つことは不可能なので、イスラエル軍がこれらの武器について知らなかったとは考えにくい。そのため、これは真の投降場面ではなく、カメラを意識した行動とみられる。男性や映像に出てくる他の人々が、ハマスや10月7日の襲撃に関わっていたのかもわかっていない。
片方の動画では、デジタル一眼レフカメラのズームレンズのようなものの先端が一瞬見える。動画と一緒に出回っている写真は、わずかに違う角度から撮影されていた。このことからは、この出来事が複数の人物やカメラによって撮影されたことがうかがえる。
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ここ1週間、ガザで拘束されているパレスチナ人らを撮影した、感情を揺さぶるような画像が表出し、強い反応を引き起こしている。拘束された人々の処遇を懸念する声が上がっており、赤十字は全員が国際法に従って扱われなければならないとしている。
しかしイスラエルは、ガザで対ハマス作戦が進展している証拠を見せることに躍起だ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は10日、「ここ数日で、ハマスのテロリストが何十人も、私たちの軍に投降した。彼らは武器を置き、私たちの勇敢な兵士に身を委ねている」と話し、こう続けた。
「時間はまだかかるだろう。戦争は最も本格化している状況だ。しかし、これはハマスにとって終わりの始まりだ」
イスラエル国防軍(IDF)は、これらの映像の状況に関する質問に直接答えなかった。報道官はBBCに、拘束した人々は「国際法に従って処遇される」と説明。
「テロ容疑者は、衣服の検査や、爆発物を入れたベストおよび他の武器を隠していないことを確かめる目的で、衣服を脱いで差し出さなければならないことがよくある」と述べた。
追加取材:ポール・ブラウン
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