新型コロナの感染者が国内で発生してから3年。岐阜県内の感染者はのべ50万人を超え、計算上は県民の4人に1人が感染したことになります。今回は、多くの人が苦しんでいる後遺症について、県内の専門外来を取材し分かってきたことをお伝えします。
【どうすればいいかわからない】
兵庫県の塩満大介さん(43)は2年ほど前に新型コロナに感染。療養期間のあと動悸と息切れを感じたものの、検査を受けても原因は分からず、医師から“後遺症かもしれない”と告げられました。症状はおよそ3か月続き、寝不足に悩まされ、仕事を休んだこともあったといいます。塩満さんは「日常生活に戻ったとたん体の異常があり怖かったです。何もわからず、薬も処方されなかったので、どうすればいいのか手探りの状態でした」と話していました。
【そもそも「後遺症」とは】
WHO=世界保健機関は「新型コロナの発症から通常3か月間以内に出て、少なくとも2か月以上続く、ほかの病気の症状としては説明がつかない症状」を「後遺症」としています。けん怠感や息切れ、記憶障害、嗅覚や味覚の障害など症状は人それぞれです。
【岐阜大学に専門外来】
こうした患者を救おうと、岐阜大学病院はおよそ1年前に「後遺症外来」を開設しました。後遺症と診断され再診に訪れた40代の男性は、だるさや眠気が続き、一時期、歩けなくなったといいます。診察した医師は、男性が買い物に出かけられる程度まで回復したことを確認し、「毎日少しは動いたほうがいいですね」などとアドバイスし、薬を処方していました。男性は「症状が良くなってきている気はしますが、治るかはわかりません。細かく診察してもらえた方が、不安は取り除けます」と話していました。
【患者データを分析】
外来の開設を主導した森田浩之教授は、後遺症と診断した130人のデータから特徴を分析しました。
【いつ発症する?】
新型コロナ感染から後遺症発症までの期間を分析したところ、多くの人は感染したときから症状が続いていました。一方、感染して時間が空いてから発症する人もいて、▼1か月後が15人、▼2か月後が9人、▼3か月後が3人、▼5か月後が1人いました。
【いつ治る?】
通院を終えた82人について、感染してから後遺症が治るまでの期間を分析したところ、最も多いのは4か月後(20人)でした。また、73%にあたる60人が5か月以内に治っていましたが、2人は1年後も治っていませんでした。
【症状は?】
症状の種類や程度は人それぞれです。複数の症状を訴える人もいます。その中で圧倒的に多かったのがけん怠感(80人)でした。次いで、多い順に▼頭痛(30人)、▼不眠(26人)、▼味覚障害(23人)、▼記憶障害(21人)、▼咳(20人)などとなっています。森田教授は「つらさが理解されにくい症状が多いので、後遺症になった人は、できないことを率直に説明した方がいい。周囲の人も、本人が我慢していたら、困っていることを聞いて配慮してほしい」と話していました。
【社会生活への影響は?】
初診の際、▼会社や学校を休んでいた人が36%、▼休んでいなくても影響があった人が24%でした。森田教授は「経験的な治療法は分かってきているので、できるだけ早い社会復帰に向けサポートしたい」としています。
【“インフルと同じ”ではない】
政府は、5月8日に感染症法で新型コロナを季節性のインフルエンザなどと同じ「5類」に位置づける方針を固めました。ただ、今後も別の感染症であることに変わりはありません。森田教授は「インフルエンザの場合、脳炎にかからなければ後遺症のリスクはほとんどない。新型コロナの後遺症は、味覚障害や嗅覚障害など、インフルエンザにない症状も出ている」と違いを指摘した上で、感染対策を続けるよう呼びかけています。
【“後遺症かも?”と思ったら】
まずはかかりつけ医や地域の医療機関を受診してください。医師の専門外の症状であれば、対応できる医療機関を紹介され治療につながります。どの医療機関を受診すればよいかわからなければ、岐阜県の新型コロナの健康相談窓口(058−272−8860)またはお近くの保健所に確認してください。
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