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Thursday, November 23, 2023

ノックアウトではわからぬ遺伝子の謎 阪大チームが解明に使った ... - 朝日新聞デジタル

 免疫で働く遺伝子が、脊椎(せきつい)動物の体の形づくりで重要な役割を果たすことを大阪大微生物病研究所の石谷太教授らのグループが突き止めた。長年の謎を解くことができたのは、特定の遺伝子を壊すことで働きを調べる「ノックアウト」が万能ではないと認識できたからだという。

 1980年代、ハエの形ができる時に、背側と腹側の違いをつくる遺伝子が見つかった。トル受容体と呼ばれる遺伝子で、過剰に働くと、腹側だけになってしまう。

 一方、この遺伝子のグループ「トル様受容体」は自然免疫で重要な役割を果たすことがわかり注目を集めた。免疫学者たちは、この遺伝子を壊した「ノックアウトマウス」をたくさんつくった。もし、トル様受容体が体づくりにもかかわるなら、このマウスはうまく育たないはずだが、体の形に異常はなかった。

 トル様受容体は、脊椎動物の体の形づくりにまったく関係がないのか? 多くの研究者が疑問に思った。

 石谷さんも、学生時代からずっと気になっていた。研究室を立ち上げ、改めてこの課題に取り組んだ。ノックアウトマウスでわからないなら、働いている遺伝子を可視化する技術を使おうと思い立った。

 魚の背中をつくる領域で、トル様受容体にかかわる遺伝子を可視化してみると、確かに働いているとわかった。「結果が出た時は感動した」。2012年ごろのことだった。

 「やはり、関係はある」。そう確信して、次に「ノックダウン」という遺伝子の働きを一時的に抑える方法を使った。ハエの形づくりで、トル受容体から信号を伝える経路にある遺伝子に相当するRelという遺伝子を抑えると、背側が大きくなる異常な魚になった。

 ところが、この遺伝子を壊すノックアウトでは、まったく異常がなかった。

研究のいきづまりを突破できたのは……

 研究者のかいわいでは、ノックダウンとノックアウトで矛盾する結果が出た場合はノックアウトを信じろといわれていた。

 「これでは論文にならない」…

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